現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > 「あれが僕の通常運転ではない」出場停止寸前のマグヌッセンが複雑な心境を独占告白。そこにあるのは“後悔”か、“不満”か——

ここから本文です

「あれが僕の通常運転ではない」出場停止寸前のマグヌッセンが複雑な心境を独占告白。そこにあるのは“後悔”か、“不満”か——

掲載 22
「あれが僕の通常運転ではない」出場停止寸前のマグヌッセンが複雑な心境を独占告白。そこにあるのは“後悔”か、“不満”か——

 2014年にF1でペナルティポイントの制度が導入されてから、1大会の出場停止となる12ポイントに近付いたドライバーは数名いる。2017年のダニール・クビアト、2020年のルイス・ハミルトン、そして昨年のピエール・ガスリーだ。しかしながらポイントは一定期間で失効されるため、彼らが出場停止の危機にさらされたのはせいぜい数ヵ月だった。

 27年前に遡ると、ウイリアムズのジャック・ビルヌーブが1997年イタリアGPで黄旗無視のため9レースの執行猶予付き1戦出場停止処分を受けたことがあった。ただその際は、3戦後の日本GPで黄旗無視のペナルティがあり、チームがその抗議を取り下げたことでビルヌーブは同GPを失格(=出場停止処分の消化)になっている。

■F1、ペナルティ上等“マグヌッセン走り”阻止に向けてルール変更を検討へ。ただし施行を急がず

 しかしながら、ハースのケビン・マグヌッセンは今季序盤戦だけで10ポイントを貯めてしまったため、シーズンが終わるまで常に“リーチ”がかかった状態となる。あと2ポイントということは、中国GPでのローガン・サージェント(ウイリアムズ)のように、セーフティカー中のピットアウト時に誤って追い越しをかけてしまったといった不可抗力でも、欠場を強いられかねない。

 先日のエミリア・ロマーニャGPでも、そのような脅威がある中でレースに臨んだマグヌッセン。彼はどう受け止めていたのか? motorsport.comの独占インタビューに応えた。

「そのことについては考えていなかった」

「僕はプッシュし続けないといけない。そうでないと、残り20レース近くをクルージングしないといけないことになる。そんなことはしたくないし、意味がない」

 そう語ったマグヌッセン。彼は自身がなぜこのような立場に陥ってしまったのかについて、すでに自分の言い分を述べたと主張している。モナコでの彼も変わらず理路整然としていた。

 マイアミGPでのスプリントではメルセデスのハミルトンに対して激しいディフェンスを見せたが、これは前を行くチームメイトのニコ・ヒュルケンベルグのポジションを守るためという要素もあったと語るマグヌッセン。マイアミではハースからそういったことを要求されたわけではないとしつつも、サウジアラビアではそういった指示があったことを認めている。

「その理由は分かってくれると思う」とマグヌッセンは言う。

「イモラでは、自分が前の人たちに追い付いてポイントを獲得することが可能に見えたので、そこまで無茶する必要もなかった」

「あれが僕の通常ではない。メリットとデメリットを天秤にかけて、意味がある時はそうするし、ない時はしない」

 モナコでそう話すマグヌッセンは、自身が長らく背負うことになるジレンマに関して、後悔しているようにも、一方で反抗的にも感じられた。

 サウジアラビアで角田裕毅(RB)やアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)に対するディフェンスによって物議を醸したことが事の発端だが、マイアミの週末だけでペナルティポイントを5点も加算されたことが、マグヌッセンにとっては痛手となった。

「今年は色々な状況があった。僕がポイント圏内にいない時もチームがポイント争いに加わっていて、僕がそこに影響を与えられる位置にいた時は、戦う価値があったんだ」

 そうマグヌッセンは語った。

「だから自分のしたことを後悔しているだとか言うのは難しいね……こういうゲームが好きなわけではないけど、それと同時に、僕は常にルールの範囲内にとどまろうと心がけている。誰かとハードに戦って、その結果限界を超えてしまってペナルティを受けたとしてもね。だからペナルティは受け入れている」 

