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世界的ジャズ・ピアニスト小曽根真さんの“クルマ”と“音楽”

掲載 更新 5
世界的ジャズ・ピアニスト小曽根真さんの“クルマ”と“音楽”

世界を舞台に活躍するジャズ・ピアニスト小曽根真さん。誰もがコロナへの不安を抱えていた昨年に『ウェルカム・トゥ・アワ・リヴィング・ ルーム』と題し、自宅から53日連続でピアノ演奏をライヴ配信。話題となりました。そして、自身の誕生日である3月25日からコンサートツアーも開始という多忙ぶり。それでも大好きなドライブだけは、やめられないのだとか。そんな小曽根さんに、クルマについてお話を聞いてきました。

由美 実は大のクルマ好きと伺いまして。好きになったきっかけを教えてください。

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小曽根 クルマを好きになったのは小学生の頃です。父やおじの影響で、とにかくアメ車が好きでした。アメ車って、アクセルを踏んだらガーンと飛び出していくトルクが凄い印象で。そして、あのエンジン音! V8の重低音の音と、特にGMのエンジンがかかる時の音が大好きでした。

由美 その時から“音”に興味があったんですね!(笑) 当時、ご自宅にあったクルマは何ですか?

小曽根 1969年型の「シボレー ノヴァ」です。その前は「ボクスホール」っていう英国車。それを2台乗って、その後にノヴァが来て、あまりにも違うのに感動しました。車中の匂いまで違うんですよ。

由美 音感だけでなく、いろんな感覚が鋭い少年だったんですね。

小曽根 どうでしょう。でも、鮮明に覚えています。あとは室内が広いのと加速が、ね。親父に頼んで、わざと信号で止まって加速してもらったり。

由美 ジェットコースター感覚ですね! そんな小曽根少年が、免許を取ったのはいつですか?

小曽根 18歳の時に、教習所に行かずに直接飛び込みで取りました。アメリカだと16歳でドライビングパーミットをもらって運転できるんです。70年代終わりぐらい頃ですが、アメリカの高校生はみんなクルマの免許をもっていましたよ。


由美 免許をもってないとモテないとか?

小曽根 あったでしょうね。その頃、日本ではモテるクルマのランキングとかが出はじめましたよね。当時乗っていたのは中古の「プリムス バラクーダ」。『バニシング・ポイント』っていう昔の映画に、白い70年代の「ダッジ・チャレンジャー」が出てきて、その映画がカッコよくて。映画も音楽も、そして僕が好きなV8エンジン。それが欲しくて欲しくてね。

でも中古でもなかなかなくて、その姉妹車の『バラクーダ』を日本で乗っていました。そのあとでアメリカに行きましたが、当時は治安が悪くて電車が怖い。で、フリーペーパーを見てGM史上、最悪と言われていたシボレーの「ベガ」を500ドルで買いました。

由美 たったの500ドル!?

小曽根 そう、十数万円です(笑)。でも、すぐエンジンが壊れちゃって……。そこでプライベートでレースに出ていた友達に頼んでポンコツのカマロを買って、V8エンジンに乗せ換えてもらったら、見知らぬポルシェに追いかけられて。「ヘイ、ユー。こんなクルマがこんなに速いのはおかしい」と。エンジンを見せたら納得していました(笑)。

由美 さて、本題いきますか(笑)。初めてのドライブデート。思い出はありますか?

小曽根 「バラクーダ」です。その時は神戸に住んでいたので、六甲山へドライブデート。道に止めてちょっと歩こうとなったんだけど、クルマが大きすぎて道路に止められずでしたね(笑)。

由美 デートの時は、どんな音楽を聴くんですか?

小曽根 その時はジャズのカッコいい音楽を聴いていました。彼女も好きだったので。


由美 普段からクルマの中でもジャズばかり聴いているんですか?

小曽根 ひとりのドライブの時はジャズですね。でもひとりで乗る時は基本、音楽をかけないことのほうが多いですね。かわりにエンジン音を聴いて楽しむんです。でも「アルファード」とか静かなクルマの時は音楽を聴くかな。昔、「フェラーリ328GTB」に乗っていた時は、音楽をかけても聞こえなかったですから(笑)。スポーツカーはそれまで好きじゃなかったけど、元F1ドライバーのベルガーが乗っていたクルマということで、飛びついて、中古で買ったんですよ。

由美 音楽を聴くために、オーディオもこだわりますか?

小曽根 僕は、車内でいい音は聞けるはずがないと思っています。生の音が一番いいのを知っているから、そこまでやるならコンサートで聞こうと思うんですよね。

由美 では、いま乗っている車は何ですか?

小曽根 「マセラティ クワトロポルテS」です。このクルマの前にポルシェに乗ってて、コンポジットブレーキの交換が必要になって見積もりを出したら凄い金額で……。でも、欲しいクルマもなかったし、新車は納車まで時間がかかる。と思っていたら、中古ですがマセラティが出てきて。最初、僕の中でマセラティの印象が良くなかったんです。でも試乗してみたらしっくり。久しぶりのイタ車を楽しんでいます。


由美 かなりたくさん乗っている印象ですが、小曽根さんのクルマ選びの基準は何ですか?

