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レクサスの新型「RX」が教えてくれたプレミアムブランドの本質

掲載 更新 58
レクサスの新型「RX」が教えてくれたプレミアムブランドの本質

現時点で写真の「RX450h+」、価格871万円のPHEVはエコカー減税で約37,500円 、グリーン化特例で約32,500円の減税がある上に令和4年度予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」が550,000円あり、合計で約620,000円の優遇が受けられる。

トヨタ自動車の高級車ブランドとして、1989年に北米でスタートしたレクサス。以来、33年、プレミアムブランドにふさわしいサービスやもの作りを懸命に模索しながら、地道にモデルを投入してきた結果、ようやく今、世界中でプレミアムとして認められ、一定の地位を確立するまでになった。そんなブランドをスタート当初から支え続けてきたのが、これまでに約95の国と地域で累計約362万台を販売されてきたSUV、5世代目に生まれ変わったばかりのRXだ。注目のニューモデルは、果たしてどんなレクサス流儀のプレミアム観を見せてくれるのだろうか?

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継続することでプレミアムブランドは醸成する

ファッションブランドに造詣のある友人が、見るからに上質感のあるアウターを羽織って仕事場に現れた。聞けば、「エディー・バウアー(Eddie Bauer)」の手によって1936年に製作された世界初のダウンジャケット、「スカイライナー(Skyliner)」の復刻モデルだという。丁寧なステッチによって仕上げられたダイヤモンド型のキルトと、見るからに風合いよさそうな生地、そして目と心を惹きつけるデザインが溶け合った、そのダウンジャケットからは、上質さや着る者の心地よさまで伝わってきて、復刻モデルとしての古さなど微塵も感じなかった。そこにはあったのは、一世紀にも渡って培ってきたブランドの存在感と、時間の重さだけ。

エディー・バウアーといえば、1920年にアメリカ・シアトルで設立されたファッションブランド。その代表的モデルであるスカイライナーは、エディー・バウアー自身が真冬のフィッシングで低体温症に陥り、生死の境をさまよった経験から誕生したダウンジャケット。以来、スポーツファッションやカジュアルファッショの世界でも実績を積み上げ、日本でも人気ブランドとして認知されていた。だが、コロナ禍も影響したこともあり業績が低迷し、21年12月には日本市場から撤退していた。しかし、そのブランド力を惜しんだ伊藤忠商事が日本市場における販売権とライセンス権を取得。23年春夏シーズンから日本での取り扱いが、改めて開始されることになった。

だが、もしこのまま日本から消えていたら……。ブランドにとって、とくにプレミアムと呼ばれるブランドにとって、もっとも重視すべきは“継続”。友人が羽織ってきた素敵なダウンジャケットのことを調べながら、そんな分かりきった不文律を改めて思い浮かべることになった。

実はレクサス、ブランド発足当初は散々ないわれようであった。ただ最先端の技術と、考え得る限りの豪華装備を与え、高額なプライスタグを下げさえすれば「高級車なのか?」という具合であった。中には「150万円の軽自動車のハンドルの真ん中に1千万円のダイヤモンドを付け、1150万円といったら、それで高級車か?」などと、辛辣なことをいう人まであった。いくらバブル経済のまっただ中だったとは言え、さすがにそれは失礼すぎる話だが、唯一はっきりしている真実は「一朝一夕では、高級車たり得ない」ということだった。

多分、トヨタは、いやレクサスは、そんなことは十分に分かっていたはずである。だからこそ自分たちがやることは「信じ、続けるだけ」と諦めずに30年以上、継続してきた。その中心となっていたのが「都会派のSUV」、RXだった。そのコンセプトは当たり、初期モデルからグローバルでの成功を納め、プレミアム・クロスオーバーSUVという新ジャンルまで開拓。そしていまでは、ブランドの屋台骨を支える重要モデルになっているのである。

5世代に渡って進化してきたRXは今回、日本仕様としてスポーティさを最優先した2.4LターボHEV(ハイブリッド)の「RX500h」、つぎに2.5LのPHEV(プラグインハイブリッド)の「RX450h+」、そして2.4Lのガソリンターボエンジンを搭載した「RX 350」の3タイプのパワートレーンを準備。その理由といえば、多彩なユーザーニーズに応えるためと、カーボンニュートラルへの貢献。環境を配慮しながら、混み合った市街地やフォーマルなシーンはもちろんのこと、ビジネスエクスプレスとして都市間を高速で駆け、さらにアウトドアシーンなどでも活躍できるような全方位ラインアップである。その駆動方式はガソリンモデルには前輪駆動(FF)モデルも廉価モデルとして用意したが、基本となるのは4WD。オンでもオフでも、つねに安全で快適なドライブを実現し、豊かなライフスタイルを実現するためのプレミアムSUVという立ち位置だ。

その中で注目したいのは前後に1個ずつのモーターを与えた「RX450h+」。PHEVということで総電力量18.1kWhという大容量で高出力のリチウムイオンバッテリを搭載し、プラグインで普通充電を可能とするモデルである。4つある走行モードから「EVモード」という、モーターだけの走行を選択すると、クラストップレベルのEV走行可能距離、86kmが可能となる。これならば住宅街での早朝や深夜、日常的な通勤などでも静粛性の高いモーター走行でこなすことだって可能になる。