「このルールが正しいかどうかという話があるけど、そこには間違いなく共感できるし、僕なりにどう改善できるかのアイデアも出した。ルールにも問題があると思っているけど、ルールを作るのは僕じゃない。“プレイヤー”を憎まないでほしいんだ、分かるだろう? そういうことなんだ」

 マグヌッセンはかつてインディカーなどアメリカでレースをした経験から、F1側が「レースをさせる」べきだと考えている。また、F1が制定した2024年のレースガイドラインにも疑問を投げかけた。

 今季のガイドラインははるかに広範囲かつ複雑なものになった。マイアミGPでマグヌッセンがサージェントに仕掛けたバトルのように、仕掛ける側が常にトラックリミットの範囲内にいる必要がある。つまり、そこには守る側のドライバーの協力も必要ということになる。

 これについてマグヌッセンは次のように語る。

「そのルールを適用するなら、例えばもしアウトサイドにいるドライバーにターンインを許す時、そのステップがとある形で進んでいった場合、そのドライバーは(イン側に向けて)ターンインすることができて、こう(両手を叩く)なる。そしてイン側にいるドライバーがペナルティを受けることになる」

「常識や本能というのはどこにあるんだろうか? なぜこんなルールが必要なんだ? 本能のままにレースをさせてほしい。僕たちはみんなレースをフィニッシュしたいし、分別のある人間でありたいけどね」

 ただマグヌッセンは、物議を醸しながらもここまで辿り着いたことで、ある意味でポジティブな感情を抱いている。彼は歴史に残る危機的状況にありながらも、欠場を回避できるかもしれないと前を向いている。

「FIAとは話をして、彼らをより良く理解できた」

「まだルールには納得いかない部分もあるけど、彼らも最善を尽くそうとしていることは理解している」

「このプロセスの中で、僕も学ぶことができた。彼らは様々なスタンスで色々と説明してくれたことで、以前よりもこういったこと(ペナルティ)を避けられるかもしれない。でもまたアクシデントによって何かをしてしまった場合、そうなる(出場停止になる)状況ではある」

