アウディジャパンは、ステーションワゴンモデルのA4アバントをベースにした高性能モデル、RS 4アバントの新型を発表した。
「RS」の名はアウディにとって特別なモデルを意味する。RS 6やRS 5、さらにR8までを含むRSモデルの開発&生産は、通常のラインナップとは異なり「アウディスポーツGmbH」が手がけている。かつては「クワトロGmbH」の社名で知られ、アウディのレースカーやハイエンドスポーツモデルの研究開発をおこなってきた。
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そもそも車名にRSがついたのは、1994年に登場したRS 2アバントが初めてのことだった。ポルシェが開発や生産に関与し、ブレーキやホイールを提供するなど、クルマ好きのあいだでは大きな話題となった。そして、ステーションワゴンをベースとした高性能スポーツモデルは、アウディにとってアイコン的存在となる。
そして2000年に初代RS 4アバントがデビューし、この新型で4代目を数える。エクステリアデザインは、かつてIMSAシリーズで活躍したレースカー、90 quattro IMSA GTOからインスピレーションを得たものという。さらにベースモデルのA4 アバントに比べて25mm拡大した全幅により大きく張り出したブリスターフェンダーには、80年代の名車、アウディクワトロの面影がみてとれる。
パワートレインは最高出力450ps、最大トルク600Nmを発揮する新開発の2.9リッターV6 ツインターボエンジンに8速ティプトロニックトランスミッションを組み合わせる。先代までの自然吸気4.2リッターV8に換えてのダウンサイジングユニットだ。トランスミッションも7速DCTから8速ATになった。これは最高出力は先代と同じながらも最大トルクが170Nm増強されているためだろう。
黒基調のインテリアには、赤いステッチが張り巡らされたファインナッパレザーのスポーツシートやフラットボトムのステアリング、カーボン調のデコラティブパネルなどいかにもスポーティな専用装備が備わる。ステアリング奥に見える12.3インチのTFT液晶ディスプレイは、スピードメーターやタコメーター、ナビ画面だけでなく、Gフォースや走行時のトルク値などのリアルタイム情報も表示可能になっている。
あいにくの雨の中を、まずはコンフォートモードで走りだす。タイヤは前後ともに275/30の20インチサイズの、コンチネンタル製スポーツコンタクト6を履いていた。意外なほど乗り心地がいい。標準で電子制御「DRC」付きスポーツサスペンションを備えているが、同じパワートレインを搭載するRS 5よりもしなやかに感じられた。
ダイナミックモードに切り替えると、エグゾーストノートは勇ましく、またギアチェンジのタイミングも変更される。とてもATとは思えないほど小気味よくシフトアップしていく。カタログによると、0→100km/h加速はわずか4.1秒。公道ではとても試せないが、スーパーカーさながらだ。
4WDシステムは、RSモデルらしくメカニカルなセンターディファレンシャルロック機構を備えており、通常走行時には40%がフロント、60%がリアと、リア・アクスルに重点的にトルク配分が行われる。いずれかの車輪でスリップが起きると、瞬時に反対側にトルクが配分され、最大時はフロントに70%、リアに85%のトルクが伝達される仕組みだ。
また、リアのアクスルには左右の駆動力配分を最適化するスポーツディファレンシャルを装備しており、大パワーを確実に路面に伝達する。これによってアクセルオンの状態でも回頭性よくコーナリングし、少々雨に濡れた路面でパワーをかけてもちょっとしたことではびくともしない。終始安定した挙動をみせる。
見た目は大きすぎず適度なサイズのステーションワゴンで、乗ってもいかにもスポーツカーのような汗くささはない。それでいてこの性能なのだから、街にあふれるSUVとは一線を画す。ビジネスマンズ・エクスプレスとしては最強の1台といえるかもしれない。
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