もくじ
どんなクルマ?
ー 全24モデル用意 「ファーストエディション」試乗
ー ベイビー・ジャガー そのサイズは?
『試乗ジャガーE-PACE(Eペース)2.0L P250』すべての画像をみる
どんな感じ?
ー インジニウム・ガソリン+9速AT+AWD
ー ダイナミックモード その走りは?
「買い」か?
ー ライバル多き「コンパクトSUV」 評価は?
スペック
ー ジャガーE-PACE ファーストエディション 2.0L P250のスペック
どんなクルマ?
全24モデル用意 「ファーストエディション」試乗
ここ数年の間に、いわゆるプレミアム&スポーツ・ブランドから市場へと投じられるSUVは、珍しい存在ではなくなった。ここで紹介するジャガーも、もちろんその代表的な例。2015年にまず「F-PACE」でSUV市場へと参入したジャガーは、それに続いて「E-PACE」を2017年に発表。FとEの関係は、もちろん「XF」と「XE」のそれと同様で、E-PACEはF-PACEよりもコンパクトなサイズのボディが与えられる。日本での使い勝手を考えるのならば、E-PACEが今後、ジャガー製SUVの主力として存在感を強めていくのは確かなところだ。
そのE-PACEが、日本市場にも導入されることになった。ユーザー層の幅広さを象徴するかのように、日本仕様のラインナップは導入初年度となる2018年のみ販売される特別仕様車、「FIRST EDITION(ファーストエディション) 2.0L P250」を含めた全24モデル。搭載されるエンジンは、
・249ps/300psの2ℓ直列4気筒ガソリンターボ
・180psの2ℓ直列4気筒ディーゼルターボ
という3タイプ。これらはいずれも、「INGENIUM(インジニウム)」と呼ばれるジャガー・ランドローバー社の最新世代エンジンだ。このそれぞれのエンジンに対して、スタンダードなボディと、よりスポーティな感覚のディテールを採用した「R-DYNAMIC」を設定。さらにトリムレベルや装備でもスタンダードのほかに、「S」、「SE」、「HSE」の各グレードが用意されるため、結果的にE-PACEのモデルラインナップはワイドなものになっている。参考までに車両本体価格のレンジは消費税8%込みで451万円から764万円までとなる。
今回ドライブしたE-PACEは、この中で最も高価なモデルとなる「FIRST EDITION 2.0L P250」だった。昨年のデビュー以来、すでにモーターショーの会場などでは、何回もその姿を目にする機会があったE-PACEだが、実際に日本の路上へと導かれたそれを見ると、たしかにF-PACEよりもコンパクトなSUVであるとはいえ、そこには独特な存在感があった。
ベイビー・ジャガー そのサイズは?
E-PACEのボディサイズは、全長×全幅×全高で4410×1900×1650mm。これをF-PACEの数字比較すると、全長は330mmも短い設定とされているのに対して、全幅は35mm、全高は15mmしか縮小されていないのだ。
個性的なヘッドランプユニットやグリル、その左右にレイアウトされるエアインテークなどで構成されるフロントセクションの造形や、あるいはテールランプのデザインなど、F-PACEとの関連性を主張するディテールは多いものの、そのアピアランスに独特な雰囲気を感じるのは、やはりこの縦横比の違いに理由があるのだろう。肉食動物の筋肉をイメージさせるリアフェンダーのデザインなどは、まさに走りへの期待を大いに高めてくれるディテール。フロントウインドウなどに、ジャガーの親子が描かれたグラフィックが採用されているのも面白い。そう、E-PACEは「ベイビー・ジャガー」なのだ。
写真 インテリア/トランク
ドライバーとパッセンジャーの空間を完全に独立させたデザインのキャビンは、これもまたF-PACEと同様のコンセプトだが、センターコンソールはさらに強く傾斜し、イメージとしてはピュアスポーツたる「F-TYPE」のそれに近くなった。
居住スペースは前席、後席ともに十分な余裕があり、その後方にはさらに通常時でも577ℓ、最大で1234ℓにまで容量を拡大できるラゲッジルームが備えられている。フロア面はフラットでリアゲートの開口面積も十分。あらゆるライフスタイルにベストな広さ、そして快適さというものがE-PACEにはある。
先進的なインフォテインメントシステムや充実したコネクティビティ機能など、E-PACEはもちろん最新のSUVとして、市場で十分にその魅力をアピールできる装備内容を持つモデルだが、個人的に最も魅力的に思えたのは、やはりSUVとしての機能性がきちんと追求されていることだった。シートへのアクセスに始まり、スイッチ類のレイアウトや操作性、あるいは多彩に用意されたラゲッジの収納スペース。それらがすべて自然に、そして機能的に感じられるからこそ、そしてジャガーというブランドに独特な上質感が常に全身を包み込むからこそ、カスタマーはこのE-PACEのキャビンに、快適さとともに優しさを感じるのだろう。
どんな感じ?
