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カワイイだけじゃない! 新型トゥインゴの魅力とは?

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カワイイだけじゃない! 新型トゥインゴの魅力とは?

顔がチョコっと変わって、スマホ対応の7インチ・モニターが新たにダッシュボードに加わった。897ccの直列3気筒ターボの最高出力はリアのサイドに小さなダクトが設けられたことで冷却効率が上がって2psアップ。

というのが、2019年8月末に発表された新型ルノー・トゥインゴ、フェイスリフト版のあらましだ。3種類あったグレードは今回1種類に、マニュアル・トランスミッションも落とされて、“EDC”と呼ぶ6速デュアル・クラッチ・トランスミッションしか設定がない。

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【主要諸元】全長×全幅×全高:3645mm×1650mm×1545mm、ホイールベース:2490mm、車両重量:1020kg、乗車定員:4名、エンジン:897cc直列3気筒DOHCターボ(92ps/5500rpm、135Nm/2500rpm)、トランスミッション:6AT、駆動方式:RR、タイヤサイズ:フロント165/65R15、リア185/60R15、価格:198万6000円(OP含まず)。マイナーチェンジでボディ左側面のエアインテークが追加された。パリの小粋なベーシック・カーとしてデビューしたトゥインゴの現行3代目が本国で発表されたのは2014年、日本市場上陸は2016年だった。

日本上陸は2016年だから、あれからはや3年。メルセデス・ベンツと手を結び、スマートとプラットフォームを共有、FWD(前輪駆動)からRR(リアエンジン・リアドライブ)へ劇的な変身を遂げた3代目のフランス本国での発表はさらに遡って2014年である。ちっちゃくて丸くって四角という、キュートなデザインが本国でも大人気。ルノー・ジャポン広報のS氏によると、プジョー「106」やフィアット「500」、フォルクスワーゲン「up!」等をライバルとするAエグメントで3割を占めるという好調ぶり。日本市場でも輸入車の同クラスで10数%のシェアを確保しているという。

インテリアは新たに、インフォテインメントシステム「EASY LINK」を搭載。7インチタッチスクリーンはApple CarPlayやAndroid Autoに対応。各アプリを通し、Google Mapなどの地図を表示出来る。エクステリアで変わったのは主に前後バンパーとライトまわりで、ちょっと大人っぽくなった印象を受ける。バンパー内に設けられていた2つの丸型ドライビング・ランプがなくなり、スッキリしたからだろう。

あの2つの丸型ランプが往年のルノー「8ゴルディーニ」を思わせてよかったのに……と、筆者が口に出したか、筆者の心中を察したか、「このたびの変更はコストダウンではございません。昼間点灯するライトは4つあってはいけない、というEUの新規定に則ったものです」と、S氏は述べる。

代わって目に付くのは、前後の「Cシェイプ」と呼ばれるLEDのデイタイム・ランニング・ライト(DRL)と、同じくCシェイプのウィンカー(フロントのみ)である。これが新しいルノー・ブランドのデザイン・アイコンで、カングーはまだだけれど、ルーテシアもキャプチャーもメガーヌも、いつの間にかCシェイプを採用している。

オートエアコンは標準。車線逸脱警報機能を搭載。フロントカメラで車両前方の白線を検知し、車線をはみ出しそうになった場合、アラームで注意を促す。インナードアハンドルは、トゥインゴのイラスト入り。ルノーとCシェイプって、なんか関係ありましたっけ? と、S氏に質問すると、ルノー・エンスーのS氏は明快にこう答えた。「突然です」。では、ミーから提案。“C'est bon.”英語の“It’s good.” のCということでどうざんす? セ~ッ! とイヤミざんす。

という突然イヤミのくだりの会話はS氏とはしておりませんが、ともかく小雨のなか、箱根目指して走り始めた。

搭載するエンジンは、897cc直列3気筒DOHCターボ(92ps/5500rpm、135Nm/2500rpm)。全体の質が向上足まわりの変更はとくに発表されていないということだけれど、筆者が2017年に試乗したマニュアルのトゥインゴ ゼンより全体がしっくりしているような気がした。

