2019年5月4日、2018-2019年スーパーシーズンFIA世界耐久選手権(WEC)第7戦スパ・フランコルシャン6時間レースの決勝が行われ、トヨタTS050 HYBRID 8号車が優勝した。この勝利によりトヨタは最終戦ル・マン24時間レースを待たずに、2014年以来2度目となるWECのチームタイトルを決めた。予選でポールポジションを獲得したトヨタTS050 HYBRID 7号車 は6位だった。
襲いかかる試練を克服してトヨタがチームタイトルを獲得
予選から好調で「トヨタの楽勝」も予想されたが、トヨタにとっては次々と試練が押し寄せる厳しいレースとなった。
1970年代のスーパーカー図鑑(1)「ランボルギーニ カウンタック」
6時間にわたるレースは、スタート後間もなく激しい雪に見舞われ、30分後にはセーフティカーが導入されるという波乱の展開となる。レースが1時間経過する頃には青空が戻りバトルが再開されたものの、8号車がピットストップでタイムをロスし順位を落としたり、アクシデントにより導入された2度目のセーフティカーと8号車の給油のタイミングが重なり後退するなど、トヨタに不運が続く。それでも、その度に順調にポジションを挽回し、2時間経過時にはトヨタは再び1-2体制を築くことに成功していた。
しかし、3時間を経過する頃に起きた7号車のトラブルがレースの行方を大きく左右することになってしまう。小林可夢偉がドライブしていた7号車がセンサートラブルに見舞われ緊急ピットイン。首位から4周遅れの19位まで大きく後退してしまうのだ。
かわって8号車がトップに立ったが、トヨタにまだまだ試練が待ち受けていた。再び雪が降り始め、さらに雹を伴う激しい嵐となり、再びセーフティカーが導入される事態となる。
それでも7号車は猛然とプッシュして6位まで浮上。しかし、その後、悪天候により再びセーフティカーが導入され、レースは予定時間を残して終了することとなった。
アロンソがチェッカーを受けた8号車は、2位レベリオンに1周差をつけてゴール。小林が最後のスティントを担当した7号車は、4周遅れの6位でレースを終えた。この結果、トヨタは最終戦ル・マンを待たずして、2018-2019年スーパーシーズンのチームチャンピオンを確定した。
レース後、 WEC TOYOTA GAZOO Racing の村田久武代表は「今日のレースはチャレンジングなものでした。非常に速かったにもかかわらず、センサーの問題で優勝のチャンスを逃がした7号車には大変申し訳ないことをしました。一方、8号車のドライバー達は不運があったにもかかわらず、最後まで素晴らしい走りで優勝を勝ち取ってくれました。いよいよ次はル・マンです。昨年の優勝後から1年かけて準備をしてきた集大成をお見せしたいと思います」と語った。
また優勝した 8号車トヨタTS050 HYBRID のドライバーは「激変する天候に翻弄されたレースでした。何度も困難な場面に直面したことは、ル・マンに臨むための試練だと考えています。次回は、最大目標のル・マン連覇とトライバーチャンピオン獲得の大仕事が待っています」(中嶋一貴)、「序盤に不運やトラブルに見舞われました。今日の7号車の速さに追いつくことは難しかったので、本来ならばこんな結果ではなかったはずです。ドライバータイトル獲得に向けて正々堂々とル・マン24時間レースに臨みたいと思っています」(セバスチャン・ブエミ )、「本当に難しいレースでした。気持ちが上向いたり、沈んだりの状態でした。最終戦のル・マン連覇とドライバータイトル獲得に向けて全力を尽くしたいと思っています」( フェルナンド・アロンソ)とコメントしている。
チームは有終の美を飾るべく、6月15日から16日にかけて行われるシーズン最終戦ル・マン24時間レースへと向かう。
WEC第7戦 スパ・フランコルシャン6時間レース
優勝 8 トヨタ(中嶋一貴/S.ブエミ/F.アロンソ) 133
2位 3 レベリオン(N.ベルトン/T.ローレン/G.メネゼス)132周
3位 3 BRエンジニアリング(M.アレシン/V.ペトロフ/S.バンドーン)132周
6位 7 トヨタ(小林可夢偉/M.コンウェイ/J.ロペス) 129周
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