■連載/大森弘恵のアウトドアへGO!
バンコンのベース車両と言えば長らく「ハイエース」が王座に就いている。ゆとりのボディサイズと運転しやすさ、長寿命、手にいれやすい価格などその理由をあげればキリがないほどだが、今期はハイエースよりもゆとりがあり、洗練されたデザインの商用車「デュカト」ベースのキャンピングカーが大手ビルダーより発表され、話題となっている。
ハイエースの刺客となるか?
2月におこなわれた「ジャパンキャンピングカーショー2023」でそれぞれのレイアウトやインテリアを比べて人気の理由を探ってみた。
人気バンコン「バーデン」のレイアウトを踏襲
トイファクトリー「FIAT DUCATO Euro BADEN 5.4」
1152万8000円~/展示車両1283万2930円
6人乗車/4人(OP+2人)就寝
トイファクトリーはドイツの高級モーターホームであるハイマーのメインデザイナーを務めたフランク・ヴェンダーとともに4モデルを製作。
こちらはハイエースベースの人気バンコン「バーデン」のノウハウを落とし込んでおり、ヨーロッパ生まれのデュカトに日本らしさを取り入れたのがおもしろい。
バーデン同様、2列目・3列目シートをベッドとすることで2名就寝が可能となっている。ドア脇のキッチンには両開きの大型冷蔵庫が備えられており、車外からでも中に収めたドリンクを取り出しやすい。
後部はベッドと大型収納庫。前方2名、後部ベッド2名でファミリーでの旅をサポートする。オプションのポップアップルーフを選べば就寝人数がさらに2名増える。
車両キャビネットシステムでトランポに
トイファクトリー
「FIAT DUCATO ASObott 5.4」
822万8000円~/展示車両963万4900円
2人(OP+2人)乗車/2人(OP+2人)就寝
ヨーロッパでは多くの働くクルマで採用されている車両用キャビネットシステム「bott(ブート)」を用いた遊び心あふれるキャンピングカー。ドイツ生まれらしく、衝突しても荷物や工具の飛散を抑えるなど信頼度が高い。
シンプルな内装で1日の大半をアクティブに過ごしたい人向き。
自転車やサーフィン、釣りなどメンテナンスのための道具を安全に持ち運べる。後部ベッドでは大好きな道具に囲まれながら眠れる。最高の趣味部屋だ。
サニタリールーム搭載のラグジュアリーモデル
トイファクトリー「FIAT DUCATO DA VINCI 6.0 Concept」
1397万円~/展示車両1531万1670円
4人乗車/2人(OP+2人)就寝
高級ホテルを思わせるシャワー付きサニタリールームを備えたプレミアムな1台。
テーブルはもちろん吊り戸棚など家具は角を丸く加工している。優美でありつつ、万一、手足が触れても違和感がないよう配慮されている。
ベッドは後部のみで就寝定員2名。家族利用ならオプションのポップアップルーフを選択することで4名就寝に。
独立シートでドライブも快適
トイファクトリー「FIAT DUCATO Origin 5.4」
1097万8000円~/展示車両1358万5880円
4人乗車/2人(OP+2人)就寝
ユーザー自身が取り外しできる2列目シートを備えており、使い方は自由。展示車両はオプションの3列目シートを装備し、こちらも取り外し可能だ。後部ベッドマットを取り外せば大型の収納庫となるなど自由度が高いことも期待が高まる。
2列目、3列目は独立シートなので移動時の疲労を軽減できる。もともと背が高く、ゆとりを感じるデュカトだが、オプションのポップアップルーフを取り付ければさらに開放感がうまれる。
後部のベッドは大人2名がくつろげる、幅1460mm。6.0なら幅2040mmとなり3人が眠れる。
定評あるEVOLITEシステムと高断熱
ナッツRV「フォルトナ タイプC」
979万円~/展示車両1159万240円
6人乗車/2人(OP+2人)就寝
ナッツRVの代名詞である新電装システム「EVOLITE」、そして圧倒的な断熱性を誇る「ウルトラ断熱システム」を搭載しており、オプションの家庭用エアコンを一晩使用できる実力派。
家具10種類、ファブリック16種類、メラミン板4種類から選べて自分好みのインテリアに仕上げられるのがうれしい。
ドア横に冷蔵庫が備えられており、車内からも車外からでもアクセスしやすい。そのうえ両開き!
