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【F1第20戦無線レビュー】「最高のレースのひとつだった」後方から5位入賞のノリスにチームも最大限の賛辞を送る

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【F1第20戦無線レビュー】「最高のレースのひとつだった」後方から5位入賞のノリスにチームも最大限の賛辞を送る

 2023年F1第19戦メキシコシティGP。母国グランプリを迎えたセルジオ・ペレスが、スタート直後の接触によりリタイアするという波乱のスタートとなった。ポールポジションからスタートしたマックス・フェルスタッペンは2ストップ戦略で勝利を狙い、ライバルたちは問題を抱えるフェルスタッペンをなんとか攻略しようと尽力。その後方では角田も入賞を目指してライバルを追っていた。メキシコシティGPを無線とともに振り返る。

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マクラーレン代表、後方から上位入賞のノリスを称賛「私が関与したなかで最高のレースのひとつ」/F1第20戦

 王者マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がシーズン16勝目を挙げたレース、そして何よりもセルジオ・ペレス(レッドブル)と角田裕毅(アルファタウリ)が痛恨の接触事故を起こしたレースだった。

 スタート直後の1コーナー、フェルスタッペン、シャルル・ルクレール(フェラーリ)、ペレスが3ワイドで1コーナーへ進入。真ん中に挟まれて逃げ場のない形のルクレールとペレスが接触し、ペレスのマシンが跳ね上がった。

1周目
ペレス:どうしたらいい? ダメージはあるのか?
ヒュー・バード:入ってこい。ボックスだ

3周目
シャビエル・マルコス・パドロス:フロントウイングにダメージがあるが、ステイアウトする。特に大きな問題は見えない
ルクレール:OK

 ペレスはそのまま母国グランプリを終え、ルクレールは2番手で周回を続けた。後方では17番手スタートのランド・ノリス(マクラーレン)が激しい追い上げを見せ、10周目には14番手まで上がっていた。

ウィル・ジョゼフ(→ノリス):右に出るんだ

 平地より空気が20%薄いメキシコシティでは、エンジンやブレーキがすぐ加熱してしまう。前のクルマを抜こうと接近戦を繰り広げるノリスも、油温や水温が上がっていた。右側にラジエターがあるので、担当エンジニアが冷やせと指示した。

 首位のフェルスタッペンはペースをコントロールしながらの余裕の周回だが、ハンドリング不良を訴えていた。

13周目
ジャンピエロ・ランビアーゼ:ターン3の縁石を避けたほうがいい
フェルスタッペン:ちゃんと打つようにしてるけど、ハンドリングがよくないんだ

 2番手のルクレールは、ダメージを負ったフロントウイングの影響はそれほど大きくないようだ。ペースを見る限り、むしろ前後バランスは好転しているかもしれない。

19周目
フェルスタッペン:タイヤがそろそろダメだ

 フェルスタッペンは19周目と、早めのピットイン。ミディアムタイヤからハードタイヤに交換し、ジョージ・ラッセル(メルセデス)の後ろ、7番手でコースインした。

 6番手オスカー・ピアストリ(マクラーレン)を追っていたラッセルは、26周目まで引っ張ってピットイン。しかしピアストリのふたつ後ろ、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)に遮られる形でコースに戻ったことに不満タラタラだった。

28周目
ラッセル:どうしてアルボンの後ろになったんだ? オーバーカットできたのに
マーカス・ダドリー:ハードタイヤのノリスのリスクを避けたかったからだ
ラッセル:リスクだって? 彼はもうすぐピットインだろう?

 特にレース後半は、ブレーキのオーバーヒートとグリップ不足に苦しんだラッセル。最終的にノリスにかわされ、6位が精一杯だった。

 33周目、ケビン・マグヌッセン(ハース)がターン8でクラッシュ。まずセーフティカーが導入され、すぐに赤旗中断となった。

 6番グリッドスタートのルイス・ハミルトン(メルセデス)は、この時点で3番手まで順位を上げていた。しかし中古のミディアムタイヤでの再スタートに不安を訴える。それに対し担当エンジニアのピーター・ボニントンが、大丈夫だと励ます。

ハミルトン:他のみんなの方がタイヤはフレッシュだよね
ボニントン:いや、タイヤオフセットは、大したことはない

 実際、再スタートしてからのハミルトンのペースはよく、40周目にはルクレールを抜いて2番手に上がった。しかし弱音は、相変わらずだ。

41周目
ボニントン:このまま行くぞ
ハミルトン:かなり厳しいスティントになるよ

 ハミルトンに抜かれたルクレールだが、パドロスが「ペースは逆転するはずだ」と伝えた。

44周目
パドロス:あと5周後には、ハードの方がミディアムより速くなるはずだ

 しかし路面温度が下がったこともあって、ミディアム勢のペースは期待したようには落ちなかった。

 49周目、7番手争いを繰り広げていたピアストリと角田がターン1で接触してしまう。

49周目
ピアストリ:僕の前を横切ってきた
角田:なんてことだ!

 角田は16番手に後退。再び入賞圏内に戻ろうと、必死の追い上げにかかった。

マッティア・スピニ:君の方が、前のクルマたちより速い
角田:情報は何も必要ない。何も言わなくていい

 レース状況を伝えようとする担当エンジニアのスピニだが、角田にそんな余裕はないようだった。

 対照的だったのが、エステバン・オコン(アルピーヌ)。なかなか抜かせてくれないニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)に怒るでもなく、こんなユーモラスな無線だった。

54周目
オコン:これから行くぞって、ハースに伝えてくれる? 向こうも準備があるだろうし

 67周目にはヒュルケンベルグをかわし、10位入賞を果たした。

 一方、12番手まで順位を上げていたローガン・サージェント(ウイリアムズ)には、最終周に無情な無線が。

71周目
ガエタン・イエゴ:ローガン、スロットルを戻して、クールダウンだ。ピットに向かってくれ、チェッカーは受けられない。申し訳ない。
サージェント:ああ~!! ダメなのか?
イエゴ:ボックスだ。本当にすまない。最後の数周、なんとか問題を解決しようとしたんだが、ダメだった

 1週間前の母国グランプリでF1初入賞を果たしたサージェントだったが、残念な結果に終わってしまった。

 首位を独走したフェルスタッペンが、今年もメキシコを制覇。これでシーズン16勝目を挙げた。

ランビアーゼ:マックス、また勝ったぞ。そしてまた、記録更新だ
クリスチャン・ホーナー代表:素晴らしい。素晴らしい運転だった。特にレース後半のハードタイヤは、最高だった
フェルスタッペン:力強いレースができた。みんなありがとう

 2位には、中古のミディアムで走り切ったハミルトンが入った。

ハミルトン:やったぜ。最高だ。すごいピット作業だったし、すごい戦略だった。難しい週末だったけど、ここまで来れた。本当にありがとう

 そして5位まで這い上がってきたノリスに対しては、担当エンジニアのウィル・ジョゼフが最大限の賛辞を送った。

ジョゼフ:P5とはいえ、最高のレースのひとつだったぞ。よくやった
ノリス:そうだね。たらればを言ってしまえば、キリがないからね。すごいレースだったし、素晴らしいペースだった。昨日(の予選)は、本当に申し訳ない。すべてが噛み合えば、必ずまた表彰台に上がれるね

 今回もまた、ドライバーと担当エンジニアの様々な関係性が垣間見えた決勝レースだった。

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みんなのコメント

1件
  • yk1********
    ノリスが此処まで追い上げるとは想像もできなかった。
    素晴らしい感性と技術の持ち主だ。マクラーレンは
    良いドライバーを持っている。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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