現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > MT車乗りの「必修科目」! 間違った練習も多い「ヒール&トゥ」のホント

ここから本文です

MT車乗りの「必修科目」! 間違った練習も多い「ヒール&トゥ」のホント

掲載 更新 71
MT車乗りの「必修科目」! 間違った練習も多い「ヒール&トゥ」のホント

街乗りでは不要だがサーキットでは欠かせないテク

 マニュアルシフトの見せ場と言えば「ヒール&トゥ」。ブレーキをしながらの華麗なシフトダウンはサーキットでは必須のテクニックであり、できて損はない技術。では、どんな場面で必要で、どうしたらできるようになるのか。

「クルマ」にお金を使うならその分「走れ」! 本体も消耗品も安い「走り込み訓練車」5台

至ってシンプルだが奥の深い操作

 右足でブレーキを踏んだままの状態でアクセルを踏み、エンジン回転を上げてシフトダウンをショック無く行うためのテクニックが「ヒール&トゥ」である。つま先(トゥ)でブレーキを踏みながら、かかと(ヒール)でアクセルを瞬間的に踏んでエンジン回転を上げることから、この名前で呼ばれるようになったテクニックだ。

メリットは「ショック緩和」、「減速補助」、「加速準備」

 ヒール&トゥの狙いは3つある。まず、シフトダウン時のショックをなくすこと。減速してギヤを落としていくときにエンジン回転を上げてやらないと回転差があって、タイヤは瞬間的にブレーキを掛けたようになってしまう。リヤ駆動車だと、曲がりながらヒール&トゥしないでシフトダウンをすれば、シフトロックという現象でスピンしてしまう。現代でも必須のテクニックなのだ。

 次の狙いは、エンジンブレーキを使うこと。ギヤをドンドン落としていくことで、高回転でのエンジンブレーキを使って減速を強めようというわけだ。とくにリヤ駆動だと、リヤブレーキはそもそもそれほど強くは利かないので、エンジンブレーキを活用してできる限り強く止めたいと思うドライバーは多い。

 そして、3つ目の狙いが、立ち上がり加速に備えること。コーナーを曲がってから加速に移りたいときに、あらかじめギヤを落としておかないと、エンジン回転数が落ちていてモワーッとした加速しかできなくなってしまう。

 以上の理由から、現代でも、できるものならやったほうが良いテクニックといえる。もっとも最近だと、Z34型「フェアレディZ」のようにこのアクセルのアオりをクルマ側でやってくれる機能もあるし、先代「86/BRZ」であれば「ECU-TEK」というツールでECUチューンをすると、シフトダウン時のブリッピング機能を追加することもできる。

修得のオススメは4速から3速へのシフトダウンから

 では、どうすればできるようになるのか? まずは、まっすぐシフト操作ができる4速から3速へのシフトダウンがオススメ。ギヤ比も近いクルマが多いので、アクセルをアオり損ねてもスピンが起きにくい利点もある。

 とにかく回転を合わせることに終始してしまいがちだが、大切なのは「いかに安定してブレーキングをするか」である。その間についでにギヤを落としてエンジンブレーキを使いつつ、加速に備えてギヤ落としておこっと、というのがヒール&トゥなので、まずはしっかりブレずにブレーキを強く掛けられることのほうが大切である。

 あとは、回転が合わないかなぁ~と思ったら秘技「半クラッチ」作戦である。発進時のようにギヤを落としたあとのクラッチをじわっとつないでやれば、最悪、回転が合っていなくても大丈夫。ちょっとはクラッチが減るかもしれないが、ほんのちょっとだし、盛大にスピンするよりも遥かに失うものは少ない。

そもそも街乗りでは練習にならない

 では、とにかく普段乗りで練習して、いつかサーキットを走る日に備えよう……と思うのが普通だが、これがまた、街乗りでは練習にならないのだ。なぜなら、圧倒的にブレーキを踏み込む量が少ないから。

 街なかではサーキットのような強いブレーキは掛けないので、むしろアクセルをアオるときのわずかな踏力変化がブレーキに伝わり、アクセルをアオるたびにブレーキがガックンガックンしてしまうのが関の山だ。究極に柔軟な足首があればできるかもしれないが……。

意外にも動作の素早さは必要ない

「電光石火のシフトダウン」と漫画「頭文字D」に出てきたような気もするが、じつはヒール&トゥを急ぐ理由はない。減速中のことなので、加速性能には関係ないのだ。エンジンブレーキを瞬時に利かせたいなら、速く操作したほうがいいが、エンジンブレーキもあまり高回転で多用するのはリスクが大きい。エンジン自体への負荷にもなるし、オーバーレブしてしまうこともありうる。

できるだけヒール&トゥを減らすプロもいる

 佐々木雅弘プロはできるだけ回数を減らす派。ブレーキ踏力がわずかでも乱れる可能性があるなら回数を減らして、エンジンブレーキに期待する制動力の分だけ、しっかりとフットブレーキが利くようにセットするタイプだ。

「例えば86レースで富士の1コーナーは5速から2速まで落としますが、僕は5速のままフルブレーキして、加速直前にちょっとだけヒール&トゥして2速入れてます」という。

