■マニアに愛されるシトロエン「DS/ID」シリーズ
英国「シルバーストーン・オークション」社がオンライン限定で開催したオークション「The Silverstone Classic Live Online Auction 2020」では、バラエティに富んだクラシックモデル、あるいはヤングタイマーたちが数多く出品され、あらゆるジャンルに属するクルマたちの国際マーケットにおける現況がかいま見られることになった。
【画像】シトロエンのハイドロだけが持つ独自の世界とは(36枚)
今回はそのなかでも、日本を含む全世界でコアな愛好家を持つ、クラシック・シトロエンたちのなかでも、とくに往年のシトロエンを象徴するテクノロジーだった「ハイドロニューマティック」システムを与えられた、超個性的なモデルのオークション結果に注目した。
このオークションでは、現在の「DS」レーベルがオマージュの対象とする元祖DS/IDシリーズから、基本となるベルリーヌ(セダン)とエステートワゴンの「サファリ」、さらにごく少量がハンドメイドで生産された「デカポタブル(カブリオレ)」も2台が出品された。
そして、ハイドロ・シトロエンといえば忘れてはならない、マセラティの心臓を持つグランルティエ(グランドツアラー)のSMなど、きわめて興味深いオークションの「レビュー」をレポートする。
●シトロエン「DS21 EFI PALLAS」:1972年
1955年に誕生したDSシリーズのなかでも最終期に生産された「DS23EFI」は、従来のキャブレターからインジェクション化することによって130psのパワーを発生。20年間にわたって生産されたDSシリーズのなかでも、最も高性能なモデルとなった。
なかでも右ハンドル英国仕様のDS23EFIは、公式にはわずか2台のみしか生産・販売されていないとされていることから、そのうちの1台である今回の出品車両の希少性は申し分のないものといえるだろう。
また、DSではお馴染みの半自動トランスミッション「Cマティック」ではなく、よりイージーなトルクコンバータ式ATや、ライン装着のエアコンディショナーも備える。
2020年7月31日の競売では、3万1500ポンド(邦貨換算約436万円)で落札。日本国内のシトロエン専門ショップでDSを探す場合にも、おおむねこのクラスの価格設定が多数を占めているところを見ると、現在のマーケット相場感に近い価格が維持されたと思われる。
しかし希少性を加味すれば、実はかなりお買い得な一台だった……、という見方もあるだろう。
●シトロエン「DS23サファリ(ブレーク)」:1973年
この時代のシトロエンは、英国ロンドン近郊スラウにも工場を設けて、大規模な生産をおこなっていた。
ここで紹介する「DS23サファリ」も、スラウ工場で生産された一台。フランス本国のワゴン版が「ブレーク」と呼ばれたのに対して、イギリス生産車両には独自に「サファリ」の名が授けられ、当時のイギリスで購入できる量産ワゴンのなかでは、もっとも高級なモデルとして高い人気を誇っていたという。
今回のシルバーストーン・オークションに出品されたDS23サファリは、フランス本国ではオプション指定だったといわれる本革レザーシートが標準装備されているなど、魅力的なディテールを持つ。
落札価格は2万6438ポンド(邦貨換算約366万円)となったが、これはけっこうリーズナブルだったのでは……? というのが、筆者の率直な印象である。
■マセラティ・エンジンを搭載した「SM」の落札価格は?
