2024年11月28日、TOYOTA GAZOO Racingは、BMWとの共同開発によって2019年5月に誕生したA90スープラの一部改良モデルおよび特別仕様車A90ファイナルエディションを発売すると発表した。なんとA90スープラはこのファイナルエディションの発売をもって終売となり、約6年で姿を消すことになったのだ。さて、一部改良モデル、ファイナルエディションはどんなモデルなのか、解説していこう。
文:ベストカーWeb編集部/写真:TOYOTA GAZOO Racing、ベストカーWeb編集部
【衝撃情報!!!!】現行A90[スープラ]が2025年で終売!!! 一部改良と世界300台限定のA90ファイナルエディションで有終の美!!!!!
【画像ギャラリー】トヨタとBMWのコラボレーションはA90スープラでもう終わり!? 最後のA90スープラをズームして見て!!!!!(11枚)
■わずか6年で姿を消すことになったA90スープラ
上がスープラ(3L)一部改良モデル(日本仕様・プロトタイプ)。下が特別仕様車スープラA90ファイナルエディション(日本仕様・プロトタイプ)
スープラ一部改良モデル(3Lのみ)は日本をはじめ、欧州、豪州などグローバルで2025年春以降に発売を予定している。A90ファイナルエディションの発売地域は欧州および日本、欧州の発売は2025年春、日本での発売時期は検討中とのことだ。ちなみにプレスリリースを見る限り、2Lモデルの一部改良はなく、価格についても発表されていない。
ちなみに一部改良前の価格は3L、直6ターボのRZ(387ps/51.0kgm)の8速AT/6速MTが731万3000円、2L、直4ターボはSZ-R(258ps/40.8kgm)が601万3000円、SZ(197ps/32.7kgm)が499万5000円。
スープラ(3L)一部改良モデル(日本仕様、プロトタイプ)
今回の一部改良モデルでは市街地からワインディング、サーキットまで存分に走りが楽しめるよう、「さらなる一体感のある走り」を追求。また安心・安全のためのブレーキ性能を向上させた上で、ボディ、サスペンション、シャシー剛性の向上およびチューニングの最適化、空力性能の改善。
A90ファイナルエディションは様々なモータースポーツの現場で愛用されていることに対する感謝を込め、現行スープラの集大成として世界限定300台で設定。
エンジン出力、トルクを向上させ、ブレーキやボディ剛性を強化し、レーシングカーに多く採用されるKW 社のサスペンションシステムやハイグリップタイヤを採用するなど、走りに関する様々な要素をアップグレード。進化に合わせた最適なチューニングを行い、究極、最高の性能、仕様を備えた特別なモデルを作り上げたという。
このスープラA90ファイナルエディションを集大成として、現行スープラの生産を終了を予定しているが、今後もモータースポーツ活動を通じてスープラを鍛え続けていくという。
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■スープラ3Lモデルの一部改良の内容は?
スープラ(3L)一部改良モデル(日本仕様、プロトタイプ)
まずはスープラ3Lモデルの一部改良モデルの中身を解説していこう。
1:ドライブトレーン
新しいシャシーセッティングに伴いアクティブディファレンシャルの制御を最適化。旋回中のアンダーステアを抑制し、ハンドリングを改善。ちなみに3L、直6ターボの出力(387ps/51.0kgm)に変更はない。
2:ブレーキ
フロントに大径化したブレンボ製18インチアルミ4ポット対向キャリパー+374mm径ディスクブレーキを採用し、制動性能を強化。
3:ボディ&サスペンション
状況に応じて減衰力を調整する電子制御ダンパーの特性を見直し、合わせてフロントスタビライザーも強化することで走行性能を向上。 前後スタビライザーブラケットにアルミ強化品を採用。また、フロントコントロールアームに強化ゴムブッシュをリアサブフレームに強化ゴムマウントを採用することで、サスペンションとボディの一体感を高め、ロードインフォメーションをより伝わりやすくし、正確なハンドリングに貢献。
またリア床下ブレースの構造を強化することでボディ剛性を高め、ダイレクト感やグリップ感、コントロール性を向上した。今回の進化点にあわせ、EPS(電動パワステ)制御を最適化し、ダイレクト感のあるステアリングフィールを実現し、コントロール性能を向上。 さらに前後のキャンバー角を見直し、グリップを高めてコーナリング時の安定性を向上させている。
マットカラーの19インチ鍛造ホイールとフロント255/35ZR19、リア275/35ZR19サイズのミシュランパイロットスーパースポーツを組み合わせるスープラ(3L)一部改良モデル
4:タイヤ&ホイール鍛造ホイール
マットカラーの19インチ鍛造ホイールを装備し、フロント255/35ZR19、リア275/35ZR19サイズのミシュランパイロットスーパースポーツを装備
5:外装
ダックテールタイプのカーボンリアスポイラーを採用。フロントにはホイールアーチフラップを追加し、フロントタイヤスパッツの高さを拡大することで前後の空力バランス、ダウンフォースを最適化し接地性とハンドリング性能を向上しました。
運転席はGRロゴ刺繡を施したアルカンターラ+本革シート表皮をはじめ、6速MTのシフトノブのリングおよびステッチ、赤色のシートベルトに赤色を採用
6:内装
ドライバーシートには GRロゴ刺繡を施したアルカンターラ+本革シート表皮を使用。シフトノブのリングおよびステッチ(6速マニュアルのみ)、シートベルトに赤色を採用しスポーティさを強調した。
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■限定300台、特別仕様車スープラA90ファイナルエディションの中身は?
