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売れなかった先代から大逆転ホームラン メーカーの救世主となった車 5選

掲載 更新 20
売れなかった先代から大逆転ホームラン メーカーの救世主となった車 5選

 クルマに限らず売れ行きを左右する要素はいろいろある。

 まず、その時代のニーズを満たしているのか、という点は重要だ。出る時期が早すぎた、などと表現されるクルマはたいていが時代にマッチしていなかったりする。

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 そのほかクルマは趣味趣向が反映され、売れ行きにも大きく影響する。その最たるものがデザインで、パワーや燃費のように数字で優劣がつくものではないだけに非常に難しい。

 偶発的なものを含めいろいろな要素が絡み合って、商品は売れるのだが、高性能、出来がいいだけで売れるとは限らない。特に20世紀に入ってからは、明らかなダメグルマというのは存在しない。だから売れない=ダメなクルマではない。

 本企画では販売面で苦戦モデルの後に登場し、起死回生の逆転ホームランとなったブランニューカーについて見ていく。

文:永田恵一/写真:HONDA、MAZDA、NISSAN、MITSUBISHI

【画像ギャラリー】大逆転ホームランをかっ飛ばした救世主車の飛び道具を全部見せます!!

ロゴで苦戦後に成功した初代ホンダフィット

販売期間:2001~2007年

ワンモーションフォルムのハッチバックで、ロゴに比べるとデザインに華がある。このフィットがコンパクトカーのベンチマークにもなった

 ホンダのシビックより小さいコンパクトカーの元祖は1981年に登場した初代シティで、背の高いトールボーイというコンセプトと親しみやすいデザインで大ヒット。

 しかしガラリとコンセプトチェンジした2代目は1986~1995年まで約9年間にわたり販売されたが、初代のような存在感はまったくなく、シティの名前は消滅してしまった。

 そのシティの後継モデルとして登場したのがロゴだったが、輝くことはできなかった。

シンプルさを追求したがあまりにも地味過ぎたロゴ。シンプルに徹して成功したクルマはあるがロゴの場合はうまくいかなかった

 最大の要因はシンプルでオーソドックスなエクステリアで、ユーザーには地味で華がないと映った。

『ハーフスロットルの高性能』というコンセプトにより、街中での走りはキビキビとしていたが、アクセルに敏感なことから落ち着きがない、という不満にもなった。

 スポーツモデルのTSを追加するも、大きな効果を上げることができず、1代限りで消滅。

 そのロゴの後継モデルがフィットで、ホンダ車の歴史に残る大ヒットモデルとなった。

 成功の要因はいくつもあるが、ユニセックスなエクステリアデザインにより、女性だけでなく男性ユーザーを獲得できたのは大きい。

センタータンクレイアウトという飛び道具を得て、コンパクトカーとは思えないような広い後席スペースを実現。これは現行フィットにも継承されている

 そして燃料タンクを前席下に配置するセンタータンクレイアウトという飛び道具の採用により、広々とした室内スペースを確保したことが最大の要因だ。

 このクラスはトヨタヴィッツ、ファンカーゴ、日産マーチがマーケットを席巻していたが、フィットは室内広さと後席の快適性に代表される「これ1台で十分」というライバルにない強力な武器を得て大成功した。

 ただ、フィットの台頭により結果的に日本におけるシビックの居場所が難しくなってしまったのはちょっと皮肉だった。

キャパで苦戦後に成功したホンダモビリオ

販売期間:2001~2008年

欧州の路面電車をモチーフにしたエクステリアデザインはお世辞にもスタイリッシュではないが見た目で実用性の高さがわかるモビリオ

 キャパはコンパクトハイトワゴンとして1998年にデビュー。当時ホンダが掲げていたJムーバーの第1弾として登場した。

 内外装の質感は高く、室内スペースもゆったりとしていたので、ポストセダンのファミリーユースをも狙ったモデルだった。

 しかしほぼ同時に日産が初代キューブをデビューさせた。キューブはクルマの出来はお世辞にもいいとは言えなかったし、リアは2人乗りで乗車定員は4名となっていたため、キャパの圧勝と思われていたが、予想を覆しキューブの圧勝となった。

 キャパの最大の敗因は価格設定にあり、キューブより数万円高いだけだったが、ユーザーは安いキューブを選んだ。コンパクトカーの価格設定のシビアさを改めて感じさせてくれた一件だった。

 キャパで痛い目に遭ったホンダは、キャパの後継モデルを出すにあたりガラリとコンセプトチェンジし、コンパクト3列シートミニバンのパイオニアであるモビリオを登場させた。

ホンダのJムーバー第1弾として登場したキャパ。ホンダはクルマに自信満々で、実際によくできていたが初代日産キューブに惨敗

シンプルさを絵にかいたようなハイトワゴンの初代日産キューブ。チープな感じは否めないが、逆にそれがお手軽感となりヒット。何がウケるかわからない

 フィットとプラットフォームを共用するため、センタータンクレイアウトの強みを生かして全長4m少々ながら、3列シート7人乗りという武器が与えられた。3列目はエマージェンシー以上の使い勝手を誇った。

 ユーロトラム(路面電車)をモチーフとしたデザインは首をかしげたくなるが、唯一無二の存在だったことが大きい。

 トヨタがシエンタを登場させ、2代目キューブにも3列シート7人乗りのキュービックが追加されるなど、ライバルに影響を与えた。

 初代フィット、モビリオの成功を考えると、センタータンクレイアウトという飛び道具の凄さを再確認させられる。

後発でキューブキュービック、シエンタが登場したが、センタータンクの恩恵によりコンパクトミニバンではモビリオの3列目が一番快適だった

レビューで苦戦後に成功した初代マツダデミオ

販売期間:1996~2002年

欧州のコンパクトカーを彷彿とさせるシンプルながら深みのあるデザインで登場したデミオ。チープさを隠さなかったのがよかった!?

