ルノー「メガーヌR.S.」はF1直系の技術がふんだんに注ぎ込まれたホットハッチの白眉だ！

ふんだんに盛り込まれたF1直系の技術

実用車作りに長けている国といえばフランス。そのなかでモータースポーツの分野でも名を馳せているのがルノーだ。レースの最高峰であるF1での活躍もめざましく、コンペティションシーンで培った技術を生かしたスポーツモデルの開発を得意としていることでも知られる。その代表格であるメガーヌR.S.のマイナーチェンジモデルが発売された。

新型はこれまでのスポーツ性能を磨きながら、時代に即したファインチューンが施されているのが特徴である。ルノー・スポールはF1直系の技術集団として、トップカテゴリーの技術をこの市販車に注ぎ込んだ。ツインスクロールターボには精度の高いセラミックボールベアリングを用いてエンジンのフリクションを低減。加えて電動バルブ付きのスポーツエグゾーストを与えるなど、吸排気系に手を加えることで1.8リットル直4ターボの最高出力をこれまでの279psから300psまで引き上げている。

力が漲る“エナジーハッチ”

試乗車のメガーヌR.S.がまとうオランジュトニックと呼ばれるボディカラーはそれだけで元気が漲ってくるが、いったん走り出せばさらにドライバーの気分がさらに盛り上がる。スロットルを軽く踏み込めば瞬時にパワーは立ち上がり、低中回転域ではもりもりと、高回転ではするすると軽やかに吹け上がり、胸のすくような加速が味わえる。シフトタイミングを短縮したという6速ツインクラッチギアボックスは電光石火のギアチェンジを繰り返して無駄なくスムーズにパワーをつなげていき、ドライバー自身がステアリングパドルでトルクバンドをキープしていくこともたやすい。

高出力を受け止めるシャシー・スポールの足回りは適度に締め上げられていることもあって、姿勢変化をうまく抑えながら路面に張り付くようにコーナーを駆け抜けていける。後輪がステアリングとは逆位相に切れる4コントロールという4輪操舵システムが備わるため、低速域では旋回性の高さも味わえる。それでいてストロークの底付き感を減らすというセカンダリーダンパーを内蔵したサスペンションが、しなやかさを伴った上質な乗り心地を確保してくれているから、普段使いもスマートにこなせるはずだ。

ハッチバックベースという気軽さがありつつ、それでいて中身はF1直系の技術がふんだんに盛り込まれた、本物のスポーツ性能を備えるのがメガーヌR.S.。ただしこれ見よがしな体育会系スポーツモデルというわけではなく、普段使いでも我慢を強いられることのない極めて上質な乗り心地も味わえるという優れもの。つまり日常におけるカンフル剤になりながら、実用でも我慢を強いられないのがメガーヌR.S.の美点だ。そんなさりげない魅力がいっぱいの現代の“ホットハッチ”は、ぜひとも身近なスポーツモデルとしてそばに置いておきたい、自動車文化には欠かせない一台と言える。

エクステリアはウィンカーがシーケンシャル・タイプとなったほか、エンブレムの直下にダイヤ型のマークが追加された。

メーターナセル内の表示はデジタルに改められ、センターコンソールのディスプレイが7インチとなった。

フロント同様、リアシート表皮も滑りにくいアルカンターラで設えられる。掛け心地はソフト。

出力はこれまでの279psから300psへと向上。最大トルクは420Nmを発生する。

シューズは前後19インチ。専用ダンパーや4輪操舵機構などにより上質な乗り心地と高いハンドリング性能を両立。

クルーズコントロールがアダプティブ・タイプに進化するなど、運転支援システムが充実したことも今回のトピックだ。

スペック

モデル名：ルノー・メガーヌR.S.
価格：4,640,000円（税込み）
ボディサイズ：全長×全幅×全高：4,410×1,875×1,465mm
車重：1,480kg
駆動方式：FWD
トランスミッション：6速AT
エンジン：直列4気筒ターボ　1,798cc
最高出力：221kW（300PS）／6,000rpm
最大トルク：420Nm（42.8kgm）／3,200rpm
問い合わせ先：ルノー　0120-676-365

TEXT：桐畑恒治（AQ編集部）