現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > フレキシブルウイングはリヤにも? マクラーレンの”ミニDRS”とも言える新たな手法が明るみに。ピアストリ2勝目を後押しした?

ここから本文です

フレキシブルウイングはリヤにも? マクラーレンの”ミニDRS”とも言える新たな手法が明るみに。ピアストリ2勝目を後押しした?

掲載 1
フレキシブルウイングはリヤにも? マクラーレンの”ミニDRS”とも言える新たな手法が明るみに。ピアストリ2勝目を後押しした?

 F1アゼルバイジャンGPでは、マクラーレンのリヤウイングが注目を浴びることになった。メインストレートを含む長い全開区間を走行するマクラーレンのリヤウイングのフラップが、後方に向けて倒れるように歪んでいるのが、オンボードカメラで映し出されたのだった。このことは、今後技術面に関する論争の火種となる可能性がある。

 オスカー・ピアストリがドライブするマクラーレンMCL38の後方を映したオンボードカメラ映像では、リヤウイングに負荷がかかった際に、フラップが歪んでいるのが映し出された、速度が上がるに連れてこのフラップが後方に歪んでいるようで、これによって空気抵抗が減り、直線スピードが向上している可能性がある。つまり、フレキシブル・リヤウイングになっているようだ。

■エンジニアの助言を完全無視したオーバーテイクが勝因に。バクー戦振り返るピアストリ「あのチャンスを逃したら次はないと思っていた」

 今シーズンは、フロントウイングがフレキシブルウイングとなっていることについて注目されてきた。しかし今後は、リヤのフレキシブルウイングについても、議論の的となっていくかもしれない。

 マクラーレンの”フレキシブル”リヤウイングについては、後方を走っていたフェラーリのシャルル・ルクレールがDRSを使っているにも関わらず、ピアストリがこれを抑え続けたレースが終わった後に注目された。

 F1では長い間、フレキシブルウイングが合法なのか、あるいは非合法なのかということが、議論され続けてきた。各チームはFIAの静的テストをクリアしつつ、空気抵抗によって変形するウイングの開発を常に模索してきた。この開発がうまくいけば、コーナーではしっかりとダウンフォースを得ながらも、ダウンフォースを必要としない直線走行中の空気抵抗を減らすことができ、マシンの全体的なパフォーマンスを引き上げることに繋がるからだ。

 FIAの静的テストは、基本的には安全対策に重点が置かれている。しかしフレキシブルウイングは、レギュレーションが目指す考え方とは違うということもあり、取り締まりが強化されてきた。

 そのため各車に搭載されたオンボードカメラ映像を活用。ウイングの変形がどのように起きているのかを確認する手段が確立された。これは2021年から導入されていて、FIAは全てのチームのリヤウイングのメインプレーンとフラップの特定の箇所に12個の位置特定用のステッカーを貼るように要請した。そしてこれを後方を映したオンボードカメラを使って確認するという形だ。なおフラップに6箇所、メインプレーンに6箇所、白い点が貼られており、この位置を測定するという手法になっている。

 ただこれは主に、リヤウイングの変形を自主的に確認するための手段として機能していたと見られている。

■ミニDRSは効果的

 この写真をご覧いただくとわかるように、高速走行中のマクラーレンのリヤウイングのフラップ前端が、少し上に持ち上がっているように見える(赤い矢印の部分)。これは今回のアゼルバイジャンGPに新たに持ち込まれたものではないはずで、FIAとしてはレギュレーションの範囲内にあることを確認できているものと見られる。

 この効果は、フラップとメインプレーンの間に隙間を開けることで、DRSを開いた時と似た効果が得られている可能性が高い。もちろん、開く大きさが違うので、同じ効果というわけではない。ただ、リヤウイング全体に負荷がかかると、フラップが後方に倒れるため、1周にわたってパフォーマンスを向上させることができるはずだ。

 たとえばアゼルバイジャンでは、メインストレートを含む全開区間以外にも、中間セクターでもフラップが歪んでいるのが確認できた。ただその時のフラップの動きは、メインストレートほどではなかった。

 まさに”ミニDRS”とでも言えそうなこのマクラーレンのフレキシブル・リヤウイング。この技術は、F1のエンジニアが示した独創性の新たな例だと言えよう。F1では、ライバルが考えすらしなかった方法でレギュレーションを解釈する方法を見つけることで、優位に立つ一助にすることができる……そんなスポーツなのだ。

 そしてもっと興味深いのはこれからのことだ。他のチームも、間違いなくこの設計手法を取り入れてくることだろう。しかしながら、今シーズンの高速サーキットでのグランプリは、ほとんど終了してしまった。そのことを考えると、今シーズン中にマクラーレン以上にこの手法を活用できるチームは出てこないだろう。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

