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130馬力のマツダ ファミリア 3ドアHB・GTとライバルのスポーティ度は? [driver 1989年4-20号より]

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130馬力のマツダ ファミリア 3ドアHB・GTとライバルのスポーティ度は? [driver 1989年4-20号より]

自動車雑誌ドライバーが過去に取り上げた記事が今に蘇る「DRアーカイブズ」。前回に続き1989年4-20号の「マツダ ファミリア 3ドアHB・GT vs ライバル5車 」を振り返る。

◇◇◇以下、当時原文ママ◇◇◇

130馬力のマツダ ファミリア 3ドアHB・GTとライバルのハンドリングは? [driver 1989年4-20号より]

無鉛プレミアムガソリン仕様となって、ファミリアの1600ツインカム・ユニットは130馬力にパワーアップした。このエンジンを積む“GT”のクラスには、NAツインカムのライバル車がひしめいている。スポーティ度が高いのはどれか? 「ファミリアGT vs 5メーカーの代表選手」で、各レポーターがチェック。

■レスポンスは? 吹けは?
エンジンフィーリング 

「パワー競争の波に乗ることだけがすべてではない」。ファミリア3ドアHB・GTを走らせたときに、クルマが、こう語りかけているような気がした。

なにしろ、吹き上がりがスムーズ。エンジンをスタートさせ、アクセルペダルを軽くあおった瞬間に、その予感がある。フリクションをほとんど感じさせずに、“フォーン”という快音を響かせながら回る。タコメーターのなかで、針が駆け上る勢いもやたらと速い。もちろん、変にボディを身震いさせたりはしない。

実際の加速感も、じつに気持ちがいい。レッドゾーンが始まる7200回転で作動するレブリミッターがなければ、どこまでも回り続けそうに高回転で伸びる。吹き上がり自体が鋭く、1、2速でフル加速すると、一気に7000回転オーバーを極める。

エンジン音も、加速感と同様に重重しさがない。軽く歯切れのいいサウンドを聞かせてくれる。また、メインベアリング・サポートプレートの採用や、シリンダーブロックに効果的なリブを配することで、パワートレーン全体の剛性を上げ、こもり音や振動を低減させている。ガサつきやビビリ音のたぐいも、ほとんど気にならなかった。

ファミリアは、従来型以上にフィーリング面を重視していることがよくわかる。だが、今回は絶対的な速さも期待できる。スペックを追求しすぎて荒っぽいエンジンにならない範囲で、性能を向上させている。最高出力130㎰/7000rpm、最大トルク14.0kg/5500rpmというスペックは、ライバルと比べてもけっして見劣りはしない。

しかも、EGI、電子進角の採用や無鉛プレミアムガソリンへの対応によって、10.0という高圧縮比を実現。余裕を持ってこのスペックを達成しているはずだ。

ただし、パワーの上昇があまりにもストレートなので、高回転域で加速感に弾みがつくような、ドラマチックな過渡特性は得られない。ぜいたくな望みだが、このあたりに、もうひと味の演出が欲しいところだ。

逆に、VICS(可変吸気システム)の採用などにより、低中回転域で申し分のない実用性が確保されている。分厚いトルク感が伝わってくるほどではないが、低速時の柔軟性は抜群。

市街地でダラダラとしたクルマの流れに合わせて走らせる場合も、4速のまま30~40km/hの速度調整を容易にこなしてしまう。エンジン回転数にして1000回転そこそこなのだが、シフト操作をサボるズボラな運転にも耐えられるエンジンだ。


■個性派ぞろいのツインカム

パワーでは、最高出力135馬力とクラスのトップに立つジェミニ3ドアHB・ZZは、ファミリアに増して高回転域の切れ味が鋭い。ネバリはするが、低回転域のトルク感が薄いため、かえって高回転域のパワフルさが刺激的なのだ。エンジン音はかなり大きめだが、けっして不快ではなく、積極的にレッドゾーンが始まる7700回転まで引っ張りたくなる気分にさせてくれる。

パワートレーン系には難点がある。シフトレバーを操作するとき、ガチャガチャと安っぽいフィーリングで、引っかかり感もあるのだ。

シビック3ドアSiは、ファミリアと同じ130馬力を発揮する。だが、両車のエンジンフィーリングはまったく異なる。ファミリアは回すほどパワーが稼げるタイプだが、シビックは全域でパワフル。ピーク感に欠けるが、どの回転域からアクセルを踏み込んでも、即座に加速態勢に入れる瞬発力を備える。

こうしたエンジンの特性に合わせ、ギヤレシオも高めに設定され、伸びのある加速感が味わえるようになっている。

■トレノはファミリア同様スムーズ

ミラージュ3ドアHBスイフトRが搭載するエンジンは、DOHCにしては珍しく高回転域が苦手だ。125馬力を発揮する6500回転を超えると、ガクッとパワーが頭打ちになる。せめて7000回転までは気持ちよく回ってほしいが、その分、実用域のトルクが充実している。その意味では、さりげなく飛ばしたい人にはうってつけだ。

スムーズさでは、スプリンタートレノGTアペックスとファミリアは好勝負を見せる。高回転域で“ビーン”と響く共鳴音が耳障りだが、吹き上がりに引っかかりがなく、レッドゾーン入り口の7700回転まで軽々と回ってしまう。シフトフィーリングも、ややガチャガチャする点を除けば、ファミリアと同様にスムーズだ。

サニーRZ-1ツインカムのエンジンは、吹き上がりが鋭く高回転域の伸びもいい。しかも、実用域のトルクが充実しているという具合にいいことずくめだが、フィーリング面の洗練度ではもの足りない。エンジンの回り方がなんとなくザラついているし、高回転域ではガサついた音も耳に入ってきてしまうのだ。

〈文=萩原秀輝〉

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