インジニウム・ガソリン+9速AT+AWD
走りはジャガーのDNAというものをダイレクトに感じさせる、とてもスポーティなものだった。前で紹介しているように、試乗車に搭載されるエンジンは249ps仕様の2ℓ直列4気筒ターボ。それに9速ATを組み合わせ、「エフィシエント・ドライブライン」と呼ばれる、マルチプレートクラッチを使用する4WDシステムで、常に最適な前後駆動力配分を実現する。このパワーユニットが、実に軽快な加速フィールを、E-PACEに生み出しているのだ。
9速ATのシフト制御も常にスムーズだ。興味深かったのは、そのエクステリアデザインから想像していたほどに、E-PACEの走りにはトラディショナルなスポーツカー的な演出が感じられないこと。キャビンは常に快適な空間で、必要以上にエンジンの存在や、あるいはエグゾーストサウンドを意識させられることはないのだ。あたかも高級サルーンをドライブしているかのような、快適なクルージングが楽しめる。
この走りの高級感を生み出している、もうひとつの大きな理由は、剛性とともに軽量性も徹底的に追求したボディ、そしてリアにマルチリンク式を採用したサスペンションにある。前後のピレリ製Pゼロタイヤは20インチ径。その重量感をまったく感じさせることなく、常に正確に4輪を接地させるテクニックは、さすがにジャガーの作といった印象だ。
ダイナミックモード その走りは?
さらにスポーティな走りを楽しみたいドライバーのために、E-PACEではセンターコンソール上のスイッチで、ダイナミックモードの選択も可能としている。スロットルレスポンスがさらに鋭くなるのはもちろん、シフトプログラムもより高速域を多用するものに変化。ダンパーやステアリングのセッティングも、それまでとは一転してスパルタンな感覚を強める。さらにジャガーは、タッチスクリーンでの操作で、このダイナミックモードをカスタマイズする「コンフィギュラブルダイナミクス」機能を搭載。ドライバーはさらに細かく、好みのセッティングでの走りを楽しむことができる。
ダイナミックモードでのE-PACEの走りは、まさにスポーツカーそのものだ。とりわけ印象的だったのは、ハードなテイストを演出しながらも、それでもなおストロークの余裕とナチュラルな動きに終始するサスペンションのフィーリング。ステアリングの正確さも魅力的で、したがってE-PACEは日本のワインディングロードでも、常に俊敏で軽快な走りを楽しませてくれるのだ。
4WDの制御も実に魅力的なものだった。RWDのピュアスポーツをドライブしているかのようなコーナリングを楽しませつつも、実はE-PACEの駆動系は常に車体を安定方向へと導くために細かい制御を続けており、それが結果的にワインディングでは速さを生み出す直接の理由となっているのだ。
SUVであるがために、シートポジションが高めに設定されることを除けば、その走りはピュアスポーツと大きく変わることはない。ダイナミックモードでのE-PACEの走りはそれを確信させる。
「買い」か?
ライバル多き「コンパクトSUV」 評価は?
今回試乗したFIRST EDITIONを始め、このE-PACEには幅広いモデルラインナップが用意されていることは前でも解説しているとおり。ガソリンエンジンではさらに強力な、300ps仕様のモデルも用意されているし、また一方では最高出力では180psと控えめなスペックながら、最大トルクは43.8kg-mとラインナップ中最強となるディーゼルモデルも、これから大きな話題を呼ぶことだろう。
E-PACEが日本の、そして世界のコンパクト・プレミアムSUV市場に与える影響は、相当に大きなものになるだろう。もちろんこの市場には、強力なライバルが数多く存在することも事実。
その中でE-PACEは、デザインにおいても、そしてまたドライビング・ファンにおいても、十分な競争力を発揮してくれるに違いない。すでに市場にあるF-PACEでは、その機能を使い切るのは難しいと考えていたカスタマーにとって、E-PACEは実に魅力的な、そして現実的な選択肢といえるのではないだろうか。それはジャガーというブランドを、日本においてもより身近に感じさせる確かな原動力となる一台。E-PACEの登場で、日本におけるジャガー・ブランドは、さらにどれほどの成功を収めるだろうか。期待は相当に大きいと報告しておこう。
ジャガーE-PACE ファーストエディション 2.0L P250のスペック
■価格 764万円
■全長×全幅×全高 4410×1900×1650mm
■最高速度 230km/h
■0-100km/h加速 7.0秒
■燃費 11.2km/ℓ
■CO2排出量 174g/km
■車重 1910kg
■エンジン 直列4気筒ターボ1995cc
■最高出力 249ps/5500rpm
■最大トルク 37.2kg-m/1300-4500rpm
■使用燃料 ガソリン
■ギアボックス 9速オートマティック
なお、AUTOCAR JAPANでご覧になっている方は、「すべての画像をみる」ボタンから、外部メディアの方は、記事下のリンク「『試乗ジャガーE-PACE(Eペース)2.0L P250』すべての画像をみる」から、ほかの画像をお楽しみいただける。
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