この連載では、昭和30年~55年(1955年~1980年)までに発売され、名車と呼ばれるクルマたちを詳細に紹介しよう。その第8回目は、戦後のそれまでオースチン車のノックダウン生産を続けていた日産自動車が、昭和35年に「ニッサン」ブランドを世に問うた「セドリック」だ。(現在販売中のMOOK「昭和の名車・完全版Volume.1」より)
ノックダウンから卒業した「ニッサン」ブランドの乗用車
日産は戦後大きく遅れた乗用車生産技術を習得するため昭和27(1952)年からオースチンA40/A50のノックダウン生産を開始した。昭和35(1960)年3月に英BMC社との契約が終了するため、独自の1.5Lクラス乗用車の開発が急務となった。そんな中、昭和35(1960)年4月にセドリックとして発売された新型乗用車は、Aピラーを前傾させたパノラミックウインドウやメッキパーツの多用など、アメリカ車の影響を強く受けたスタイリングで登場してインパクトを与えた。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
さらにワイド感を強調する縦目丸4灯という独自の個性をプラス。前後ベンチシートの室内も3人並んで座れる幅を持っており、前:ダブルウイッシュボーン/コイル、後:3枚リーフ/リジッドサスペンションはそれぞれ280mm/180mmのストロークを確保してソフトな乗り心地を実現していた。
機構面では、ユニットコンストラクション(モノコックボディ)で、車重を1195kg(デラックス)に収めたのが画期的だ。その構造はサイドシルを主要強度部材とするA50の発展型だが、国産1.5Lクラスでは初採用であり、ボディ剛性もA50より曲げで1.14倍、捻りは1.31倍になったと公称している。
エンジンは当初は1488ccの直4OHVで、圧縮比8.0と2バレルキャブにより5000rpmで71psを発生した。トランスミッションは唯一A50から引き継いだ4速MTで、2速以上に付くワーナー製のボークリング(シンクロナイザーリング)により、確実で気持ち良いシフトを実現。動力性能は16.8kg/psの馬力荷重を活かし、0→80km/h加速は13.7秒を計測(モーターマガジン誌による車載メーターとストップウオッチによる計測。雨天の4名乗車)している。
操舵系はギア比17.3のウオーム&ローラーと直径430mmのコーン型ステアリングを採用した。ロックtoロック3.5回転と操作は忙しかったものの非常に素直な特性だった。ブレーキは、セルフサーボ機能を持ち軽い踏力で強力な効きが得られる、前:ユニサーボ、後:デュオサーボのドラム式が採用されている。
ライバル車を引き離す豪華装備も自慢だった。
装備の充実もセドリックならではの美点で、「デラックス」にはヒーター、ラジオ、時計などが標準装備される。とくにラジオはアンテナ/バッテリー/スピーカーを内蔵していて、車載時には12V電源に接続して自動車ラジオとなり、専用キーで取り外せば車外に持ち出せるポータブルラジオとなるアイデアで注目された。またオプションでヒーター/クーラー両用のダッシュタイプエアコンも装着可能で、エンジンブロックにあらかじめコンプレッサー取り付け用の穴が設けられるなど、ライバル車を寄せ付けない将来のグレードアップを見越した準備にも怠りがなかった。
グレード体系は、当初「1500スタンダード」と「1500デラックス」の2タイプをラインナップした。昭和35(1960)年11月には、翌年4月の施行を控えた小型車規格改正に対応した「カスタム」を追加。全長とホイールベースをそれぞれ100mm延長した当時の国産車中最大のボディに1.9ℓ直4OHVのH型エンジン(88ps/15.6kgm)を搭載し、助手席バニティミラー/リアシートピロー/後席用ヒーターなどを備える豪華仕様だった。昭和36(1961)年3月にはエステートワゴンと商用車のバンを発売している。
同年5月には、1.5L車と共通のボディに1.9Lエンジンを搭載した「1900デラックス」を追加。10月に2度目のマイナーチェンジを実施して、ヘッドランプが横型4灯式に変更される。同時に「1900スタンダード」を追加した。昭和38(1963)年2月には、全長を4855mm、ホイールベースを2835mmに延長し、当時国内唯一の2.8ℓ直6OHVのK型エンジン(115ps/21.0kgm)を搭載する「スペシャル」を追加した。戦後、苦労して乗用車造りを学んできた日産自動車が、いよいよ本格的な高級セダンを作り始めたという意味で、記念碑的な一台と呼ぶことができるだろう。
セドリック主要諸元
●全長×全幅×全高:4410×1680×1520mm
●ホイールベース:2530mm
●重量:1195kg
●エンジン型式・種類:G型・直4 OHV
●排気量:1488cc
●最高出力:71ps/5000rpm
●最大トルク:11.5kgm/3200rpm
●トランスミッション:34速コラムMT
●タイヤサイズ:6.40-14 4PR
●新車価格:101万5000円
[ アルバム : セドリック はオリジナルサイトでご覧ください ]
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
トヨタ本気の「小さな高級車」に驚きの声! めちゃ豪華な「本革×本木目」内装を採用! 小型車に「クラウン品質」取り入れた“直列6気筒エンジン”搭載モデルに反響あり!
日産が93.5%の大幅減益! ハイブリッドの急速な伸びを読めなかったのは庶民感覚が欠けていたから…「技術の日産」の復活を望みます【Key’s note】
斬新「日本の“フェラーリ”」に大反響! 「約700馬力のV8スゴイ」「日本なのに左ハンしかないんかい」「めちゃ高ッ」の声! 同じクルマが存在しない「J50」がスゴイ!
スズキ・フロンクスが月販目標の9倍も受注! 絶好調な理由は小さくて安いのに感じられる「高級感」!!
運営ブチギレ!? 一般車が「検問突破」何があった? 国際イベントでありえない"蛮行"発生! ラリージャパン3日目の出来事とは
日産が93.5%の大幅減益! ハイブリッドの急速な伸びを読めなかったのは庶民感覚が欠けていたから…「技術の日産」の復活を望みます【Key’s note】
ホンダ新型「プレリュード」まもなく登場? 22年ぶり復活で噂の「MT」搭載は? 「2ドアクーペ」に反響多数!海外では“テストカー”目撃も!? 予想価格はいくら?
給油所で「レギュラー“なみなみ”で!」って言ったら店員にバカにされました。私が悪いんですか?怒りの投稿に回答殺到!?「なにそれ」「普通は通じない」の声も…悪いのは結局誰なのか
中古車バブル崩壊……その時あなたは何を買う!? 絶版国産[スポーツカー]ほしいランキング
トヨタ『ランドクルーザー』リコール…ドライブシャフト不良、走行不可能になる恐れ
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?