 ヒール&トゥはできたほうが良いテクニックだが、多用すればいいというわけでもない。いざというときに使えた方がいいけれども、街乗りでの練習は後続車への迷惑にもなりかねないので、できるだけクローズドコースでの練習から始めたいところだ。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【時代の証言_日本車黄金時代】1990年ホンダNSX(NA1型)、アウトバーンとニュルでポテンシャルをフルに解放 by 岡崎宏司
【時代の証言_日本車黄金時代】1990年ホンダNSX(NA1型)、アウトバーンとニュルでポテンシャルをフルに解放 by 岡崎宏司
カー・アンド・ドライバー
トヨタ「ヴェルファイア“スポーツ”!?」発売! “走り仕様”のスポイラー×精悍「ブラックアクセント」がカッコイイ! 超高性能な「トムスパーツ」約47万円
トヨタ「ヴェルファイア“スポーツ”!?」発売! “走り仕様”のスポイラー×精悍「ブラックアクセント」がカッコイイ! 超高性能な「トムスパーツ」約47万円
くるまのニュース
日産のコンパクト「“スライドドア”ワゴン」がスゴイ! “めちゃ広”室内&「静音」モデルもある「タウンスター“エヴァリア”」! 欧州向けモデルが日本導入される可能性とは
日産のコンパクト「“スライドドア”ワゴン」がスゴイ! “めちゃ広”室内&「静音」モデルもある「タウンスター“エヴァリア”」! 欧州向けモデルが日本導入される可能性とは
くるまのニュース
「高速料金」負担は誰の責任? 各トラック協会も分裂する「新深夜割引」の裏事情、物流ジャーナリストが物申す
「高速料金」負担は誰の責任? 各トラック協会も分裂する「新深夜割引」の裏事情、物流ジャーナリストが物申す
Merkmal
ホンダ「CRF250ラリー」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
ホンダ「CRF250ラリー」【いま新車で買える! 冒険バイク図鑑】
webオートバイ
人気のミニバンがもっと便利になった! 日産セレナがベースのキャンパー
人気のミニバンがもっと便利になった! 日産セレナがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
第6世代を発表! その距離1120万km!! 超絶進歩した[ウェイモ]の自動運転とは
第6世代を発表! その距離1120万km!! 超絶進歩した[ウェイモ]の自動運転とは
ベストカーWeb
めちゃスタイリッシュ! スウェーデン発の自転車用「見えないヘルメット」って一体なんだ!?[復刻・2013年の話題]
めちゃスタイリッシュ! スウェーデン発の自転車用「見えないヘルメット」って一体なんだ!?[復刻・2013年の話題]
ベストカーWeb
くるまりこちゃん OnLine 「デザインのイメージ」第121回
くるまりこちゃん OnLine 「デザインのイメージ」第121回
ベストカーWeb
予選Q3でクラッシュしたアルボン、決勝レースを欠場。マシン修復が間に合わず/F1第21戦
予選Q3でクラッシュしたアルボン、決勝レースを欠場。マシン修復が間に合わず/F1第21戦
AUTOSPORT web
排気量も馬力も同じでしょ!? 軽自動車のターボに[差]って存在するの?
排気量も馬力も同じでしょ!? 軽自動車のターボに[差]って存在するの?
ベストカーWeb
「トリッキーだったがエンジョイした。今日はペースが良かった」自己最高予選3番手の角田裕毅が決勝で大量得点狙う
「トリッキーだったがエンジョイした。今日はペースが良かった」自己最高予選3番手の角田裕毅が決勝で大量得点狙う
AUTOSPORT web
圧巻の優勝の裏でGRスープラ3台が不可解なスローダウン。エンジン周りのトラブルか/第8戦GT500決勝
圧巻の優勝の裏でGRスープラ3台が不可解なスローダウン。エンジン周りのトラブルか/第8戦GT500決勝
AUTOSPORT web
F1 Topic:5年ぶりの『ワンデー開催』で想定されるシナリオ。選手権争いへの影響と、ポイント付与の可能性
F1 Topic:5年ぶりの『ワンデー開催』で想定されるシナリオ。選手権争いへの影響と、ポイント付与の可能性
AUTOSPORT web
角田裕毅、自己ベストの予選3番手。赤旗5回の波乱の中ノリスがPP獲得【予選レポート/F1第21戦】
角田裕毅、自己ベストの予選3番手。赤旗5回の波乱の中ノリスがPP獲得【予選レポート/F1第21戦】
AUTOSPORT web
4代目ワゴンR・3代目スイフト劇的進化! 渾身のマイナーチェンジを施したスズキに最敬礼!!!【10年前の再録記事プレイバック】
4代目ワゴンR・3代目スイフト劇的進化! 渾身のマイナーチェンジを施したスズキに最敬礼!!!【10年前の再録記事プレイバック】
ベストカーWeb
スノーフレークマーク付きタイヤ以外で走ると違反!? ドイツの冬タイヤ最新事情を現地からお届けします【みどり独乙通信】
スノーフレークマーク付きタイヤ以外で走ると違反!? ドイツの冬タイヤ最新事情を現地からお届けします【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
SUBARU BRZ R&D SPORT、またもブレーキにトラブル。最終戦鈴鹿に向け原因を調査へ
SUBARU BRZ R&D SPORT、またもブレーキにトラブル。最終戦鈴鹿に向け原因を調査へ
AUTOSPORT web

みんなのコメント

71件
  • 車を操作する楽しみの一つとしてヒールアンドトゥーは出来てもいいね
  • >MT車乗りの「必修科目」
    ときて、次がいきなり
    >街乗りでは不要だが
    だもんな。
    誰かどうにかしてくれ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

539.9920.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.83630.0万円

中古車を検索
フェアレディZの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

539.9920.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

29.83630.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村