トレッド面に雪が貼りついてスリップ
text:Kumiko Kato(加藤久美子)
いわゆる布製チェーン。ドイツ車メーカー含む多くの欧州車メーカーや国産車メーカーが純正採用していたので、筆者も何の不安を感じる事無く、アマゾンで「オートソック」を購入した。
「オートソック・ハイパフォーマンスHP-600並行輸入品」という製品だった。
緊急用に購入して約1か月後、首都圏に大雪が降った。意外と早くオートソックの出番が来たのだ!
駐車場でオートソックを取り付けてみる。とても軽くて簡単!
早速試してみるべく、雪かきグッズを買いに片道5kmのドン・キホーテに向かった。
大通りに出るまでは雪が結構深くて最低地上高12cmのアルファ・ロメオ916スパイダーはゴリゴリと雪をかき分けて走る。
オートソックなかなかいい。がっちり雪を掴んで、スリップすることなく普通に走れている。
しかし……。交通量の多い大通りに出て間もなく、路面はシャーベット状の雪となりタイヤが滑り始めた。
オートソックが外れた? と思って、駐車場で恐る恐るタイヤを見たが、ちゃんとついていた。
しかしトレッド面に雪がべったりと貼りついていた。滑る原因はこれか?
少し検索してみると、筆者と同じような経験をした人のブログや商品レビューが数件見つかった。中には、タイヤのトレッド面全面を覆うように雪が貼りついている写真もあった。
これではグリップ力など皆無だろう。むしろオートソックがない方が良いのかも?
水分の多い雪には向いてないのでは?
オートソックは水分の多い雪には向いてないのではないか?
ヨーロッパの乾いた圧雪路では抜群のグリップ力を発揮するかもしれないが。
しかも、家に帰って外した左前輪のオートソックを良く見ると……。穴が開いていた! まだ数kmしか走ってないのに? 擦り切れて中の黒い生地が露出していた。
そして6年後、再び出番が来た。
2018年1月の大雪だ。オートソックが滑って危ないことはわかっていたので、駐車場の空いたスペースで金属チェーンとの比較をしてみた。
オートソックは本当にダメなのか? 再度確認するつもりだった。
結論から言うと、ワダチのついていない新雪が降り積もっている場所では抜群のグリップ力を発揮した。
しかし……。解けはじめの水分を多く含む雪の上では少し走っただけで雪がトレッド面に張り付いて滑りまくる。
さらにタイヤが濡れている時は着脱が途方もなく大変。
こんな商品がメーカー純正になっていて大丈夫なのだろうか?
オートソックの販売サイトをあれこれ見てみたが、どこも、「ベンツ、VW、BMW、トヨタ、ホンダ、日産…国内外の大手メーカーが純正に採用しています」などと書いてある。
並行輸入品も純正品も同じサイズなら違うのはパッケージだけで中身は同じ。
メーカー純正となれば、信頼性は絶大。危険な製品を販売するはずは絶対ないからだ。
チェーン規制対応? ほんとに大丈夫なのか
オートソックについて色々と調べているうちに、JAFが緊急脱出用として使用を公表しておりJAFの通販サイトでも販売されていることを知った。
また2018年12月に国交省から発表された「新チェーン規制」では、スタッドレスはNGでも、布製チェーンはOKという見解が出されている。
さらに2019年12月にはNEXCO東日本が大雪時の立ち往生車両を移動させるために布製チェーン(写真はオートソック)を使用すると公表した。
むしろ豪雪地帯の雪の方がオートソックに向いているのだろうか?
実績があるからこそ、チェーン規制対応品として認可されJAFやNEXCOでも公式採用されているのか。
色々と知りたいことが重なり、総輸入販売元を探した。雪道楽シリーズでも有名なFECチェーンというタイヤチェーンの専門会社だ。
株主名にトヨタ自動車の名前もある。メーカー純正のチェーンも数多く作っているようだ。
担当者の方と話をすることができた。とても丁寧で誠意ある対応だったが、雪が貼りついてスリップすることは、まったくご存知なかった。
通販サイトの数百以上ある商品レビューはオートソックを絶賛する内容が大半を占めていたが、「滑って危険だった」「絶対に買ってはいけない」などのレビューも散見されているが、そのこともご存知なかったのだ。
ほとんどの日本/ドイツ車メーカーは純正から撤退
かつては多くの自動車メーカーがオートソックを純正に採用していた。しかし現在はドイツ車全社、日本車は日産以外不採用となっている。
理由は何か? オートソックの輸入元に尋ねたところ意外な答が返って来た。
「純正となると車種ごとにパッケージを作ったり品番を揃えたり細かく対応しなくてはなりません」
「経費と販売数の関係から採算が取れないと判断し純正をおろさせていただいたのです」
日本の雪には向いてないから危険、という理由で日欧の多くのメーカーが不採用にしたのかと思ったら、話は全く違っていた。
しかし、その後、純正をやめた理由としてホンダアクセスからは以下の回答を得た。
「販売をとりやめたのは、いくつかの車両で装着性の点で純正要件に合わなかったためです」
「ネット通販については、商品自体は市場に流通していますのでかつての純正部品の表示をつけたままどちらかから仕入れたものを販売されているのだと思います」
「現在ホンダアクセスは在庫も出荷もしていません」
オートソックを購入した人は、以下の点に気を付けて使うのが良さそうだ。
・あくまで緊急脱出用として使う。
・首都圏の雪のような水分の多い雪では雪氷がタイヤに張り付いて滑ることがある
・濡れたタイヤへの脱着は困難を極める
なお、輸入元はノルウェーの本社にこのことを報告し、警告を行うか検討してくれるとのことだ。
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みんなのコメント
こいつの使い方は、都心部の急な積雪用じゃなく、豪雪地帯走行時にスタッドレスでスリップしたりスタックしてしまった時に使う、チェーンの代用布製チェーンなわけで、着けるとスタッドレス以上でチェーンクラスの登坂力が認められてるから、新チェーン規制適用品なんだが…。
都心部みたいなアスファルトと圧雪混合路走ると、あっという間に破れて使えなくなるしね。
逆に豪雪地帯の圧雪路なら100キロくらい走っても全然平気。
トランクのサイドポケットに入るし、緊急脱出用には特に本領発揮してくれる。
そもそも雪道でやらかす人間って、自分のドライバースキルと車の性能過信者かスタッドレス過信者。