日本車らしからぬ高額車や驚異のバーゲンプライスなど7台をお届け
モーターショーにコンセプトカーが出品されたり、スクープ情報などが伝わってきたとき、気になるのは正式発売されるときは販売価格がいくらになるのか、ということだ。ベールを脱いだとき、予想よりも高く感じるクルマもあるし、内容を考えるとメチャ安と感じるクルマもある。そこで時代背景を考慮しながら、衝撃的に高かったクルマ、衝撃的にプライスが安かったクルマを選んでみた。
1)トヨタ2000GT
今から50年以上も前の1967年5月、衝撃的なデビューを飾ったのがトヨタ2000GTだ。2輪車の分野で高い技術力を知られているヤマハ発動機をパートナーに選び、少数精鋭で開発を行った。流麗な2人乗りのグランツーリスモで、低いボンネットの先端にはリトラクタブルヘッドライトを装備する。インテリアも本木目を多用した豪奢な作りだった。
メカニズムも先進的で、日本初のオンパレードだ。サスペンションは4輪ともダブルウイッシュボーン/コイルの4輪独立懸架、ブレーキも4輪ディスクブレーキをおごった。パワーユニットは、シリンダーヘッドをDOHC化した2リッターの直列6気筒DOHCエンジンだ。これに3基のソレックス40PHHキャブを装着し、日本車としては最強スペックを誇った。最高速度も異次元の220km/hをマークする。
販売価格は238万円だ。その当時、クラウンやセドリックなど、高級車と呼ばれるクルマの価格はトッグレードでも110万円台だった。トヨタ2000GTは、その2倍以上の衝撃的なプライスを付けている。驚くほど高価だったが、優越感はすこぶる高い。
2)ホンダNSX(初代)
1990年秋に発売された初代NSXも衝撃のプライスタグを付けている。販売価格は、当時の日本車として最高額の800万円からだ。インフィニティQ45やセルシオよりも高価だったのである。だが、NSXは最先端テクノロジーの塊で、内容を知れば納得の価格だった。高価で技術的にも難しいアルミ合金製のボディをまとい、4輪ダブルウイッシュボーンのサスペンションやシートフレームなどにも軽量なアルミ材を採用する。
ドライバーの背後に積むエンジンは、3リッターのV型6気筒DOHC4バルブに可変バルブタイミング&リフト機構のVTECを組み合わせた。800万円の価格には度肝を抜かれたが、フェラーリやポルシェなどのスーパースポーツと比べれば、割高とは感じない。
3)レクサスLFA
21世紀になって驚愕の価格でデビューしたのがレクサスLFAだ。わずか500台の限定販売車だったこともあり、3750万円のプライスタグを掲げた。もちろん、日本車のなかでもっとも高く、レクサスLS600hLの2倍以上の価格となっている。ヤマハが開発した4.8リッターの1LR-GUE型V型10気筒DOHCエンジンは、レーシングエンジンに限りなく近い精緻な仕上がりだ。性能的にも文句なしで、音色も魂を揺さぶる。また、ボディなどはアルミに加え、カーボン素材も多用して軽量化に努めた。自動車史に残る傑作だから高いのも当然か!?
4)ホンダN360
逆に衝撃に安く、買い得感が群を抜くクルマもある。ボトムレンジの軽自動車は、エントリーユーザーも多い。だからライバルに差をつけるために驚くような値付けを行うことがある。ホンダは1966年の東京モーターショーにN360を出品し、翌67年春に市販に移した。話題をまいたのは、高性能でFF方式の利点を生かした広いキャビンである。
もうひとつ、衝撃的だったのがプライスだ。ライバルを圧倒する31万5000円の低価格を打ち出した。ライバルより10%以上安く、高性能なのだから売れないはずはない。わずか3カ月でスバル360を退けて首位に立っている。それ以降、ずっとベストセラーだ。
5)スズキ アルト(初代)
ホンダN360に続いて衝撃を与えたのは、1976年春に発売を開始したスズキのアルトである。この時期、軽自動車も排ガス対策とオイルショックによって販売台数が激減し、撤退するメーカーも少なくなかった。550ccの軽自動車が苦境に陥っていたとき、彗星のごとく現れたのがアルトだ。非課税だった商用車のジャンルに目をつけ、4ナンバーのボンネットバンとして送り出した。
販売価格は衝撃の47万円だ。当時の軽乗用車は65万円以上の価格。物品税が免除され、装備を徹底して省くことによってライバルを圧倒する低価格を実現したのである。当然爆発的に売れ、社会現象になった。
6)ユーノス ロードスター
スポーツモデルにもリーズナブルな価格を打ち出し、成功したクルマがある。マツダが1989年夏に発売した2シーター・オープンのユーノス ロードスターだ。古典的なスポーツカーフォルムを採用し、リトラクタブル・ヘッドライトも注目を集めた。1.6リッターの直列4気筒DOHCエンジンは平凡な実力だが、実力を余すところなく引き出すことができる。最大の売りは、人馬一体の気持ちいいハンドリングだ。テクニックに応じて楽しめた。
ボトムの価格は、若者でも頑張れば買える170万円。この価格で世界トップレベルの実力を持つ、後輪駆動のピュアスポーツを手に入れることができた。当然、世界中の走り屋たちが飛びつき、大ヒット作に。絶滅の危機に瀕していたFRライトウエイト・スポーツ市場を掘り返し、夢を与えたのがロードスターだ。
7)スズキ スイフトスポーツ(現行モデル)
21世紀、衝撃の買い得価格を打ち出したのは、現行のZC33S型スイフトスポーツである。ブースタージェットと呼ぶ1.4リッターのK14C型直列4気筒直噴ターボにクロスレシオの6速MTと電子制御6速ATを組み合わせ、痛快な走りを実現した。リニアなハンドリングも魅力だ。ステアリングを切り込むと、狙った通りにクルマが向きを変える。6速MT車の価格は183万6000円だ。その実力と装備を考えると、予想外のプライスタグで登場した。破格のホットハッチで、コストパフォーマンスは群を抜いて高い。
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