欧州向けの最新EV、発売延期
フォードの新型電動SUV、エクスプローラーの発売が、今年の秋から2024年夏に延期された。
【画像】欧州販売の主力と期待される次世代EV【フォード・エクスプローラーを写真でじっくり見る】 全43枚
新型エクスプローラーは、7月に生産終了したハッチバックのフィエスタに代わり、9月よりドイツ・ケルン工場の生産ラインで組み立てが始まる予定だったが、新しいバッテリー法制の開始により数か月延期されることになった。
AUTOCARに寄せられた声明の中で、フォードは次のように述べている。
「わたし達は、新しいフォード・ケルン・エレクトリック・ビークル・センターで生産される最初のEVであるエクスプローラーを欧州のお客様にお届けできることを嬉しく思います」
「フォードは、EVの技術基準(国連規則100.3)が、世界中のお客様に安全で高品質な自動車をお届けするという社内の理念と一致していることから、これを受け入れています。これにより、新型エクスプローラーは2024年夏にお客様に納車されることになります」
国連規則100.3(UN Regulation 100.3、ECE-R100.3)は、EV用バッテリーの安全性の認証に関するもので、2023年9月1日に発効し、この日以降に型式認証を受ける新型車は新たな適合試験に対応しなければならない。すでに販売されているモデルに影響はない。
「100.3」とあるように、第3次改訂版である。これまでの規制では振動、熱衝撃、耐火性、外部短絡、過充電などに対するバッテリーの保護性能の試験が行われてきた。新規性では主に過電流保護をテストする。
エクスプローラーは今後、これらの適合試験を受け、新規制に適合しているかどうかを確認する。
フォードのケルン工場の従業員には、8月10日にこの決定が通知されたという。
新型エクスプローラーは、フォルクスワーゲン・グループから供給されたプラットフォームとバッテリーを使用する電動SUVで、米国向けの同名車種とはまったく別系統のモデルとなる。
フォルクスワーゲンはAUTOCARに対し、新しい規制を踏まえて販売から除外する計画はないとし、「フォードと並行して、フォルクスワーゲンは欧州でバッテリー技術の適合を開始し、グループ内のモデルを順次新しい規格に切り替えていく」と述べた。
「アメリカらしさ」を打ち出したSUV
エクスプローラーは、フォードのアメリカン・スピリットを受け継ぎながら、欧州市場に焦点を当て、欧州で設計・生産される新世代の電動SUVである。
全長4460mmと、クラスとしてはコンパクトSUVとミドルサイズSUVのほぼ中間に位置するサイズで、ジープ・アベンジャーやミニ・エースマン、ヒョンデ・アイオニック5、スコダ・エンヤクiVまで、あらゆる車種と競合することなる。
欧州における重要な新製品であり、これまでのフィエスタ、フォーカス、モンデオとは一線を画す「アメリカンネス(American-ness、米国らしさ)」をコンセプトに、新しい設計思想を採用したEVである。
欧州フォードの責任者であるマーティン・サンダー氏は、「フォードの真のDNAに少しフォーカスを当て、そのルーツに立ち返れば、フォードは欧州でビジネスを続けている唯一の米国の象徴的な自動車会社となります。ブランドを再ポジショニングし、このDNAを軸に新しい体験の世界を創造する大きなチャンスになると思います」と話す。
最もパワフルな仕様では、前後アクスルにモーターを搭載して四輪駆動とし、合計出力340psと最大トルク55.5kg-mを発揮する。現在販売されているMEBベースのどの市販車よりも強力で、0-100km/hのタイムは6.0秒以下となる。
また、後輪駆動モデルでは170psと286psの2種類の出力が用意されている。
バッテリーについてはまだ詳細が明らかにされていないが、最も脚の長い「マックス」仕様で最大500kmの航続距離を目標としている。エントリーモデル向けの52kWhバッテリーと、アウディQ4 eトロンで航続距離508kmを謳う77kWhバッテリー(いずれも170kWの速度で充電可能)が用意されるものと予想される。
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