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9歳女児はなぜ「車外放出」されたのか? フェラーリとスズキ・ワゴンR事故 原因を取材 広島・福山市

信号機のある交差点での事故

2022年6月18日夜、広島県福山市霞町1丁目にある交差点「まなびの館ローズコム西」で9歳女児が死亡する衝突事故が発生した。

【画像】事故の当事車両「フェラーリF8トリブート」【どんなクルマ?】 全64枚

直進するフェラーリF8トリブートと右折してきたスズキ・ワゴンR(初代スティングレー)とのいわゆる「右直の事故」である。

衝突の衝撃で63歳の祖父が運転するワゴンRに乗っていた小学4年生(9歳女児)が車外に投げ出された。

病院に搬送されたが2時間半後に死亡が確認されている。

祖父も骨盤骨折などの重傷を負ったが命に別状はない模様。

フェラーリのドライバーにけがはなかった。

事故は発生当初、数多くのメディアで報道された。ニュースのタイトルは「フェラーリと軽乗用車」としているところがほとんどで、わずかに「スポーツカーと軽自動車」と名前を伏せたものもあった。

フェラーリやポルシェ、ランボルギーニ、メルセデス・ベンツ、マセラティなどの高級車は固有名詞を出されることが多い。

一方、国産車ではたとえ高級車でも車名が出ることはほとんどない。

理由は明白で「スポーツカー」よりも「フェラーリ」、「ポルシェ」の方が注目を集めるからである。

また、テレビの場合は国産自動車メーカーをはじめスポンサーへの配慮も関わってくる。

今回の事故。事故の様子を伝えるニュースの第1報で女児については「亡くなった」事実だけが伝えられた。

知人のテレビ制作関係者にも聞いてみたが、それ以上の情報は回ってこなかったという。

わずかに「全身を強く打って死亡」との報道もあった。

この「全身を強く打って」とはほとんどの場合、車外に放り出されて路面に全身を叩きつけられることを意味している。

なぜ小学生は車外放出された?

事故を報じるニュース動画や写真を見るとフェラーリ側の損傷はかなり大きく見えた。

とはいってもフロント部分が激しくつぶれているのは衝撃を吸収してキャビン(乗員が乗る部分)を護る構造だからである。

実際、フェラーリのキャビンはほとんど変形もなくドライバーにもけがはなかった。

一方、ワゴンR側はどうだろうか?

ボディの左側面は衝突の衝撃で大きく凹んでいるものの、横転もしておらず、衝撃で遠くに弾き飛ばされた状況でもない。

写真や映像から見る限り、衝突事故が発生した交差点で事故後も正立の状態を保っていたと思われる。

その後の第2報では「小学生女児は車外に投げ出されて全身を強く打って死亡」と報道され始めた。

横転もしていないのに、車外に投げ出されるのは衝撃から身体を拘束する(守る)シートベルトがなかった可能性が高い。

では、シートベルトをしていれば助かったのか?

正しい位置にベルトが掛けられていれば助かった可能性が高いが注意すべき点がある。

日本の小学生はほとんどが身長150cm以下なので、シートベルトだけでは正しい位置とはいえないからだ。

日本を含むほとんどの自動車メーカーでは「身長145cm以上の大人用ダミー」を使って安全性を評価しており、子どもがシートベルトを使えるのは身長150cm以上となる。

日本も採択しているチャイルドシートの安全基準(国連欧州基準UN/ECE R129)においては、ジュニアシートは身長150cmまでの子どもが安全に使える構造であることが必須条件だ。

シートベルトは身長150cmを過ぎてから

事実、日本の自動車メーカーの純正ジュニアシートはすべて、ヘッドレストや背もたれがついて身長150cmまで安全に使用できる構造だ。

なお、背もたれがない座面だけの簡易ブースターシートも安全基準(ECE R44/04)を満たしているが、こちらは2017年より身長125cm、体重22kg以上での使用が義務付けられている。

