近年、増殖中!! クロスオーバーミニバンに日本でも売れそうな新星登場!?
三菱自動車は、海外専売の3列シートミニバン、「エクスパンダー」のクロスオーバー版として、SUVの要素を盛り込んだ「エクスパンダークロス」を、11月13日よりインドネシアで発売開始した。
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このエクスパンダークロスを筆頭に、ミニバンやステーションワゴンをベースにしたクロスオーバーが世界的にかなり増えてきている。
人気急上昇中のクロスオーバーミニバン&ワゴンを、アジア圏専売車中心に紹介してきたい。
文:永田恵一
写真:MITSUBISHI、HONDA、SUZUKI、TOYOTA、SUBARU
【画像ギャラリー】3列目は意外に広々!? 新型エクスパンダークロスを詳しく見る
日本でも売れそうな3列SUV! エクスパンダークロスとは
エクスパンダークロス。ルックスの本物感もさることながら、最低地上高は驚きの220mm(!)で、日本仕様の多くのSUVを遥かに凌駕
まずはベースとなるエクスパンダーを簡単に紹介しよう。
エクスパンダーは、全長4475mm×全幅1750mm×全高1695mmというボディサイズで、日本車で例えると、ホンダの初代CR-Vに3列目シートを付けたようなモデル。エクスパンダーの3列目シートは身長の高い人でも短時間なら苦痛なく座れる広さを持つ。
パワートレーンは1.5Lガソリン(最高出力105馬力、最大トルク14.1kgm)に4速ATと5速MTを組み合わせ、駆動方式はFFのみとなる。
車重は1300kg台半ばなので、動力性能はトヨタ シエンタの1.5Lガソリンに少し劣るといったところだ。
インドネシア価格は、AT車で2億3780万~2億6510万ルピア(日本円で約190万~213万円=1ルピア0.08円換算)と手ごろで、ボディの大きさも含め見た目もよく、概要を見ただけでいかにも売れそうなモデルである。
同車をベースとしたエクスパンダークロスは、最低地上高の20mmアップ(エクスパンダーでも205mmとSUV級の最低地上高を確保!)、前後バンパー下部のスキッドプレートやフェンダーとサイドシルの樹脂パーツ、ルーフレールの追加といった常套的な手法でクロスオーバー化されている。
インテリアも内装色やシート生地がエクスパンダーのファミリーカー的なものから、クロスオーバーらしいアクティブなしつらえにグレードアップされている。
パワートレーンはエクスパンダーと変わりなく、ボディサイズはパーツの追加などにより全長4500mm×全幅1800mm×全高1750mmに拡大され、インドネシア価格はAT車で2億7770万~2億8670万ルピア(約222万~229万円)となる。
エクスパンダー、エクスパンダークロスともに非常に魅力的なクルマで、日本で売るには自動ブレーキ&運転支援システムの対応や4WDの設定などすべきことも多いにせよ、日産での販売を含めれば相当の販売が期待できそうなモデルである。
日本にもってこい!? ホンダ&スズキの注目海外専売クロスオーバー
■ホンダBR-V
ホンダ BR-V。手頃なサイズ&価格で3列シートSUVを実現!
2016年に登場したBR-Vは東南アジア圏を中心に販売され、全長4456×全幅1735×全高1666mm(インドネシア仕様は最低地上高201mm)というボディサイズとなる3列シート仕様もあるSUVである。
主力となるパワートレーンは、1.5Lガソリン(117馬力&14.9kgm)+CVTか6速MTの組み合わせ。エクスパンダーと非常によく似たクルマである。
それでもエクスパンダーは軸足がミニバン寄りで、BR-Vはシティ派SUVとなることなど、見ていてなかなか面白い。
3列シートの1.5Lガソリン+CVTとなる標準グレードのインドネシア価格は、2億6880万ルピア(約215万円)と、エクスパンダークロスに近い。
日本で販売するとヴェゼルの販売を奪ってしまうという懸念があるのかもしれないが、こちらも日本導入を強く要望したい高い商品力を持つモデルだ。
■スズキ エルティガ
スズキ エルティガ。ミニバンながら最低地上高はハリアーやC-HRなどより高い(※グレードによる)
エルティガは2018年に2代目モデルにフルモデルチェンジされた東南アジア圏を中心に販売される3列シートを持つミニバンである。
ボディサイズは全長4395×全幅1735×全高1690mm(最低地上高180mm)、パワートレーンは1.5Lガソリン(109馬力&14.1kgm)+4速AT&5速MTの組み合わせ。
インドネシア価格はAT車で2億3100万~2億4500万ルピア(約185万~196万円)と、こちらもエクスパンダーによく似たクルマだ。細かく見るとエルティガは、エクスパンダーよりミニバン寄りのキャラクターを強く感じる。
フリードクロスターにアウトバックも! 日本にある注目クロスオーバーの特長は?
■フリードクロスター/シエンタGグランパー
ホンダ フリードクロスター。最低地上高は変わらず、外装をクロスオーバー化
最近のマイナーチェンジでフリードに加わった「クロスター」とシエンタに追加された特別仕様車「Gグランパー」は、コンパクトミニバンである両車を最低地上高に代表される機能面には手を加えず、内外装の変更でクロスオーバーの雰囲気を盛り込んだモデルである。
クロスオーバー化の内容は、フリード「クロスター」が前後バンパー下部とサイドシルの樹脂化、前後バンパー下部の樹脂製ガード、ルーフレールの追加、インテリアでは木目パネルの追加、シート生地の変更など。
トヨタ シエンタ Gグランパー。フリード同様、見た目の差別化が主な変更点
対するシエンタ「Gグランパー」は、フロントグリルとシート生地の変更、ドアミラー、ドアハンドル、ホイールキャップのブラックアウト化などと、フリードクロスターの方がベース車に対する変更箇所は多い。
しかし、ベース車に対する価格差はフリードクロスターが装備品の違いも加味すると1.5Lガソリン車で12万程度、シエンタGグランパーは1万5000円程度と、大きく違う。
■スバル アウトバック
新型アウトバック(北米仕様、2020年モデル)
レガシィは現行型からツーリングワゴンを廃止、アウトバック一本となっており、先代モデルから大型化されたボディも、アウトバックではアメリカンな雰囲気の演出につながっている。
現行モデルは、NAの2.5L水平対向4気筒エンジンのみとなり、全体的に堅実な仕上がりであるが、アイサイトによる運転支援、定評あるスバルの4WDや200mmの最低地上高などにより、悪条件下ほど頼もしいクルマである。
現在日本車では唯一のラージクロスオーバーなのに加え、価格も341万円からと内容を考えればリーズナブルだ。
なおアウトバックとレガシィB4は、アメリカではすでに次期型に移行している。
次期型もキープコンセプトながら、車体は新世代のSPG(スバルグローバルプラットホーム)を使い、CVTと組み合わされるエンジンも直噴となった2.5L水平対向4気筒に加え、3.6L水平対向6気筒の後継となる2.4L水平対向直噴ターボも搭載される。
アウトバックを狙うなら、いずれ日本でも販売されるであろう次期型を待つのが基本となるが、条件次第では熟成されつくした現行型を選ぶのも面白い選択かもしれない。
◆ ◆ ◆
海外まで目を広げるとクロスオーバーはなかなか面白いクルマが揃っている。特に東南アジア圏で販売される3台はコンセプトに魅力があり、日本で生産すればリーズナブルな価格も期待できそうだ。
それだけに、3台の中ではじめに日本導入されたモデルは成功を納めそうな予感がする。
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