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発売後7年でも販売首位争いのトヨタ・アクアの数字を鵜呑みにできない裏事情

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発売後7年でも販売首位争いのトヨタ・アクアの数字を鵜呑みにできない裏事情

 発売から7年経っても日産ノートe-POWERに迫るトヨタ・アクア

 自販連(日本自動車販売協会連合会)の直近の統計を見ると、テレビCMなどでもお馴染みだが、2018暦年締めでの上半期(2018年1月~6月)の軽自動車を除く登録車のみでの販売ランキングで日産ノートがトップとなった。しかしトップのノートに7000台ほど及ばなかったものの、アクアが2位となっている。その中身を見ると、ノートは昨年秋の完成検査不正問題の影響もあり、前年同期比87.1%なのに対し、アクアは前年同期比103.1%となっている。つまり統計数字だけをみると、惜しくも2位になっているものの、アクアのほうが勢いはあるということになるのである。

【ライバル比較】11月の販売台数トップの日産ノートとトヨタ・アクアはどっちが買いか?

 しかし前述したようにノートの販売台数には完成検査不正問題という逆風が色濃く悪影響を与えているので、そのようななかで“ノートの逃げ切り勝ち”となったが、完成検査不正問題がなければ、アクアはもっとノートに差をつけられていたかもしれない。

 とはいえ、アクアも今年の4月~6月はノートを差し置き、各月の登録車販売ナンバー1となっている。これは4月にトヨタセーフティセンスの機能向上などの一部改良を行なったことが大きく影響しているといえよう。

 自販連統計によると、アクアは今年に入ってから1月は前年同期比で106.3%となったが、年度末決算セールで稼ぎ時となる2月は前年同期比98.1%、3月は83.0%となっている。モデル末期でとくに3月はすでにオーダーストップとなり、ディーラー在庫の販売に終始した結果ともいえる数字となっており、4月以降に改良を待っていたお客のオーダーも一気に入ってきたともいえよう。

 興味深いのはすでにオーダーストップとなっている3月でも約1.5万台を販売しているということ。一般的には改良を翌月に控えた端境期ということで、在庫もほぼ底をつき販売台数が大きく落ち込むのだが、年度末ということもあり、いつも以上にディーラー在庫が多く残っていたようだ。

 こうやってみると、アクアの販売状況はとても登場から7年が経過したモデルとはいえないのだが、デビューして初のフルカウントとなる2012年と2017年の暦年締めでの年間販売台数を比較すると、2017年は2012年の販売台数の約52%となっており、デビュー当初の勢いは完全に失っているのも確かなこと。

 これはトヨタ以外のメーカーから有力なライバル(日産ノートe-Power、ホンダ・フィット&スズキ・スイフトハイブリッド、マツダ・デミオディーゼルなど)が出てきただけでなく、トヨタ内でもシエンタ、カローラなど車格が比較的アクアに近いハイブリッドユニット搭載車が増えてきて需要が分散化したことなどが挙げられる。

 人気車種の販売台数は「作りに行った」可能性も大きい

 ただ気になるのは、販売台数の内訳の変化である。いまのところ自販連の通称名別販売台数ランキングや、全軽自協(全国軽自動車協会連合会)の通称名別の軽自動車販売ランキングのそれぞれ上位に名を連ねる車種の多くは、エンドユーザーへの小売りだけでない。

 ディーラー名義などでの自社登録(軽自動車は届け出)を行ったり、カーシェアリングやレンタカーなどへのフリート販売を積極的に行い、小売り販売台数への上積みを行い、激しい販売台数争いを展開しているのだ。一般ユーザーへの販売台数が多いのは確かなのだが、ランキング上位争いの時に積み増しを行うことで目立つことができるため、ランキングの順番が世の中での人気の順番と、必ずしもリンクしているということもできないのが現実ともいえよう。

 自社登録やカーシェアリング、レンタカーとしてカウントしたクルマは、早くて半年ぐらいと短期間で中古車や登録(軽自動車は届け出)済み未使用車として、中古車市場に大量に流通することになる。これが何を意味するかといえば、中古車としての需要を超えた状態で流通台数が常態的に多くなれば、リセールバリューの低下を招き、マイカーとして所有している一般ユーザーが下取りに出す時には、査定額の伸び悩みを招いてしまうのである。

 アクアの場合も、ここのところ登録済み未使用中古車が目立ってきている。しかも、トヨタディーラー系もしくはトヨタ系中古車ネットワークの枠を超えた、登録済み未使用中古車専売店などでも見かけるようになった。トヨタ系ネットワークだけで捌ききれないほど自社登録が行われているのではないかと見る向きが多い。

 事実販売現場では「自販連統計の台数がどこで売れているのかわからない」と、なかなか実感のない数字になっているとの話も聞く。

 それだけでなく、レンタカーやカーシェアリング車両としても目立っている。もちろんこのような傾向はアクアだけでなく、ノートをはじめアクアのライバルでも状況は似たり寄ったりとなっている。

 先日出張でロシアのモスクワを訪れた時には、たまたま市内で日本から輸出された日本仕様(右ハンドル仕様)のアクアの中古車を見かけた。また少し前にはスリランカでアクアの人気が高く、日本から“中古車”としてバイヤーが積極的に輸出していたという話も聞いたことがある。

 ウラジオストックにほぼすべて日本からの中古車は陸揚げされるので、そこから1万km離れたモスクワでもアクアを見かけるのだから、ウラジオストックでは……、と考えるのは自然の話。これはアクアだけの問題ではなく人気車と呼ばれるモデルの中古車(とくに高年式車)は供給過剰気味となっている。

 アクアだけでなく、いまどきの人気車の多くはエンドユーザーに“売れている”だけではなく、より手広く“売り捌く”ことができたかが数字に表れていると考えてよいだろう。

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