チャイルドシートの義務年齢(5歳まで)を過ぎたらすぐさまチャイルドシートを外して良いというわけではもちろんなく、身長100-105cm位までは幼児用、その後、身長125cmくらいまでは背もたれのある学童用ジュニアシートを使用し、シートベルトが正しく着用でくる150cmまでは(できれば背もたれ付の)ジュニアシートを使って乗車させることがドライバーや保護者の義務である。

広島での事故が起こる約1か月前の5月22日、北海道・空知の南幌町でトヨタ・エスティマが道路を逸脱して側溝に転落する事故があった。

運転者含めた4名は重軽傷で済んだが助手席に乗っていた小学3年生男児だけが車外に投げ出されて意識不明の重体となってしまった。

助手席でシートベルトをしていたというが、関係者からは「シートベルトが男児の身体にあっていなかったのではないか」という声もある。

たしかにその可能性が高いだろう。

小学3年生男児の平均身長は130cm前後であるから側溝に転落した衝撃でシートベルトの間から身体がすり抜けて、車外に放出された可能性が高い。

どの席に座ろうとも身長150cmを超えるまではシートベルトだけでは危険だ。

周囲の大人はそれを知っておくべきだし、子ども本人にも教えるべきだ。

女児放出の原因 警察に聞いてみた

ワゴンRから放り出された女児は実際、どのような状態で乗車していたのだろうか?

広島県警察に取材依頼をしたところ、許可を頂くことができた。

担当している福山東警察署に電話をしてみた。

――大変痛ましい事故ですが、9歳の女の子はジュニアシートを使っていたのでしょうか?

「運転していたおじいさんは今も入院中で事故当時の状況などの話は聞けていません」

「骨盤骨折という重傷を負っており、またコロナ感染拡大防止を理由に家族も含めて面会ができない状況です」

「シートベルトやジュニアシートを使っていたか? どの席に座っていたのか? ということなどは確定できていません」

「しかし、亡くなったお子さんが車外に出ていたという状況から判断してシートベルトを正しく着用していなかった可能性が高いと考えられます」

「なお、おじいさんはシートベルトを着用していたことがわかっています」

――フェラーリの速度はどれくらい出ていたのでしょうか?

「現在、ドラレコを解析しているところです。速度や安全確認の状況なども調べています」

――フェラーリ側が直進なので優先になりますか?

「直進する側が優先にはなりますが、そうであっても曲がろうとしている(右折しようとしているワゴンR)車両がいるのであれば、安全確認する義務が発生します」

「速度が何キロ出ていたのか今は不明ですが、一般的に優先される直進側が法定速度内で走行していても注意を怠って相手側の乗員が死傷した場合は『自動車過失運転致死傷罪』(運転上必要な注意を怠って人を負傷または死亡させた場合に成立する罪)になります」

――この交差点(まなびのやかたローズコム西)は右直の事故が起こりやすい場所ですか?

「多発しているわけではありません。しかし、これも一般的に言われていることですが、右直の事故は直進側がオートバイや車高の低いクルマである場合、右折する側が直進車のスピードを見誤る例が多いのです」

「車高が低いクルマの場合は実際の位置よりも遠くに見えるため、まだ大丈夫だと思って右折し、衝突事故となるケースがとても多いのです」

正しい乗車方法で救える命

事故はいつ起こるかわからない。

追突など避けようがないもらい事故もあるだろう。

しかしシートベルトの正しい着用で同乗者の命を守れる可能性は非常に高くなる。

実際、今回の事故でも運転していた63歳の祖父は大けがを負ったもののシートベルトを着用していたので車外に放り出されることはなかった。

チャイルドシートは義務年齢(6歳未満)を過ぎれば不要なのではなない。

その後は一般道でも高速でも全席でのシートベルト着用義務が生まれる。

シートベルトが安全に使える身長150cmまでは必ずジュニアシートを使うのが義務だ。

ベルトを使わずに事故にあったらどうなるのか?

小学生ともなれば、恐ろしさを保護者がしっかりと教えれば理解できるだろう。

お子さんやお孫さんをクルマに乗せるとき、その愛すべき子どもたちの命は父、母、祖父母など運転する保護者に委ねられていることをどうか忘れないで欲しい。

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