理由はいろいろある。筆者のすなるMTでの変速より、自動的に機械がおこなう6速EDC(エフィシエント・デュアル・クラッチ)の変速のほうが上手だとか、あるいはMTの1.0リッター自然吸気に対し、EDCの0.9リッター・ターボのほうがトルクがあるとか……。

トランスミッションはデュアル・クラッチ・タイプの6AT。シンプルなデザインのメーターパネル。モノクロのインフォメーションディスプレイ付き。ステアリング・ホイールはスピードリミッター&クルーズコントロールの調整スウィッチ付き。新しい897ccの直列3気筒ターボは最高出力2psアップの92ps/5500rpmと、こちらは変わらずの最大トルク135Nm/2500rpmを発揮する。筆者が試乗した999ccの自然吸気はそれぞれ71ps/6000rpm、91Nm/2850rpmという非力さだった。その非力さをマニュアルでカバーする。それはそれで、いまどき希少な、いかにも小型車らしい楽しみがあった。

でも、クルマとしてはEDC、0.9リッター・ターボのほうが上質に感じられる。トルクが豊かな分、余裕がある。がんばっている感がより小さくて、ちゃんと加速する。こんなに静かだったっけ? と、記憶をたどるほど静かでもある。そういえば、前に乗ったときもエンジンがリアにあるから静かなんだ、と納得したのだった。ガンガンまわしても、3気筒サウンドは遠くから聞こえてくる。

最小回転半径は驚きの4.3m。フワフワ系の乗り心地前165/65、後ろ185/60という、RRらしい前後異サイズのタイヤと組み合わされるのは、ともに15インチ径のホイールで、マイナーチェンジ前と変わらない。でも、乗り心地の味付けはMTとは異なるのか、あるいは新型で変わったのか、ちょっとフワフワ系で当たりがやさしい。

フワフワといっても、ストロークが浅めのフワフワ系で、ホイールベースが2490mmと、いまどきの日本の軽自動車より短い。なので、路面の荒れたところではクルマごと揺れる。全長3645×全幅1650×全高1545mmのシティ・ラナバウトゆえ、そこは致し方ない。納税者にして、道路代を負担している側としては荒れた路面の修復を訴えたい。

WLTCモード燃費は16.8km/L。タイヤサイズはフロント165/65R15、リア185/60R15。「意外と硬い」というMT車に対する筆者の印象を思い返すと、フワフワ系は意外だった。MTの車重は960kg、こちらは1020kgと、こと乗り心地に関しては60kg重いことがよい方向に働いている、というのも言えるかもしれない。前回のタイヤが、ダンロップの「スポーツ ブルーレスポンス」に対して、今回のタイヤがグッドイヤーの「エフィシェントグリップ」という違いもある。

いや、筆者が試乗したのは2017年と2年も前のことだ。今回はマイナーチェンジ後の新型である。筆者の印象がよくなっているのは当然とも言える。メーカーのたゆまぬ努力によってクルマは日々、進化しているのだ。

フロントシートはヘッドレスト一体型。シート表皮はファブリック。リアシートはふたり掛け。ラゲッジルーム容量は通常時174リッター。助手席を前方に倒すと2200mmの長尺物も積載可能。箱根の山道では、あいかわらず、よく曲がる。前荷重を意識すると、吸い付くようにフロントがグリップする。全開にしてもリア・タイヤにかかるパワーは限られているから、コワくない。ロック・トゥ・ロックは4回転近くグルグルまわる。けっしてクイックではない。その意味ではフツーの、いわゆるブレッド&バター・カー、フランス車だからクロワッサンなボワチュレットである。それがこんなにスポーティなのは生活がスポーティということだろう。

リアのブレーキはいまどきドラムであることも、合理的なフランス車っぽい。その一方、5ドアで、後席は日本のおおかたの軽カーより狭いけれど、狭いことに居心地のよさがあって、人間が乗るところ、という感じがする。日本の軽自動車の定員が4名なのは、4名以下という規定が軽にあるからだ。けれど、トゥインゴが定員4名なのは、筆者の推測ながら、後席は人間が3人乗るところではないと考えたからではあるまいか。

モノグレードで、車両価格198万6000円。消費税率が10%になっても200万円を切っている。ルノー・ジャポン、エライ!

文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend)

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