1958年以降、シトロエンDS/IDには「デカポタブル(カブリオレ)」バージョンが追加。その大多数は、1919年に創業し、ドライエやドラージュ、タルボ・ラーゴなどフランスの名だたる高級車にボディを架装した名門カロジエ(コーチビルダー)「アンリ・シャプロン」に委ねられた。
●シトロエン「DS19M デカポタブル coachwork by アンリ・シャプロン」:1965年
今回、シルバーストーン・オークションに出品されたDS19Mアンリ・シャプロン製デカポタブルは、特にレアな右ハンドル仕様であった。1365台が生産されたといわれているDSデカポタブルのなかでも、右ハンドル車は50台だけとされる。
この時代のシトロエンDS/IDの場合、英国仕様の右ハンドル車は英国内で生産されていたのだが、パリ近郊のアンリ・シャプロン工房で製作されたボディ/インテリアをイギリスに送って完成車とする工程は、さすがに複雑かつ過大なコストを要したのか、英国スペックのデカポタブルは超レア車となってしまったようだ。
2020年8月1日午後(現地時刻)におこなわれた競売では、9万-10万5000ポンド(邦貨換算約1230万円-1440万円)というエスティメートを遥かに飛び越えた、14万8500ポンド(邦貨換算約2060万円)に到達した。
この落札価格は、近年高騰したDSデカポタブルのマーケット相場をほぼ踏襲したもので、相変わらずの人気モデルであることを裏づける結果となったといえるだろう。
●シトロエン「DS21デカポタブル coachwork by アンリ・シャプロン」:1970年
今回の「The Silverstone Classic Live Online Auction 2020」では、シトロエンDSデカポタブルがもう1台出品された。日本では「猫目」と呼ばれる4灯ヘッドライト(内側2灯はステアリングの舵角に連動)を持つ後期型である。
シルバーストーン・オークション社の設定したエスティメートは、9万-10万5000ポンド(邦貨換算約1230万円-1440万円)で、もう1台の1965年型と同じ。そして2020年7月31日の競売では、1965年型ほどではないものの同じく予想を上回る13万5000ポンド(邦貨換算約1870万円)で落札となった。
1966年モデル以降のDSシリーズは、ハイドロニューマティックを作動させるためのオイルが、それまでの植物性LDSから鉱物性LHMに変更され、より信頼性が増すことから、高年式の車両を求めるファンは少なくない。
ところがその一方で、日本のファンの間では「丸目」と呼ばれる、1967年モデル以前の2灯式ヘッドライトのクラシカルな味わいを愛するファンも多く、それが今回の落札価格の差となったようにも感じられる。
いずれにしても、145万台以上が生産されたといわれるDS/ID全シリーズでも、デカポタブルは全時期/タイプを合わせても1365台のみ。今後もこのモデルの高価格は維持されるものと思われる。
さらに「アンリ・シャプロン」のブランドで、さらに豪奢なデコレーションや独自のディテールを持つ2ドアモデル(クーペも含む)も時おりマーケットに出ることがあるのだが、こちらは日本円にして3000万円超えの落札価格になることが十分にあり得る。
●シトロエン「SM 2.7 V6」:1971年
2020年、デビュー50周年を迎えるシトロエン「SM」は、ヨーロッパ大陸で急速に整備の進んでいた高速道路網に対応して、DSシリーズよりも速いGT的モデルが求められていたことから開発されたモデルである。
パワーユニットは、当時シトロエン傘下にあった伊・マセラティ社から供給される、V型6気筒4カムシャフトのスーパーカー級エンジンがセレクトされている。
1975年をもって生産を終えるまでにラインオフした台数は1万2920台と、この種の高級グラントゥーリズモとしてはまあまあの量産モデル。そのため希少価値こそ望めないものの、その成り立ちや独特の耽美的スタイルに熱烈な支持を示すファンは少なくない。
現在の国際マーケットにおける流通量も比較的多いのだが、現状で「For Sale」となっているSMを見ると、安価なものでは200-300万円で入手可能な一方で、高いものとなると1000万円を軽く超える個体もチラホラ散見できる。
つまり、コンディションや来歴によって、価格のブレが激しいモデルとみて間違いあるまい。
今回の出品車両には1万8000-2万2000ポンド(邦貨換算約246万円-約301万円)というエスティメートが設定されていたが、これがどうやら相当に控えめな数字だったようで、実際の競売では3万3188ポンド(邦貨換算約460万円)まで上昇・落札となった。
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