究極のドライバーズカー 992型で最軽量
ポルシェのGT部門を統率するアンドレアス・プロイニンガー氏は、「史上最高とはいえないかもしれませんが、最も面白い911の1台です」。と主張する。
【画像】ゴールは究極のドライバーズカー ポルシェ911 S/T GT3 RSとツーリング 競合の高性能モデルも 全160枚
世界ラリー選手権で活躍し、現在はポルシェのブランド・アンバサダーを務めるヴァルター・ロール氏は、「これまで運転したクルマの中で、最高のストリートリーガル・モデル」。だと表現する。
近年のポルシェは、991型では崇高なRを、最新の992型でもGT3 RSをラインナップする。つまり911 S/Tは、それら以上の仕上がりだということ。
これは、ポルシェ911の誕生60周年を記念するために設定された、特別なモデル。生産数は、初代のプロトタイプが発表された1963年にちなんで、1963台に限定される。英国には約10%が割り当てられ、価格は23万1600ポンド(約4192万円)なり。
ベースとなったのは、英国編集部でも評価の高いGT3を一般道へ僅かに振った、GT3 ツーリング。プロイニンガーは、「GT部門の製品ですが、サーキット・モデルではありません」。と話す。
ニュルブルクリンクのラップタイムを重視していないことが、それを証明するという。「わたし達は、実際にタイム計測していません」
「究極のドライバーズカーを作りたいと考えました。992型で最軽量に仕上げることが、開発での主要なゴールでした」。と続ける。S/Tは、これまでのGTモデルとはだいぶ異なる。
4.0Lフラット6は525ps 入念な軽量化で1380kg
かくして、ドアパネルとフロントフェンダー、ボンネット、ルーフはカーボンファイバー製。ホイールも軽量なマグネシウム製。リアシートは備わらない。油圧で動作する後輪操舵システムも省かれた。
4.0Lの水平対向6気筒エンジンは、992型の911 GT3 RS譲りで、最高出力は525psを発揮。意欲的な特性を与えるため、6速MTと結ぶクラッチは、軽量な専用品が選ばれている。フライホイールも、軽いシングルマスが採用される。
リアのアンチロールバーとドロップリンクもカーボン。ブレーキはカーボンセラミック。入念なダイエットを経て、911 S/Tの車重は1380kgに仕上がった。MTのGT3 ツーリングより38kgも軽い。991型の911 R比でも、10kg増に留めている。
ギア比はGT3より8%ショートで、シフトレバーは10mm短い。すべて、鋭いレスポンスへ結びつく。
ダンパーやスプリングなど、サスペンションのハードウェアはGT3 ツーリングと同じもの。タイヤも、同じミシュラン・パイロットスポーツ・カップ2を履く。だが、アダプティブダンパーのソフトウェアは異なる。
ステアリングは、明らかに重みが増えている。操舵へ一層リニアに反応するが、若干スローになった印象。切り始めの鋭敏な回頭性と引き換えに、安定した手応えと感触が与えられている。
多くを共有するGT3 ツーリングと、大きく特性が異なることへ驚く。発進直後から、タイヤが路面を掴む質感が手のひらへ鮮明に伝わる。ステアリングラックは、ベストの仕上がりだといっていい。
印象的なほどしなやかな乗り心地
乗り心地にも唸らされる。タイヤはフロントが20インチ、リアが21インチの扁平率30と肉薄なのにも関わらず、印象的なほどしなやか。GT3 ツーリングでは路面が乱れると足腰の硬さを実感するが、滑らかに処理してみせる。
ボディの制御も緻密になり、落ち着きが増している。巧妙なソフトウェアが叶えているのだろう。アダプティブダンパーの硬さは2段階から選べるが、どちらも公道との相性はいい。とはいえ、ソフトなGT3になったわけではない。
筆者は、タイトな設定が好みだった。僅かにしなやかさは減じるものの、加減速時のピッチングが小さくなる。そもそも、最小限といえる動きではあるが。
マグネシウム製ホイールは、GT3用のアイテムより1本で2.65kg軽いとか。バネ下重量は大幅に減っているが、乗り心地への影響は小さいそうだ。しかし、回転慣性が小さくなることで、エンジンのレスポンスが違ってくるという。
すべてのアップデートが相乗し、フラット6は極めて鋭敏。即座に反応する。
排気音は、アイドリング時から盛大。アフターファイヤーの破裂音などは放たないが、洗練されているというより生々しい。吸気音は、ケイマンGT4 RSほど響かない。
6速MTの扱いには、思い切りと正確性が求められる。シフトダウン時は、アクセルペダルを正しく傾ける必要もある。回転を合わせるには慣れと集中力が必要ながら、ピタリと決まると充足感が高い。
エンジンの回転数は、アクセルオフで瞬く間に低下する。念のため、ポルシェはブリッピング機能も用意している。
過去最高の911だと明言できる可能性
素晴らしいステアリングとボディコントロール、魅力的なパワートレインに軽いシャシー。能力のすべてを開放できれば、とてつもない喜びが待っていそうだ。では、史上最高の911と呼べるだろうか。
筆者にとって、過去ベストの911は997型のGT3 RS 4.0だ。この911 S/Tは、それを凌駕するかもしれない。サーキット・モデルではないというが、望ましい道で本領を発揮させれば、明言できる可能性がある。
気になった点を挙げるなら、992型のボディサイズ。911 S/Tの全幅は1852mmで、GT3 RS 4.0より広くないものの、全体的に大きく感じられてしまう。恐らく、ウインドウの位置が高く、ピラーが太く、視界が制限され、内装が肉厚なためだろう。
それでも、運転する時間が長くなるほど、911 S/Tの精度と漸進さが際立ってくる。親しみやすさも増し、道路環境次第ではボディサイズも気にならなくなるだろう。
過去にないほどパワフルでシリアスになっても、現実環境へ適合し、ドライバーを存分に喜ばせてくれるという事実は、911の特筆すべき強み。他のモダンなスーパーカーとは、一線を画す特長だといえる。
夢に描くような一般道を実際に走れるなら、911 S/Tはまさに理想的なポルシェになるだろう。道幅が充分にない実際のワインディングでは、もう少しスリムなボディの方がうれしいとしても。
ポルシェ911 S/T(欧州仕様)のスペック
英国価格:23万1600ポンド(約4192万円)
全長:4573mm
全幅:1852mm
全高:1279mm
最高速度:299km/h
0-100km/h加速:3.7秒
燃費:7.3km/L
CO2排出量:313g/km
車両重量:1380kg
パワートレイン:水平対向6気筒3996cc 自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:525ps/8500rpm
最大トルク:47.3kg-m/6300rpm
ギアボックス:6速マニュアル
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