こんな記事も読まれています

2024年F1第10戦スペインGP決勝トップ10ドライバーコメント(1)
2024年F1第10戦スペインGP決勝トップ10ドライバーコメント(1)
AUTOSPORT web
フェラーリで内紛勃発? ルクレールがサインツJrを痛烈批判「タイヤを労わる戦略だったのに……彼は派手なことをしたかっただけだろ?」
フェラーリで内紛勃発? ルクレールがサインツJrを痛烈批判「タイヤを労わる戦略だったのに……彼は派手なことをしたかっただけだろ?」
motorsport.com 日本版
今のF1は“天国から地獄”。フェラーリ代表が語る新常識「週末ごとにグリッドは変わる」前戦カナダでチームは突如失速
今のF1は“天国から地獄”。フェラーリ代表が語る新常識「週末ごとにグリッドは変わる」前戦カナダでチームは突如失速
motorsport.com 日本版
ペレスのレッドブル2年残留を、96年F1王者デイモン・ヒルが考察「マックスに、チームの将来像を示してあげる必要があったのでは?」
ペレスのレッドブル2年残留を、96年F1王者デイモン・ヒルが考察「マックスに、チームの将来像を示してあげる必要があったのでは?」
motorsport.com 日本版
海外ライターF1コラム:チームプレイヤーとして最高のマグヌッセンと最低のオコンが直面する運命の岐路
海外ライターF1コラム:チームプレイヤーとして最高のマグヌッセンと最低のオコンが直面する運命の岐路
AUTOSPORT web
フェルスタッペン優勝の一方で……ペレス、F1スペインGPで3戦ぶりに完走もまた上位入賞逃す「悪夢のようなレースだった」
フェルスタッペン優勝の一方で……ペレス、F1スペインGPで3戦ぶりに完走もまた上位入賞逃す「悪夢のようなレースだった」
motorsport.com 日本版
F1分析|ラッセルに抑えられなければ勝機はあった……悔やむノリス。F1スペインGPの上位ふたりのレースペースを検証する
F1分析|ラッセルに抑えられなければ勝機はあった……悔やむノリス。F1スペインGPの上位ふたりのレースペースを検証する
motorsport.com 日本版
クロフォード今季初優勝。コレアが前日ペナルティで失った表彰台を取り戻す! 宮田ペースに苦しみ無得点|F2バルセロナ・フィーチャーレース
クロフォード今季初優勝。コレアが前日ペナルティで失った表彰台を取り戻す! 宮田ペースに苦しみ無得点|F2バルセロナ・フィーチャーレース
motorsport.com 日本版
クラッシュゲート事件起こしたフラビオ・ブリアトーレ復帰、批判の声もアルピーヌ代表が一蹴「過去は気にしていない。未来を見ている」
クラッシュゲート事件起こしたフラビオ・ブリアトーレ復帰、批判の声もアルピーヌ代表が一蹴「過去は気にしていない。未来を見ている」
motorsport.com 日本版
ハミルトン、SNS上で噂される”ラッセル優遇”を否定「ファンはネガティブな意見を広めないでほしい」
ハミルトン、SNS上で噂される”ラッセル優遇”を否定「ファンはネガティブな意見を広めないでほしい」
motorsport.com 日本版
サインツJr.、去就決定にはもう少しかかる?「シートが空いている全チームのリストに僕の名前が載っている」
サインツJr.、去就決定にはもう少しかかる?「シートが空いている全チームのリストに僕の名前が載っている」
motorsport.com 日本版
アルピーヌのガスリー、予選での快走は不思議と明かす。なお“いわく付き”同僚オコンとスタート横並びも「僕はいつだってクリーン」
アルピーヌのガスリー、予選での快走は不思議と明かす。なお“いわく付き”同僚オコンとスタート横並びも「僕はいつだってクリーン」
motorsport.com 日本版
サインツJr.の移籍先、決断はもうすぐ「決める時期は来ている」ザウバー/アウディとウイリアムズどちら?
サインツJr.の移籍先、決断はもうすぐ「決める時期は来ている」ザウバー/アウディとウイリアムズどちら?
motorsport.com 日本版
アストンマーティンF1、失速の原因究明はもうおしまい?「今度は問題を修正する段階」待望のアプデ投入は3連戦に明けに
アストンマーティンF1、失速の原因究明はもうおしまい?「今度は問題を修正する段階」待望のアプデ投入は3連戦に明けに
motorsport.com 日本版
レッドブルF1、今季RB20の弱点克服のため異例のプライベートテスト実施。2022年型マシンをフェルスタッペンがドライブ
レッドブルF1、今季RB20の弱点克服のため異例のプライベートテスト実施。2022年型マシンをフェルスタッペンがドライブ
motorsport.com 日本版
マグヌッセン、F1シート喪失の可能性を認めるも「そういうことは脇に置いて、マシンに乗ってベストを尽くせる」
マグヌッセン、F1シート喪失の可能性を認めるも「そういうことは脇に置いて、マシンに乗ってベストを尽くせる」
AUTOSPORT web
メルセデスF1、今年はやれる!? ラッセル過去2シーズンは苦渋嘗めるも「現行レギュレーション下で最も自信がある」
メルセデスF1、今年はやれる!? ラッセル過去2シーズンは苦渋嘗めるも「現行レギュレーション下で最も自信がある」
motorsport.com 日本版
ハミルトン、今季最高の予選もメルセデスの弱点は顕在「限界まで攻めようとすると、クルマが嫌がるんだ」
ハミルトン、今季最高の予選もメルセデスの弱点は顕在「限界まで攻めようとすると、クルマが嫌がるんだ」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

22件
  • ZENZOU
    結構前、いつのGPかは忘れてしまったんだけど、後続車にコーナーで道を譲る際にアウトへ逃げたんだが、並びかけた時にすーっとインへ幅寄せして嫌がらせしてた。

    解説の方も「マグネッセンてこういう余計な動きするんですよねぇ」と解説してたよ。

    結局変わらないって事なのかな…。
  • kou********
    レースをさせてくれ、てコース外を走りまくって一番レースを台無しにしてるのはお前やろが。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村