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「フェラーリ275GTB」 なぜ、再び値上がりしたのか? オークションの動向と人気のワケ

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「フェラーリ275GTB」 なぜ、再び値上がりしたのか? オークションの動向と人気のワケ

フェラーリ275GTBとは?

クラシック・フェラーリのなかで1960年代を代表する存在が「275GTB」である。

【画像】フェラーリ275GTB 出品車両【落札金額が分かる】 全50枚

流麗なスタイリングと280psを発揮する12気筒エンジンという組み合わせは最強で、誕生以来世界中で高い人気を誇り、GTカーの象徴であり続けている。

それだけに2022年の現在も、オークションでは高額で落札されている。275GTBが人気を集めている理由と、最近の価格動向を調べてみた。8月のモントレー・オークションの結果とともにご紹介しよう。

1960年代初頭のフェラーリは、「250GT SWB」と進化型の「250GTO」でGTレースを闘い、一般オーナー向けに豪華版の「250GT/Lルッソ」を用意していた。

後年レース用と一般オーナー向けGTを統合することになり、開発されたのがパフォーマンスと快適性を両立させた275GTBだ。またGTBを謳う最初のモデルでもある。

エンジンは250系で実績のある3.0Lコロンボ・ユニットを拡大し280psを発揮するティーポ213型3.3Lユニットを搭載。モデル名の「275」は1気筒あたりの排気量を示す。

機構的には、優れた前後重量配分を実現するトランスアクスルをGTで初めて実現し、4輪独立懸架と4輪ディスク・ブレーキを採用するという先進性を備えていた。

まずショートノーズが登場し、1965年からはロングノーズに変わる。1966年になると4カム=DOHCエンジンに進化し、モデル名も275GTB/4となる。

市販版275GTBの生産台数は、ショートノーズが236台、ロングノーズが206台、GTB/4は331台、合計で773台と当時のフェラーリの中でベストセラーとなった。

値上がりの時代へ 価格の推移

275GTB最大のチャームポイントは、ピニンファリーナによるロングノーズ、ショートデッキという高性能GTカーを象徴する流麗なスタイリングにある。

そして官能的なサウンドを奏で、パワフルな12気筒エンジンが後押しする。当時のライバルは6気筒や8気筒がほとんどで、275GTBは圧倒的な優位性を持っていたのだ。

275GTBは誕生して以来、いつの時代も高い人気を誇ってきた。新車時はもちろんのこと、現在も「決めの1台」として評価されている。

275GTBの21世紀初頭の取引額は、不人気な12気筒2+2モデルが数万ドルだったのに対し、275GTBは20~30万ドルと高額だが、まだ手が届く範囲にあった……。

それが、2004年頃から値を上げ、すぐさま100万ドルを突破。

リーマン・ショックで一時下落したものの、2011年には100万ドル超えの存在に戻っている。

また人気の250GT SWBが高騰して800万ドル超えという手が届かぬ存在になってしまう。そこで愛好家が値ごろな275GTBに注目したことも、値上がりの要因の1つとなった。

2014年からのオークションバブル期になるとショートノーズが200万ドル、ロングノーズで275万ドル、GTB/4は365万ドルと急騰。その後2~3割ほど下げて沈静化したように見えた。

余談だが、20世紀末には250GTOが300万ドル強で買えた。20年で275GTBがそれ以上の額になったが、250GTOは今や5000万ドルでも買えないほど上昇してしまった。

モントレーオークションの結果

2022年8月に北米で開催されたRMサザビーズ・モントレー・オークションには、3台の275GTBが並んだ。

「275GTB 6C」「275GTB/4」「275GTB/C」である。それでは順に説明してゆこう。

「275GTB 6C」は、60台が作られたショートノーズの6キャブレター版で300psを発揮。出品車は2オーナーで、2001年のレストア後はリビングに飾られていたという。

素晴らしいコンディションを保ちクラシケ認定付きだが、2015年のオークションバブル期に記録した「6C」の最高落札額となる391万ドルに及ばず、281万ドル(約3億8497万円)に留まった。

「275GTB/4」は、6台のみが作られたブラックのボディカラーで、良好な状態を保っていたことから今回バブル期に迫る352.5万ドル(約4億8293万円)で落札された。

「275GTB/C」は別格 10億超え

競技用に造られた「275GTB/C」(S/N:09067)は、12台のみという希少性と、3年に及ぶ徹底したレストレーションが評価され759.5万ドル(約10億4052万円)で終えた。

昨年のモントレー・オークションではフィリピネッティ・チームで活躍した「275GTB/C」(S/N:09079)が出品され、770.5万ドルという過去最高額で落札された。

今回の「275GTB/C」のコンディションは完璧だったが、当時プライベーターが乗った個体でヒストリー的に弱いため高値更新することはできなかった。

こうして見直すとフェラーリ275GTBの人気は健在で、落札額は長期的には上昇基調になっている。

人気モデルは経済不安や天変地異がない限り、値を下げることはないのである。

しかし、最近の円安の影響から日本円に換算すると高額になってしまい驚かされる。日本の愛好家にとって海外からの購入は、しばらくは厳しい状況が続きそうだ。

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みんなのコメント

1件
  • 初代ではなく、中途半端なシルビアが600万円、GTRが4000萬らしいから、比較して275GTB、250GTOは全然安いな。
    トヨタ2000GTの1億円も安いと思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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