 マツダは1990年代の頭に5チャンネル制を採用。そんななかレビューはオートザム店扱いのコンパクトカーで、大ヒットモデルとなったフォードフェスティバ(マツダはオートラマ店で販売)のプラットフォームを使用。

 レビューはハッチバックではなく、極端に短いトランクを持つセダンボディを採用し、丸みを帯びたデザインが与えられた。

 しかし、ライバルと差別化するセダンボディも中途半端感は否めず、販売面で苦戦。フェスティバで人気になったキャンバストップを設定したが苦境を打開することはできなかった。

短いトランクを持つセダンボディで登場したレビュー。若い女性をターゲットとするならセダンは厳しかったのかも。逆に男性はデザインに気後れしてしまう

 2代目レビューとして開発されていたのが初代デミオだった。オートザム店の消滅により、オートザムレビューからマツダレビューに車名変更となったことを受けて、デミオというまったく別グルマとして登場したのだ。

 初代デミオはレビューから一転してコンパクトハイトワゴンというコンセプトで登場。

 小さなボディながら広い室内やシートのフルフラット機能で車中泊も可能な点を売りにしていたが、特別に凄いものをもっているわけでのないのに成功したのは、潔いまでの割り切りにあるのではないか。

自転車も搭載できるのもセールスポイントだったが、ドアノブが省略されていて外から開けることができなかった。しかしそれを上回る手軽感があった

 今考えても初代デミオはチープだ。デビュー当時はリアハッチのオープナーすら省略されていて、車内からしか開けることができなかった。

 しかし、雰囲気がいいデザイン、広い室内、使い勝手に優れているという魅力が、チープというネガを上回ったということだ。

 デビュー時にイメージキャラクターとしてNBAのシカゴブルズのスコッティ・ピッペン選手を起用したのもインパクト抜群で、販売に大きく貢献したと思われる。

セフィーロ苦戦後に成功した初代ティアナ

販売期間:2003~2008年

キャビンが大きい5ドアハッチバックのようなデザインが特徴の初代ティアナ。車格は立派だったが、価格設定が安かったのも人気の要因

 日産は2003年にミドルクラスFFセダンのセフィーロと同FRセダンのローレルという重要なモデルを2車種廃止している。

 その2車種マーケットを継承する世界戦略車として初代ティアナはデビュー。FFセダンということから、実質はセフィーロの後継車と言っていい。実際に香港などでは、初代ティアナはセフィーロの車名で販売されている。

 3代目セフィーロは広々とした後席を持ったFFセダンだったが、セフィーロを積極的に選ぶ魅力に欠けていたことが苦戦の要因だった。

FRの初代、FF化された2代目の後を受けて登場したセフィーロ。FFセダンゆえ室内は広かったが、積極的に選ぶ魅力に欠けた

 その点、初代ティアナはインテリアに並々ならぬこだわりを見せた。自動車に高級リビングとアピールしていたが、実際にその雰囲気、仕上げにユーザーの満足度は高かった。

 そして2.3Lモデルなら235万~252万円というライバルに比べてかなりリーズナブルな価格設定(デビュー時)も重要だ。高級のあるセダンが安価に購入できるということもユーザーの食指を大きく動かしたというわけだ。

初代ティアナのインテリア。今でこそ凝ったインテリアのクルマが増えているが、素材、デザインへのこだわりは強く、ユーザーの満足度も高かった

エアトレックで苦戦後に成功した初代アウトランダー

販売期間:2005~2012年

スッキリした都会的な雰囲気のSUVとして登場した初代三菱アウトランダー。スポーティなムードがユーザーから支持された

 三菱エアトレックは、2001年にステーションワゴンにSUVテイストを加えたクロスオーバーSUVとしてデビュー。この当時の日本車ではほかにないキャラクターが与えられた。

 エクステリアは異形4灯ヘッドライトという当時のトレンドを取り入れてスッキリとまとめられていた。

 しかし、デビューから時間が経過すると新鮮味を失い、どっちつかずの印象がぬぐえなくなり販売面で低迷してしまう。SUV色の強いスポーツギアを追加したが奏功せず。

 そのエアトレックの後継モデルとして登場したのが初代アウトランダーだ。実はエアトレックは海外ではアウトランダーという車名で販売されていたのだが、日本で販売された初代アウトランダーはデザインコンシャスなSUVとして登場。

ステーションワゴンとSUVのクロスオーバーという当時では斬新なコンセプトだったが、ユーザーには中途半端に映ってしまったようだ

 このシャープで都会的なエクステリアはユーザーからの評価が高く、ミドルクラスSUVの人気モデルとなった。

 そして見た目は都会的ながら、全体的に堅実かつ三菱伝統のオフロード性能が与えられている点も人気の要因となったことは言うまでもない。2005年にデビューしてから2012年まで、三菱のロングセラーSUVとなったのだ。

 あと、当時としては珍しく3列シート7人乗りをラインナップ(最終的には7人乗りのみとなる)。多人数を乗せなきゃいけないが、ミニバンは嫌というユーザーにとっては貴重な存在だった。

アウトランダーは2列シート5人乗りと3列シート7人乗りをラインナップ。これは現行のアウトランダーにも継承されている

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みんなのコメント

20件
  • キューブが売れたのは、価格じゃなくてデザインだと思うけど。
  • 倒産寸前のマツダを救った赤のFFファミリアXGの事じゃないのか?
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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