■リアルイベントでの展示や社名変更は日本再進出の布石か
2022年1月14日から16日まで、開催された「東京オートサロン2022」。
そのなかで、ひときわ注目を集めたクルマが韓国の自動車メーカー「ヒョンデ(現代自動車、旧ヒュンダイ)」のネッソという燃料電池車です。
ヒョンデといえば2001年に日本へ満を辞して上陸したものの販売面では苦戦を強いられた結果、乗用車販売は8年で終了しました。
そのヒョンデがなぜ今、最新モデルを展示したのでしょうか。今後も日本導入が示唆されているモデルも含め見ていきます。
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日本市場においては2001年に乗用車販売を開始。2002年の日韓ワールドカップや、当時の韓流ドラマブームなどに絡め、さまざまなプロモーションをおこない、イメージ戦略を大々的に展開しました。
しかし、日本の消費者が求めるレベルの高さには合わなかったのでしょうか、販売は不調に終わり2009年に日本における乗用車販売から撤退したものの、ユニバースなどのバスモデルの販売は現在も正規で輸入・販売がおこなわれています。
その後、しばらくの間は大きな動きがなかったものの、2020年2月に開催された「第16回国際水素・燃料電池展 ~FC EXPO 2020~」にて、SUVタイプの燃料電池車(FCV)「ネッソ(Nexo)」が出展されました。
日本語の説明書きや右ハンドルの出展車両を用意し、すでに日本の自家用ナンバープレートも装着していたということなどで大きな反響を呼びました。
ネッソは、世界最大級の電子機器見本市「CES2018」で世界初公開。
それまでもヒョンデは燃料電池車を手掛けていましたが、「トゥーソン FCEV」など、どれも既存車種をベースに燃料電池ユニットを搭載したモデルでした。
しかし、トゥーソン FCEVを置き換える形で投入されたネッソは、ヒョンデが初めて最初から燃料電池車として開発し、市販するモデルとなります。
肝心のスペックですが、容量52リットルの水素タンクを3本に、出力120 kWのモーターを搭載、航続距離はNEDC方式で500mi(804.6 km)を誇ります。
その後、ヒョンデの日本法人は2020年6月に公式ツイッターアカウントを開設し、さまざまな情報発信を始めます。
それとほぼ同時期に、カーシェアサービス「エニカ」において、ネッソがオフィシャルカーとして一般向けに貸し出しを開始していました。
今回の東京オートサロン2022では、自動車メディア「モーターファン」のブースにて、個人間カーシェアのエニカで貸し出されている個体が出展。
一般に貸し出されているとはいえ、日本で普通に乗れることを知らない来場者も多く、期間中は大きな注目を集めていました。
■日本再参入の第一弾はネッソ? 続く第二弾はアイオニック 5?
日本再参入を示唆するような数々のプロモーションをおこない、市場の反応をうかがうヒョンデ。そしてネッソに続く新たなモデルが、今度は話題となっています。
第二弾として予想されているのが2021年2月に発表された電気自動車(EV)の「アイオニック 5」です。
ヒョンデは以前にもハイブリッド車(HV)、プラグインハイブリッド車(PHEV)、EVの3モデルを有するアイオニックというモデルをリリースしていましたが、それを置き換える形で電動サブブランドの「アイオニック」を新たに始動、アイオニック 5を皮切りにローンチしました。
シャープで直線的なデザインに、ピクセル(画素)から想起されたデザインランゲージ、「パラメトリック・ピクセル」。
今までに無かった雰囲気を漂わせるこの小型クロスオーバーは、ヒョンデが急成長する一因となったかつての大ヒット車「ポニー」から着想を得ており、いわば現代版ポニーといっても差し支えはないでしょう。
このアイオニック 5も既に日本に入ってきており、自家用ナンバープレートを装着して公道を走行する様子も横浜近辺で確認されています。
以前からヒョンデの日本法人はアイオニック 5に関する情報も公式ウェブサイトやツイッターアカウントより発信しており、ネッソと共に日本導入の可能性が高い車種として話題を呼んでいました。
13年ぶりの日本、かつて一度は日本市場から撤退した乗用車部門で、ヒョンデはどのように日本での存在を再びアピールすることになるのでしょうか。
導入する可能性の高いモデルは前述のネッソのようなFCV、そしてアイオニックシリーズをはじめとするEVなどの「環境に優しいクルマ」の可能性は高いでしょう。
他国に比べて市場規模としてはまだまだ成長途中である車種群を、ヒョンデはチャンスと捉えているに違いありません。
※ ※ ※
そうしたなかで、2022年1月1日にヒョンデの日本法人は社名を「現代自動車ジャパン株式会社」から、「Hyundai Mobility Japan株式会社」に変更しました。
このような動きからも日本再参入に関する何らかの続報が近日中に出てくる可能性は高いといえます。
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