日本の道路事情にピッタンコ!? 旧型「ミニ」生産終了から四半世紀 なぜ高値安定なのか?
日本の道路事情にピッタンコ!? 旧型「ミニ」生産終了から四半世紀 なぜ高値安定なのか?
乗りものニュース
【メキシコ】日産の新型「キックス」が人気スギ!? 8年ぶり全面刷新で“大胆顔”に!全長4.3m級ボディ&「クラス超え上質内装」の「小さな高級車」が売れてる
【メキシコ】日産の新型「キックス」が人気スギ!? 8年ぶり全面刷新で“大胆顔”に!全長4.3m級ボディ&「クラス超え上質内装」の「小さな高級車」が売れてる
くるまのニュース
ホンダが大型スクーターの「X-ADV」をアップデート! 新型ヘッドライトや先進装備の採用で「カッコよさ&快適性」が大幅アップ
ホンダが大型スクーターの「X-ADV」をアップデート! 新型ヘッドライトや先進装備の採用で「カッコよさ&快適性」が大幅アップ
VAGUE
輪留めは物理的なブレーキであると共に気もちのブレーキとしても重要! 輪留めがプロドライバーの意識を高めていた
輪留めは物理的なブレーキであると共に気もちのブレーキとしても重要! 輪留めがプロドライバーの意識を高めていた
WEB CARTOP
グーマガ 今週のダイジェスト【12/14~12/20】池田直渡氏、吼える!
グーマガ 今週のダイジェスト【12/14~12/20】池田直渡氏、吼える!
グーネット
[DSP大全]「イコライザー」をプロ並みに使いこなすスペシャル・テクを紹介!
[DSP大全]「イコライザー」をプロ並みに使いこなすスペシャル・テクを紹介!
レスポンス
ホンダウエルカムプラザ青山が本社ビル建て替えのため2025年3月31日で休館。最後のイベントを開催へ
ホンダウエルカムプラザ青山が本社ビル建て替えのため2025年3月31日で休館。最後のイベントを開催へ
AUTOSPORT web
F1タイヤの34%が未使用で”ムダ”に。ピレリのデータから浮き彫りになる対策の必要性
F1タイヤの34%が未使用で”ムダ”に。ピレリのデータから浮き彫りになる対策の必要性
motorsport.com 日本版
どうして隣の車にビタ付きで走るの…? 謎の「トナラー運転」の行動心理を交通心理士がズバリ解説
どうして隣の車にビタ付きで走るの…? 謎の「トナラー運転」の行動心理を交通心理士がズバリ解説
乗りものニュース
レクサスの“小さな高級車”「LBX」がスゴい! 全長4.2mの小型ボディに“クラス超え”高級インテリア採用! どんなモデル?
レクサスの“小さな高級車”「LBX」がスゴい! 全長4.2mの小型ボディに“クラス超え”高級インテリア採用! どんなモデル?
くるまのニュース
マルチスズキ、『ワゴンR』発売25周年を祝う…3年連続インドベストセラー車に
マルチスズキ、『ワゴンR』発売25周年を祝う…3年連続インドベストセラー車に
レスポンス
新たなF1公認番組の製作が進行中か。ダニエル・リカルドのHuluシリーズに似た作品に?
新たなF1公認番組の製作が進行中か。ダニエル・リカルドのHuluシリーズに似た作品に?
motorsport.com 日本版
ティムの息子ヤコブ・ベルグマイスターがSFライツテストに参加「父とまた日本に来ることができたら」
ティムの息子ヤコブ・ベルグマイスターがSFライツテストに参加「父とまた日本に来ることができたら」
AUTOSPORT web
『ADVAN Sport』全面訴求。横浜ゴムがTAS2025でタイヤ、ホイール、カスタムカーなど幅広い展示
『ADVAN Sport』全面訴求。横浜ゴムがTAS2025でタイヤ、ホイール、カスタムカーなど幅広い展示
AUTOSPORT web
横浜ゴムはタイヤ/ホイールの2ブース出展、織戸茉彩選手の『MAAYA GR86』展示も…東京オートサロン2025
横浜ゴムはタイヤ/ホイールの2ブース出展、織戸茉彩選手の『MAAYA GR86』展示も…東京オートサロン2025
レスポンス
スバル/STI、BRZ GT300とWRX NBR CHALLENGEの2025年モデルを展示へ。東京オートサロンの出展概要を発表
スバル/STI、BRZ GT300とWRX NBR CHALLENGEの2025年モデルを展示へ。東京オートサロンの出展概要を発表
AUTOSPORT web
F1ドライバーとFIA間に横たわる溝。ラッセル「ベン・スレイエム会長は、ドライバーたちに目標を伝えるべき」
F1ドライバーとFIA間に横たわる溝。ラッセル「ベン・スレイエム会長は、ドライバーたちに目標を伝えるべき」
motorsport.com 日本版
佐藤琢磨&岩佐歩夢のF1トークイベントを東京オートサロンで開催。オートスポーツweb読者限定で観覧ご招待
佐藤琢磨&岩佐歩夢のF1トークイベントを東京オートサロンで開催。オートスポーツweb読者限定で観覧ご招待
AUTOSPORT web

みんなのコメント

1件
  • wat********
    可変ウィングは許されないが ガラスの様に堅いと割れ、ゴムの様に柔らかいと 変形してしまう
    柔軟で軽く強い 最適解のカーボンでも、一定の逃げの撓みが必要
    概念は 「安全で一定に機能する、出来るだけ変形しない様に デザインされたウィングである事」 の筈が
    安全の為に許された 必要な歪みを、予め 一定では無く変化する形と機能に利用されたデザインは、禁止させるべきなのだが
    その検査方法が 今の所FIAの技術陣にはなく、車検を通してしまっている
    この安全面に関する 流動的なデザインは、事前の許可を仰ぐのは禁止にし 車検を一度通っても、後の動画映像に 変形が視認された場合、それ迄のセッションは不問だが 再車検が必要になり、使用出来なくされる事もあると、技術規定指令書に 記すべきだなw
    見た目の変化の フレキシブルなだけならまだしも、性能まで変わって利益があるのでは それは可変ウィングだ


※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村