■欧州の歴史上初めて電動車の販売台数がディーゼル車を上回る
自動車産業の世界的な調査会社、JATO Japanが、2020年9月の欧州の自動車市場についてのレポートを公開しました。
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2020年は世界中の自動車市場で乱気流が吹いていますが、とくに欧州はその影響を受けてきました。
しかし調査データからは、欧州で電動化革命が起こるための要件が揃っていることを示すはっきりとした兆候が見られます。
今年の最初の9か月間の合計販売台数は29%減となる854万台ではあったものの、JATO Dynamicsが調査した欧州27か国のデータによると、2020年9月に販売された電動車の台数は、ディーゼル車の台数を超えました。
現代になって初めて、代替燃焼車(AFV)が内燃機関(ICE)の1種の台数を超えたのです。これは興味深い変化で、5年前は欧州でもっとも有力なのはディーゼル車でした。(電動車は、ピュアEV(BEV)、プラグイン・ハイブリッド車(PHEV)、ハイブリッド車(HEV)、マイルドハイブリッド(MHEV)を合わせたものと定義)
市場全体では、2020年9月は前年同月比で1.2%増とわずかな伸びであり、130万台の乗用車の新車販売のうち、燃料のタイプによって成長率が大きく異なることが分かりました。
ガソリン車とディーゼル車の台数は昨年同月から2桁減となったのに対し、電動車は139%増となる32万7800台を売り上げ、台数でもマーケットシェアにおいても新記録を更新。月次台数で電動車が30万台の壁を壊したのは今回が初めてで、マーケットシェアが20%を超えたのは2度目です。
同時に、ディーゼル車のマーケットシェアも同月過去最低となる24.8%となっています。ちょうど10年前はディーゼル車が全体の50%を占めており、電動車は1%以下でした。
JATOのグローバルアナリストであるFelipe Munoz氏は次のようにコメントしています。
「内燃機関から電動車への転換がようやく起きています。もっとも、政府の政策と奨励金によるところが大きいのですが、消費者もようやくこれらの新しいテクノロジーを受け入れる用意ができているといえます」
この状況の変化は、いくつかの自動車会社をよりいっそう後押ししています。
例えば、フォルクスワーゲングループは、車両の電動化においても存在感を高めてきました。
そして2020年9月の欧州では4万300台の電動車を売り上げ、ハイブリッド車セグメントで圧倒的な地位を築いているトヨタに次ぎ、2番目の規模となっています。
ハイブリッド車とマイルドハイブリッドは合わせて、電動車全体の53%を占めており、販売台数は前年同月比124%増となりました。
トヨタとレクサスは、いつも通り32%のマーケットシェアを占めていますが、フォード、スズキ、フィアット、BMWも販売台数を伸ばしています。
具体的には、フォード「プーマ」、フィアット「500」とフィアット「パンダ」が販売台数を伸ばしており、各モデルとも電動車率が高く、プーマは69%がマイルドハイブリッドm500とパンダは、それぞれ59%と41%がハイブリッド車でした。
ピュアEVのモデル別販売では、テスラ「モデル3」が首位となりましたが、テスラの台数は前年同月比で5%減となっています。
その一方で、ライバルのフォルクスワーゲンとルノーは台数をそれぞれ352%と211%伸ばしており、フォルクスワーゲンはテスラを抜き、全自動車メーカーのなかで、9月のピュアEV販売台数で首位となりました。
また、プラグイン・ハイブリッド車では、 メルセデスベンツが22%のマーケットシェアを得て首位となり、次いでボルボ、BMWが続く結果となっています。
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