■どんなクルマ?
真の実力者としてのキャシュカイ(日本名:デュアリス)
日産デュアリスが欧州でトップ・クラスのシェアって知ってた? 大人気の理由、なぜ?
日産キャシュカイ(日本名:デュアリス)は、2017年度4位の販売台数を誇ったベストセラーモデルだ。
注目すべきは、中型のSUVではトップであるということ。日産の車種のなかで1位であるのは言うまでもないだろう。
キャシュカイの成功は、2017年におけるフォルクスワーゲン・ゴルフの販売台数を3万3574台までに縮小させた。
フェイスリフトを受け、順調に販売台数を伸ばしているキャシュカイの勢いを止めるようなライバルは存在するのだろうか?
今回のテストカーは中堅クラスの109psを発生させる1.5dCi(ターボディーゼル)エンジンで、このモデルのなかでも一番売れている。
インテリアはセミ・プレミアムの「Tekna+」とエントリーレベルの「Acenta」を見てみることにした。価格はエンジンによって左右され、£23,000(332万円)~28,000(404万円)となっている。
日産はキャシュカイの燃費を26.3km/ℓと公表しているが、これはクラスでも優秀と言える。
■どんな感じ?
目指すは洗練性の向上
これまでキャシュカイが売れているのは明らかで、フェイスリフトされたバージョンが売れ続けることだって疑う余地はないし、キャシュカイは同クラスのクルマたちのなかでも英国で際立った存在である。
日産が言うには、キャシュカイは静粛性を高めるべく、手が加わっているとのこと。努力の痕跡は、リアウインドウが厚くなったことと、エンジンのリファインに見受けられた。
エンジン音は、高速道路の速度域でも僅かばかり聞こえるだけで静か。風切り音だってそうだ。ボルテックス・ジェネレータがフロントバンパー下に備わっていて、スムーズな空気の流れを作り出しているのが一因である。
dCi110の心臓は、エントリーレベルであるディーゼルエンジン。動力の伝達については改善が見られたものの、いま一歩といったところだ。追い越し加速をする際にはパワー不足を感じてしまうかもしれない。
スポーティSUVを名乗っていいレベル
ステアリングから伝わってくるエンジンの振動は、無いに等しく、ステアリングの感覚は精密そのもの。様々なドライビングスタイルに合わせることができる。
日産はコントロール性を高めるための努力をしたそうだが、実際にこのクルマに乗ることでそれを感じ取ることができるだろう。
ステアリングのモードをノーマルからスポーツに変えてみると、違った心地になる。
どちらの設定も使いやすい仕様となっていて、並みのスポーツカーほどではないものの、スポーティSUVを名乗っていいレベルだ。
燃費は1リットルあたり46.43kmという記録を樹立しているそうだが、これはコンピューターのデータを検証しているための数値である。
やや気になる点もある。
ここさえ良ければ5つ★
機関面での進歩は、ショックアブソーバーを支えるアンチロールバーで、ハイスピードで路面の凹凸を拾うときいい仕事をして見せる。
いっぽうキャシュカイのハンドリングはプレーンで安定しているものの、コーナーにスピードを出して突っ込むとボディロールの呪縛からは逃れられない。
またロールが起こった際、膝はチープな内装パネルに突っ張る形でやりきらなければならない。
内装は、黒やシルバーを混ぜ合わせてデコレーションしたような感じで、携帯をつなげられるシステムがついているものの、もっと直感的に操作できると良くなるはずだ。
■「買い」か?
チャンスがあれば逃す手はない。会社で使うクルマだとすれば、CO2の排出量が少ないのは税金面でも対外的にも良いことだし、燃費もうれしいポイントだろう。
家族で乗るクルマならば乗る人たちを快適に過ごしてもらうためにシートや内装に凝るのも一興。キャシュカイは紛れもなく、中型SUVのキングだ。
日産は今回の試乗車と同じスペックのクルマが、販売台数の約半分を占めると予想している。キャシュカイを買う60%のひとがディーゼルを選び、かつオートマを選ぶとプロパイロットが付けられるようになるが、これを装備するのが30%となるであろう。
標準装備でなく、余分に費用の掛かるオプションであるという部分が少々残念なポイントだ。
1.5dCiは、装備と品質、それからリファインと適正な価格をひとつにまとめたクルマである。ちょっと奮発するなら1.6ℓのdCi 130もある。
柔らかなエッジ、快適なサスペンション、その裏には日産がセアトなどから顧客を獲得するという野望が隠されている。キャシュカイの勢いを止められるクルマがあるだろうか。いや、ない。
日産キャシュカイ1.5dCi
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