オートサロン搬出時の「空ぶかし」騒動
text:Kumiko Kato(加藤久美子)
【画像】ユニークな日本車カスタムも 注目あつめたオートサロン出展車両 全64枚
東京オートサロン2020は3日間合計で33万6060人が来場。過去最多の動員を記録し1月12日(日曜日)に幕を閉じた。
雷鳴のごとき爆音が東ホール全体に響き始めたのは、オートサロンが閉幕した18時から間もない頃だった。
各ブースでは片付けの作業や終礼が始まりつつあり、許可を得た出展車両から搬出の準備を始めていた。
2台のランボルギーニ・アヴェンタドールによる空ぶかしの非常に耳障りな爆音は執拗に続いており、やめてほしいとお願いに行った関係者もいたようだが、空ぶかしが止まることはなかった。
2台は自社ブースではなく通路に出て空ぶかしをおこなっていたため、事情を知らない周囲の人々の中にはその2台をLBワークスのクルマ(ボディキットはLB製でLBステッカーなども貼られていたことやLBのブースも近くにあったことが理由?)だと勘違いして、同社のスタッフに「空ぶかしをやめさせて欲しい」と要望してきた人もいたようである。
そこでLB関係者の1人が空ぶかしを続けるランボのドライバーにやめるように要望したがそれでも止まることはなく、ついにLBワークスのトップである加藤渉氏が交渉に向かった。
ネットの書き込みの中には「喧嘩」や「乱闘」、中には「殴り合い」と言った表現があるが暴力的なことはなかった。「言い争い」「もみ合い」程度のトラブルだったようである。
筆者に同行していたカメラマンが現場で撮った録画を見て確認もできる。
なぜ、空ぶかしを行っていたのか?
その2台の空ぶかしはすさまじい高音の爆音だった。ランボルギーニ・アヴェンタドールに標準装着されているマフラーではもちろんない。どんなマフラーだったのか?
事情に詳しい関係者いわく「高音が特徴の『スタードロッパー』という自社ブースで取り扱っているマフラーを装着していたと思います」
「非常に高額なマフラーで、アヴェンタドール用は1基約200万円位しますね。当然のことながら、公道走行が認められる音量ではありません」とのことだった。
なぜ、禁止されている屋内での空ぶかしを執拗におこなっていたのか?
「動画を撮影しているファンのためにおこなっていたのではないか?」という声がある一方、「あの集団は毎回爆音で走ることを楽しんでいる」という声もある。
問題はさらに続く。
搬出後、2台のアヴェンタドールは何とそのまま公道を走り続けたのである。
筆者はその時、出展ホールの外周道路で渋滞にはまっていた。
爆音をとどろかせ、激しいフラッシュライトの光をまき散らしながら2台のアヴェンタドールが対向車線から走って来た。
ホールの周辺を少なくとも2周はしていたと思われる。(渋滞の中で2回遭遇した)
迷惑で不快な行為 法的にNGなことは?
この2台の行為は周囲に対して迷惑な行為であることは当然だが、東京オートサロンの出展規約、幕張メッセの規約や消防法/道交法/道路運送車両法(保安基準)など各種の法的ルールを破っていることも大きな問題である。
搬出時のルールはいくつかあるが、
・指示されるまではブースから車を動かさない
・エンジンを掛けるのは搬出で移動するときのみ
・不要にエンジンを掛けない
など。
これらは空ぶかしの最中にもアナウンスされていたが、当然爆音の中で聞こえるはずもないだろう。
空ぶかし以前に搬出の指示が出される前に、エンジンを掛けたり車両を動かしたりの行為は当然NG。
オートサロンの出展規定の中にも、「火災予防条例により展示場内においては、エンジンをかけることは禁止(金~日 開催時間中、残業時間帯、有料残業時間帯)」
とある。
さらに、保安基準に適合しないマフラーやフラッシュライトなどを装備していることで、本来は公道での走行もNGだ。
キャリアカーに載せて移動するのがルールである。
爆音もさることながら、デイライトストロボLEDやフラッシュライトと呼ばれる非常に眩しい灯火の使用について触れておこう。
最近、違法な電飾によるカスタムが増えつつあるので今一度確認されたい。
「その他の灯火」として認められる電飾とは
2台のアヴェンタドールにはいずれも、恐ろしく眩しい違法なストロボLEDライトが装着されていた。
これらは道路運送車両の保安基準により以下の理由でNGとなる。
・光量300カンデラ以下→ストロボLEDの光量は5000カンデラ以上
・光源が外を向いていない→思い切り外に向いている
・車両後部に「白色」灯火は禁止→ライトの色は白
また、点滅する灯火はヘッドライトはもちろん、その他の灯火として装着した場合も保安基準に抵触する。
「他の交通の妨げになるような光」を出していたら、装備される場所も光量も色も関係なくすべてNGとなる。
東京オートサロンの出展規定には「競技車両以外、公道走行を前提とした車両保安基準に則ったクルマづくりをする」という一文が盛り込まれており、出展車両にはすべて、「公道走行可」か「公道走行不可」か、いずれかの表示が義務付けられている。
不可の車両は移動時、積載車に載せるのがルールだ。
1983年から続いてきた東京オートサロンは本物のクルマ好きが集まるクリエイティブなイベントである。
不正改造車を排除し、ルール順守を徹底することはオートサロンが長く続くために欠かせない条件。
実際、爆音で走行するなどルールを無視した関係車両によって、歴史ある車イベントを含む数件が近年、中止に追い込まれている。
ほんのわずかな心ない出展者のせいでオートサロンが終わってしまうことなどないように。
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みんなのコメント
いや、オートサロンが開催出来なかったら全部こいつらに請求回してやれ(笑) 余裕で払えるだろ?
ダサいわー、ホントダサい。車も人も。