一般的には「AUTO EV」あるいは「HVモード」という走行モードを選ぶことになるのだが、こちらはエンジンをモーターがしっかりとサポートしてくれるスポーティ感ある走りを味わえる。このRX450h+に採用されている、前後にモーターを配した電気式の4WDシステムは、トヨタやレクサスの電動車で実績のある「E-Four」を採用。これはかなり出来がよく、発進時や通常走行時に、さまざまなセンサーからの情報を瞬時に判断し、FF(前輪駆動)走行状態から4WD走行状態までを自動的に、駆動力を制御してくれる。ドライ路面はもちろんのこと、滑りやすい雪道や雨天時、さらに悪路走行での安定感は高く、実に心強い走りになっている。当然ながら大容量リチウムイオンバッテリを床下に搭載したことで、低重心となり、コーナーを抜けるときなどはフラットで安定し、安心感はさらに高まることになる。

さらにもうひとつ、「先読みエコドライブ」という機能はありがたい。ナビで目的地を設定することで、駆動用バッテリーの残量や、設定されたルートとなる道路の属性・特性に応じ、自動的にEV走行とHV走行を切り替えながら、もっともエネルギー効率のよい走りをサポートしてくれるのだ。省燃費ドライブにとって実に心強いシステムである。

トヨタの最先端技術を満載し、細部にまで気づかいの行き届いたキャビンでRXのドライブを楽しむ。そこにあったのはレクサスが30年にわたって創り上げてきた快適にして平和な時間。これに対してユーザーは871万円という対価を支払うのである。

世界のプレミアムブランドに目を向ければ、レクサスの30数年という歴史は、まだ若造の部類であろう。なにより時間という尺度で考えれば、先人たちには永遠に追いつくとは出来ない。だがブランドを絶やすことなく、時代性を纏った優れたモデルを投入し続ければ、近い将来「プレミアムの志」では、越えることだって可能なはず。本当によく出来たRXに乗ってみると、今まで以上に「時を惜しむな、名を惜しめ」と、感じたのだ。

デザイン上のハイライトはやはりリヤ・フェンダーの力強い盛り上がりと、ボディサイドの躍動感あるボディ面。色っぽささえ感じるRXならではの世界観を演出している。

ドライバー人間中心の思想でレイアウトされたインパネで疲労感も少ない。前後方に対応するドライブレーコーダーや、冬場に重宝するステアリングヒーターなど装備が標準という点も嬉しい。

オートエアコンと連動してシートヒーター、シートベンチレーション、ステアリングヒーターを緻密に自動制御することで、乗員それぞれにとって心地いい最適な環境を作り出す。

リクライニング機能を持ったリアシートにはシートヒーターを採用。旧型よりホイールベースは60mm延長されたことで、リアシートの足元のゆとりなど居住性はさらに向上。

カップホルダー前方に置くだけでスマートフォンやモバイルバッテリーなどの充電が行える「おくだけ充電」を装備。

伝統的にオーディオの音作りにもこだわりを見せるレクサス。マークレビンソンのオーディオシステムを装備している。

5人乗車でリアシートの背もたれを立てたままでも、床の奥行きは1メートルを超える。カタログ値の容量は612Lを実現。スーツケースでいえば77Lと63Lを、それぞれ2個ずつ搭載出来るのだ。

アウトドアやスポーツシーンで電化製品を使用したりする際に重宝する100V/1500Wのソケットをラゲッジスペースの壁にも装備。

リアシートの乗員用として100V/1500WのソケットやUSBソケットを装備。車内でのPCやタブレットでのビジネス用途でも重宝。

「RX450h+」の直列4気筒エンジンとモーターによるPHEVのハイブリッドシステムは通常走行でもモーターが積極的にサポートに入ることで静かで軽快でエコな走りが可能だ。

ボディ右後方に普通充電用ポートを装備。満充電までの充電時間は200V/16Aで約5時間30分、100V/6Aで約33時間だ。

【レクサス RX450h+】
全長×全幅×全高:4,890×1,920×1,695mm
車両重量:2,160kg
最低地上高:195mm
最小回転半径:5.9m
エンジン:水冷直列4気筒DOHC 2,487cc
最高出力:136kw(185PS)/6,000rpm
最大トルク:228Nm(23.2kgm)/3,600-3,700rpm
エンジン:水冷直列4気筒DOHC 2,487cc
フロントモーター
最高出力:134kw(182PS)
最大トルク:270Nm(27.5kgm)
リヤモーター
最高出力:40kw(54PS)
最大トルク:121Nm(12.3kgm)
WLTCモード燃費:18.8km/l
車両本体価格:¥8,710,000(税込み)

問い合わせ先:レクサス・インフォメーションデスク 0800-500-5577

TEXT:佐藤篤司(AQ編集部)
男性週刊誌、ライフスタイル誌、夕刊紙など一般誌を中心に、2輪から4輪まで“いかに乗り物のある生活を楽しむか”をテーマに、多くの情報を発信・提案を行う自動車ライター。著書「クルマ界歴史の証人」(講談社刊)。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。

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みんなのコメント

58件
  • 買えもしない人たちが騒いでるw
  • 高額車がプレミアムカーというわけでは無い!
    プレミアムブランドは長年かけて作って行くものであると思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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