タイプCは後部ベッドとの間にクローゼットが備えられているが、マルチルームモデルもある。
クローゼットの後ろもリビングとして使える。オプションのプルダウンベッドはウッドスプリングで寝心地抜群。荷物置き場としても重宝する。
運転席後ろのキッチンが使いやすい
RVランド「LW Room(ランドワゴン ルーム)」
1045万円~/展示車両1104万4000円
6人乗車/4人就寝
背の高い仕切りがないワンルーム風レイアウト。
精悍な外観とは裏腹に、車内の天井は明るいウッド、壁面やファニチャーをホワイトで統一したやさしい雰囲気に仕上げている。
デュカトといえば助手席の後ろにキッチンを置いたモデルが多いのだが、こちらは運転席の後ろに位置している。買ってきた食材を冷蔵庫に入れる、吊り戸棚に収納するなど一連の作業をしやすい。
また、ドア前は高さを抑えたソファなので出入りしやすいうえ圧迫感がないのもメリットだ。後部ベッドからスライドさせるテーブルもユニーク。
後部は常設ベッドと収納庫。サブバッテリー(50Ah×4)、外部電源はもちろん、大容量ポータブル電源(DELTA Pro)も標準装備しているのが今どきと言える。
マルチルームと電動ベッドのラグジュアリーモデル
東和モータース「スペランツァ 540M」
979万円~/1187万6480円
6人乗車/2人(OP+2人)就寝
ポータブルトイレを置ける80×90cmのマルチルームを真ん中に備えたモデル。マルチルームがあるので圧迫感があるかと思いきや、デュカトの空間と、運転席と助手席を回転させて2列目シートと対面させるシステムのためゆったり過ごせる。
テーブルとキッチンの天板はスライドして広く使えるのが便利。マルチルームの前方はリビング&キッチンで、ベッド展開がないのも潔い。
後部にもゆったりとしたリビングがあり、夜はこちらをベッドにする。オプションとして電動で昇降するベッドを用意。家族利用も可能だ。
細部までこだわった心地よい空間
デルタリンク「サードスペース ブレス54DD」
1306万8000円~
8人乗車/4人就寝
非日常が楽しい、心地いい第三の空間をコンセプトに製作。サイドオーニングやソーラーパネルのオプションも用意されており、車内はもちろんクルマの外でも楽しく過ごせる。
運転席、助手席は回転シートでリビングの一部になるため広々。
天板は美しいウッド、家庭用エアコンも木製パネルでカバーしておりエレガントながらほっと一息つけるインテリアとなっている。
蛇口はシルバーではなくブラックで、スパイスホルダーのアイアンとともに空間を引き締める効果あり。
後部は常設ベッドで吊り戸棚付き。
デュカトを使った国産キャンピングカーが大量デビューとなった2023年。いずれも1000万円前後とハイエースベースのラグジュアリーなバンコンよりも200万円以上高額となるが、ゆとりのサイズを最大限に利用しておりバンコンの窮屈さを解消している。
一方、そのサイズゆえに日本の狭い山道と駐車場探しに不安を感じるのも事実。漠然とデュカトのバンコン=ハイエースがライバルと考えがちだが、サイズや装備、価格を考慮するとライバルはキャブコンと言えそう。
キャンピングカーユーザーは軽バンからバンコン、キャブコンへとより大きな車両に乗り換える人が多い。ハイエースベースのバンコンからキャブコンへ、それともデュカトベースへ?
乗り心地の良さと充実の安全装備、スタイリッシュなデザインがアドバンテージとなるデュカトがどこまでシェアを伸ばすのか、今後も注目したい。
取材・文/大森弘恵
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みんなのコメント
日本国内で欧州規格のLCVと日本規格のライトバンじゃ勝負にならない。
多少の高級感や先進のデザインだとて
圧倒的な堅牢性耐久性とリセールバリューを誇る
ハイエースのライバルにはならんでしょ
イナバの物置小屋にタイヤ付け足した方がまだライバルだと感じるわ