モータースポーツの「歴史」に焦点を当てる老舗レース雑誌『Racing on』と、モータースポーツの「今」を切り取るオートスポーツwebがコラボしてお届けするweb版『Racing on』では、記憶に残る数々の名レーシングカー、ドライバーなどを紹介していきます。今回のテーマは、2001年に全日本GT選手権のGT500クラスを戦った『ホンダNSX』です。
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『ホンダNSX(1999年編)』いまだタイトルには手が届かない“最速”ミッドシップ【忘れがたき銘車たち】
1997年から全日本GT選手権(JGTC)への本格参戦を開始し、4シーズン目となる2000年には念願の初タイトルを獲得した『ホンダNSX』。そんな『NSX』は連覇の期待がかかった翌2001年に向けて、大幅改良を施した2000年型をベースに、さらに改良を加えたニューモデルをレースへと送り込んだ。
2001年は車両規定が大きく変わらず、『NSX』は前述の通り2000年にマシンを大きく進化させていたため、2001年モデルはその2000年型の最終仕様をベースにエンジン、足まわり、ギヤボックスに手を加えたアップデート版といったスペックの車両だった。
しかし、この年、前年型まで40mm、ルーフ上に突き出ていたエアインテークが禁止となり、ルーフと同じ高さのものに変更を余儀なくされた。これは2000年型まで使用していた無限製のエアインテークが、ホンダ製の市販車両オプションではなく“基本車両の状態の維持”という規定に触れるとされたためだった。
これによって対策は施したもののエンジンのパフォーマンスが大幅に落ちてしまった『NSX』だったが、2001年シーズンのTIサーキット英田で行われた開幕戦では、マシンバランスのよさを活かして道上龍/光貞秀俊組のロックタイト無限と土屋圭市/金石勝智組のARTAが1-2フィニッシュを達成し、幸先のいいスタートを切った。
しかし、第2戦の富士スピードウェイではトヨタ・スープラに、第3戦スポーツランドSUGOでも終盤までARTAがトップを走りながら、最終的にはまたもスープラ勢に勝利を奪われてしまうなど、劣勢が続いた。
そこでホンダ陣営は第4戦富士から新型エンジンを投入。2本出しだったエキゾーストを1本出しに改めるなどして、失ったエンジンパワーを取り戻すことに力を注いでいた。すると第5戦ツインリンクもてぎではドミニク・シュワガーと松田次生が駆るMobil 1が開幕戦以来の優勝をNSX勢にもたらし、続く第6戦鈴鹿サーキットではARTAがシーズン初勝利を飾るなど『NSX』は2連勝を達成した。
そしてMINEサーキットで開催された最終戦。このレースでNSX勢ではロックタイト無限とARTAが同ポイントでタイトルの可能性を残していた。決勝レースがスタートするとランキングトップだったauセルモスープラが接触で順位を落とし、さらにトラブルにも見舞われてしまう。これで俄然NSX勢2連覇の可能性が高まった。
しかし、ARTAがロックタイト無限との同士討ちによってリタイア。生き残ったロックタイト無限もトラブルで順位を落としてノーポイントに終わり、『NSX』は可能性がありながらもチャンピオンを逃してしまった。
2連覇という最大のチャンスを逸した『NSX』は、2002年以降もなかなか王座に手が届かない苦しい戦いを強いられることになっていく。
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