ワゴンRの弱点だった両側スライドドアをゲット
9月10日に発売される「ワゴンRスマイル」は、両側スライドドアを装備したワゴンRの派生車種で、ワゴンRとスペーシアのいいとこどりをしたようなパッケージをもつ。それだけでも想像できる機能性の高さに加え、パーソナルユースを意識したデザイン性の良さや、軽自動車ながら”イイモノ感”がしっかり得られる高いレベルの質感が与えられている。
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注目ポイントはやはりパッケージングで、ワゴンRのサイズ感をキープしながらヘッドクリアランスを拡大し、両側スライドドアを採用したこと。中年以上の世代は今でもヒンジ式のドアの方が馴染み深いものだが、今や軽自動車の新車販売では両側スライドドア車は過半数を占める。1990年代以降に生まれた人たちは、幼少期からミニバンや軽自動車の超ハイトワゴンで育つケースが多いことから、「クルマ=両側スライドドア」というイメージが刷り込まれているので、両側スライドドアはあって当たり前の機能。むしろヒンジ式のドアのほうに違和感を覚え、不便に感じてしまうことがあるのだとか。
中年世代のクルマ好きには驚きの事実だが、スライドドア育ちの新人類のみならず、両側スライドドアの利便性から離れられなくなった人は多い。だからといって超ハイトワゴンは背が高すぎたり、所帯染みたイメージが強すぎると感じる人も少なくない。そこで「ワゴンRスマイル」は、そういう要望に応える形で生まれた。軽自動車でありながら、自分のライフスタイルを演出できるクルマとしてスズキは提案する。
まずエクステリアは、スクエアなフォルムと印象的な丸目ヘッドライトなどにより、愛着とぬくもりを感じられる雰囲気を演出。ボディカラーは12色と豊富で、グレードによっては2トーンルーフも選択可能。さらに4種類のスタイルコーディネイトも設定し、幅広い世代に訴求できるものとした。
若い世代はもちろん、中年男性が独りで乗っていても違和感はないし、シニア層にも似合う大人っぽさも兼ね備えている。ファミリーカーとしても愛されやすい雰囲気だ。
インテリアは、これまでのワゴンRとスペーシアで培ったユーティリティ性や扱いやすさを継承しつつ、質感の仕立ての良さを際立たせた印象。インパネまわりの収納機能の多彩さをはじめ、助手席のアンダーボックスやシートバックのテーブル、ショッピングフックなどの定番人気装備は抜かりなく設定。
その上でデザイン性と質感を高めているので、乗用車から乗り換えのダウンサイジング派にも満足度の高いものになっている
ガソリン2WDは129.69万円、ハイブリッドXは159.28万円
全高に加えて地上高やヒップポイントもワゴンRより高くなっているが、誰にとっても違和感となるほどの高さではなく、乗り降りのしやすさにも配慮されている。ハイブリッド車はワンアクションで操作できるパワースライドドアが標準装備で、運転席はシートヒーター付き。最上級グレードのウインドウは360度プレミアムUV&IRカットガラスという豪華仕立てだ。メーカーオプションで9インチディスプレイの全方位モニター付きナビゲーションも用意する。
安全装備面では、全車速追従機能付きオートクルーズ などはセイフティパッケージのメーカーオプションだが、デュアルカメラブレーキサポートや誤発進抑制機能、ハイビームアシストなどは全車に標準装備で充実している。
搭載されるエンジンはNAのみで、中級グレード以上はスズキ得意のマイルドハイブリッド。今回の取材では本格的な試乗はできなかったが、車重はワゴンよりやや重く、スペーシアよりは軽いということで、マイルドハイブリッド車は多くの人にとってとくに不満のないパワートレインだろう。
サスペンションは、良い意味で万人受けしやすいセッティングだと推察。定評のあるスズキの最新プラットフォーム「HEARTECT(ハーテクト)」に音と振動を低減するための技術がかなり多彩に盛り込まれているので、軽自動車としては最高レベルの快適性が確保されていることが期待できる。
この内容で価格は最上級の「HYBRID X」でも159万2800円、ベースモデルとなるガソリンの2WDなら129万6900円ということで、従来のワゴンRよりはやや高額となるが、スペーシアよりはお値ごろ感が強い。本家のワゴンRにとって代わることが想像できるほどの総合力の高さを感じさせる、とても魅力的な派生車種として注目したい。
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