小曽根 人があまり乗っていないクルマ、かぶらないクルマかな。あとは、基本的に4ドアのボックス型が好き。だからポルシェ911もフェラーリもなし。そしてSUVもないな。街中ではSUVは必要ないし。街中で乗るなら普通の乗用車が一番。クルマの基本はセダンだと思うんです。

由美 なるほど。

小曽根 そして、一番大切にしているのは運転している時の面白さ。運転している実感。自分がステアリングをしっかり握っていないと、どこに行っちゃうのかわからないような、じゃじゃ馬感でクルマを選んでいました。

由美 そんな小曽根さんに聞きたいのは、ズバリ、モテる曲ってありますか?

小曽根 モテる音楽かどうかはわからないけど、僕の好きなのはマイケル・フランクスの「スリーピング・ジプシー」っていうアルバムで、これはおすすめ。メローでセクシーな音楽です。あとは歌が入っていない、BGMになる曲かな。

由美 小曽根さんのアルバムの中ではどの曲がおススメですか?

小曽根 新しいアルバム『OZONE 60』の「フォー・サムワン(For Someone)」。これは文字どおり“誰かのために”という意味の祈りの曲で、レコーディング2日前に完成したんです。3つのバージョンをくっつけたものですが、人生に時々起こるドラマティックな出来事よりも、実は日常積み重ねている時間はもっと大切、という思いを込めた曲です。教会の鐘のようなイントロからエンディングまで、まるで讃美歌のような響に仕上がっています。

由美 昨年の53日間連続ライヴが話題ですね?

小曽根 コロナは世界中を止めてしまった。動けない中で何ができるかを考えた時に、都心のマンションで外に出られない人、不安に思っている人のために何を大事にできるか、1時間でもそういう時間があればと思って、緊急事態宣言が終わるまでやりました。今自分が感じていることをみんなが共感してくれる、恩返しのつもりが、逆にいっぱいエネルギーをもらえたんですよ。


由美 ライヴで何か変わったことはありますか?

小曽根 いろいろなことを、立ち止まって考えるようになりました。さらに、ライヴをやり続けたことで見えてきたものがあります。相手をリスペクトする気づきも大事。今回のアルバムも皆さんと同じ目線で、歩いて行こうという思いが強かったですね。60歳になって一緒に頑張ろう! 歩いて行こう! 今でもピアノを弾き続けることが出来る感謝の気持ちです。

由美 以前、LEONで、クルマのエンジン音を楽器にたとえたことがあります。小曽根さんには音楽にたとえてもらいたいのですが?

小曽根 う~ん。音が刺激的なのはマセラティ。ラテンのリズムなんだけど、これは楽譜に書けないんですよね。サンバのような、ルンバのような。リズムって大事だから。

由美 面白い! ほかのクルマは何ですか?

小曽根 ポルシェはそつのないベートーベン。完璧なんですよ。フォルクスワーゲン・ビートルはモーツァルト。トヨタ・プリウスはコンピューター音。これも好きだったな(笑)。ランチャはカンツォーネ。キャデラックはゴージャスだからビッグバンド!

由美 わぁ楽しい! 小曽根さんは本当に、話が尽きませんね(笑)。でも、そろそろお時間みたい。今日はありがとうございました。


■ マセラティ クワトロポルテS グランルッソ


全長×全幅×全高:5270×1950×1470mm
ホイールべ―ス:3170mm
エンジン:3.0リッター V6
最高出力:430PS
最大トルク:580N・m
お問い合わせ:マセラティ

● 小曽根 真 (おぞね まこと)


日本を代表するジャズ・ピアニスト。3月25日に60歳を迎えるいまなお精力的に活動を続ける。現在、60歳記念ソロ・ピアノ・アルバム『OZONE 60』が発売中。さらに、そのアルバムを引っさげ、今年一年、全国をまわります!


東京公演
3月25日(木)19:00開演 サントリーホール大ホール
名古屋公演
3月27日(土)14:00開演 愛知県芸術劇場コンサートホール
秋田公演
3月28日(日)15:00開演 アトリオン音楽ホール
大阪公演
4月3日(土)14:00開演 ザ・シンフォニーホール
水戸公演
4月30日(金) 19:00開演 水戸芸術館コンサートホールATM
宮崎公演
5月3日(月・祝)15:00開演 メディキット県民文化センター アイザックスターンホール
福岡公演
5月22日(土)15:00 開演 福岡シンフォニーホール
盛岡公演
5月25日(火)19:00開演 キャラホール・都南公民館
ほか、順次発表予定


3月3日発売のニューアルバム『OZONE 60』。ジャズとクラシック、両方の魅力を伝える意欲作だ。自身13年ぶりの2枚組アルバム。


● 吉田由美 / カーライフ・エッセイスト
自動車評論家(日本自動車ジャーナリスト協会理事)


クルマまわりのエトセトラについて独自の視点で自動車雑誌を中心に、テレビ、ラジオなどでも幅広く活動中。
・ブログ「吉田由美のなんちゃってセレブなカーライフ」
・YouTubeはコチラ

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みんなのコメント

5件
  • 小曽根真へのインタビューなのにどうして自分の写真が一枚目にくるのか??
    54歳にしてはお若く見えますが、言うても54歳ですよ。吉田由美さん。(( _ ))
  • 途中で飽きた読んで損した
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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