北海道留萌市在住の写真家・佐藤圭さんが撮った貴重な動物、風景写真をお届けする週末連載。第12回は、オジロワシです。
圭さんによると、オジロワシは、「海鷲」と呼ばれ、冬の北海道の沿岸部で帆翔する姿は日常的に観察することができるそうです。
ところが、オジロワシは、国の天然記念物で絶滅危惧種にも指定され、世界に数千羽しかいない、パンダ並みの希少な野鳥なんです。
それが、街中から車で5分ほどの海岸で見られるなんて、うらやましい限りです。
写真・文/佐藤圭
画像ギャラリー……翼長2メートル超。オジロワシ大迫力の飛翔
最も「鷲らしい鷲」の風格
オジロワシは、翼を広げると2メートル以上になり、オオワシと共に、日本では最大級の鳥類です。
海岸沿いを飛翔するオジロワシがV字を描いた瞬間
羽の色は茶色で、くちばしは黄色。尾羽が真っ白なのが特徴で、名前の由来にもなっています。
翼を広げると畳1枚分くらいの大きさになる
日本の風景に合う渋い色合いで、鋭い目には射すくめられるような迫力があって、まさに王者の風格です。
「ザ・鷲」と言っていい王者の面構え
北海道を代表する巨鳥、オオワシとオジロワシ。どちらかが好き?と聞かれても、答えが出ないくらいそれぞれ魅力的であります。
異様と言ってもいい巨大なくちばしをもつオオワシ
精悍でいかにも鷲らしい風貌をもつオジロワシ
でも、長い間ファインダー越しに見てきた感想では、オオワシは、くちばしが巨大で、ちょっとゆるキャラ的なイメージです。その点、オジロワシは、いかにも猛禽類らしい鋭い顔つきで、ひと睨みでエゾヒグマを圧倒する勇ましさがあります。
サケを捕えたエゾヒグマをひと睨みで退散させたオジロワシ
僕は、最も「鷲らしい鷲」といえば、このオジロワシだと思っています。
オジロワシは、秋になるとオオワシと共にロシアのオホーツク海沿岸から、越冬のために日本に飛来し、3月後半には営巣地のロシアへ帰っていきます。
ただ、オオワシとは違って、日本で産卵し子育てをする個体もごく少数います。
夕陽をバックに佇むオジロワシのつがい。彼らは日本で子供を育む
4月も末になって街中から雪が消えた今、かれらの姿を見ることもなくなりました。
秋になって、子供たちを連れて、またやってきてくれるのを心待ちにしています。
佐藤 圭 kei satou
1979年、北海道留萌市生まれ。動物写真家。SLASH写真事務所代表。フランスのアウトドアブランド「MILLET」アドバイザー。
日本一の夕陽と称される留萌市黄金岬の夕陽を撮影するために写真家の道に入る。北海道道北の自然風景と野生動物を中心に撮影を続け、各地で写真展を開催し、企業や雑誌、新聞などに写真を提供している。
2018年、エゾナキウサギの写真「貯食に大忙し」で第35回『日本の自然』写真コンテスト(主催:朝日新聞社、全日本写真連盟、森林文化協会)で最優秀賞受賞。
ウェブサイト:https://www.keisato-wildlife.com/
Facebook:https://facebook.com/kei.sato.1612
インスタグラム:https://www.instagram.com/slashslash_photography/
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