スープラ A90ファイナルエディション(日本仕様・プロトタイプ)
続いて限定300台の特別仕様車、スープラA90ファイナルエディションの中身はどうなっているのか紹介していこう。
1:パワートレーン
吸気経路を見直し、低背圧触媒を採用することで圧力損失を低減。それに合わせてエンジン制御を最適化することで最高出力を387psから435psへ、最大トルクを51.0kgmから58.1kgmへアップし、加速性能とレスポンスを向上させた。
またエンジンオイルパンにバッフルプレートを追加。コーナリング性能向上に伴う高 G 域でのオイルの偏りを防止した。
エンジン性能向上に伴い、冷却性能を強化。ラジエーター冷却ファンを強化するとともにサブラジエーターを追加し、ディファレンシャルギアカバーの冷却フィンを大型化。
新しいシャシーセッティングに伴いアクティブディファレンシャルの制御を最適化。旋回中のアンダーステアを抑制し、ハンドリングを改善させている。 さらにアクラポヴィッチ製チタンマフラーを採用し、迫力のあるエンジンサウンドを実現。
吸気経路を見直し、低背圧触媒を採用することで圧力損失を低減。それに合わせてエンジン制御を最適化することで最高出力を387psから435psへ、最大トルクを51.0kgmから58.1kgmへアップ
2:ブレーキ
フロントにブレンボ製 19インチアルミ4ポットキャリパーと高ミューブレーキパッドを採用し制動性能を強化。さらに、前後にフローティング構造の345mmドリルドディスクを採用し、スポーツ走行時においても優れた制動力を確保した。
またステンレスメッシュのブレーキホースを採用し、制動時のホース膨張による圧力伝達損失を押さえ、強化したブレーキシステムの性能を最大限引き出している。
GRスープラGT4が採用しているKW製サスペンションやブレンボ製ブレーキ、フロント265/35ZR19、リア285/30ZR20サイズのミシュランパイロットスポーツカップ2を装着
■GRスープラGT4のパーツをふんだんに装着!
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3:ボディ&サスペンション
GRスープラGT4 が採用しているKW製サスペンションを採用。伸び側 16 段、縮み側 12 段の減衰力調整を備えて様々な使用状況に対応したほか、前後スタビライザーを強化することで、限界性能を向上。
フロントロアアームに強化ゴムブッシュ、フロントコントロールアームにピロボールジョイントを採用し、リアブフレームをGRスープラGT4 と同じアルミリジッドマウントとすることで、サスペンションとボディの一体感を向上。ロードインフォメーションがより伝わりやすくなり、正確なハンドリングに貢献。
フロントカウルブレースを強化した上で、フロント床下ブレースを追加。リア床下ブレースの構造を強化し、室内には強化ラゲージクロスバーを採用することでボディ剛性を高め、ダイレクト感やグリップ感、コントロール性を向上させた。
今回の進化点にあわせ、EPS 制御を最適化し、ダイレクト感のあるステアリングフィールを実現し、コントロール性能を向上した。さらに前後のキャンバー角を見直し、グリップを高めてコーナリング時の安定性能を向上。
4:タイヤ&ホイール
10mm拡幅したハイグリップタイヤ、ミシュランパイロットスポーツカップ2を採用。コーナリング時の安定性および限界性能をさらに向上した。フロントは265/35ZR19、リア285/30ZR20サイズとなる。フロント19インチ、リア20 インチの鍛造ホイールには TGR のロゴを刻印。
スープラA90ファイナルエディション(日本仕様・プロトタイプ)
5:外装
GRスープラGT4 の開発を担当する TOYOTA GAZOO Racing Europe(以下、TGR-E)が空力性能開発を担当。TGR-Eの持つモータースポーツ参戦を通じて得た知見と、風洞実験施設を用いてテストを重ね、開発したカーボンフロントスポイラー、カーボンフロントカナード、フロントセンターフラップを採用。
さらに、GRスープラGT4 を彷彿させるスワンネック構造のカーボンリアウイングを装備することで前後の空力バランス、ダウンフォース、ドラッグを最適化し、接地性とハンドリング性能を向上した。
またカーボンボンネットダクトを追加や脱着式のインナーダクトを採用し、取り外し時には冷却性能向上に寄与する。
GRスープラGT4 を彷彿させるスワンネック構造のカーボンリアウイング
6:内装
シートパッドにアルカンターラ®素材を使用したレカロ製カーボンフルバケットシート「RECARO Podium CF」を採用。走行性能向上によりドライバーにかかる G が増加する状況においても、しっかりと体をホールドし正確なドライビングをサポート。また運転席シートを赤色とし、ドライバーオリエンテッドコクピットを強調している。
スープラA90ファイナルエディション(日本仕様・プロトタイプ)
またステアリングホイール、ドアトリム、センターコンソールニーパッド、センターアームレスト、シフトノブブーツ、インストルメントパネル中央部の表皮にアルカンターラ素材を使用。
さらに赤色シートベルト、専用カーボンスカッフプレートを採用することにより台数限定モデルの特別感を高めている。
この一部改良モデルとファイナルエディションをもってA90スープラは幕を閉じることになるが、もちろん新型GRスポーツの開発(トヨタ単独で2027年登場予定)が進んでいるという情報を掴んでいるので、期待して待っていよう!
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