業界唯一の?サビ取り旧車雑誌「オールドタイマー」の過去記事からおもしろネタを厳選して再掲載!
◇◇◇下記、当時原文ママ(2019年2月号)◇◇◇
ガソリンエンジンを“灯油仕様”に改造する!? 3年で消えたキテレツ装置 【旧車雑誌オールドタイマーより】
セフィーロSSとは?
文/環田昌大
年末年始は皆様はどのように過ごされるのだろう? 平成は31年4月をもって終了した。また、昭和という時代が一層遠くなってしまったような気がしてならない。
30年足らずの間にいろいろな「もの」や「こと」が凄まじい勢いで変化していった。クルマも例外ではない。エアバック、ABSは当たり前に。安全装備てんこ盛りでエコな電気自動車やハイブリッド。自分はそんなものには付いて行けず、いまだに昭和のクルマを愛用している。昭和の終わりから平成の頭ごろまでは日本のクルマが生き生きしていた…。
そんな昭和末期のよき時代に日産から登場したのが「セフィーロ」だ。当時のCMキャラクターは井上陽水。カメラと併走するセフィーロ。その助手席側のドアウィンドーが開くと「みなさん、お元気ですかぁ~」と陽水さん。不思議なCMだなとあっけに取られ見ていたら、昭和天皇がご病気になりセリフが消された自粛バージョンに差し替え。これも話題になった。
ではセフィーロはどんなクルマだったのか。初代A31型はFR車ということもあって、最近までドリフト用に人気があった。バブル期の1988年にデビューした同車はローレルとスカイラインのシャシー/パワートレインを流用していたのだ。「33歳のセダン」が初期のキャッチコピーで、ターゲットは20代~30代男性。ローレルやスカイラインと異なりエンジン、サスペンション、トランスミッション、内装生地、内装色、外装色など組み合わせて注文できるセミオーダーメイド方式を採用し、その組み合わせは810とおりあった。
面白いのはグレード表記のエンブレムなどがないこと。それはセンターコンソールのフタの裏側に張られた仕様書で確認できるようになっていた。だが中期型になるとセミオーダーメイド方式も廃止に。後期型ではオートマのみとなり2500ccエンジンを積むようになる。バンパーも大型化されるなどデビュー時の新鮮さを失い、普通のセダンになってしまった。
そんなセフィーロだから、マニアは前期型にこだわる。今回ご紹介する“特別車”は前期型がベース。ただし新車時の特別仕様ではなく、中古車を使って装備を充実させ付加価値を高めた「商品化中古車」である。それでもちゃんとカタログが作られたのだから気合いが入っている。名称は「セフィーロSS」だ。
前期型セフィーロにオーテックバージョン用フロントエアロバンパー、サイドシルプロテクター、リヤエアロバンパーなどを装備。さらにnavanブランドのリヤスポイラー、中期型ラジエーターグリル、リヤコンビネーションランプ左右、リヤフィニッシャー、純正空気清浄器(ピュアトロン)、オリジナルステッカーを装着。オプションでアルミホイールやブリヂストンのポテンザが装着でき、全塗装もオプションで選べた。日産系の中古車センターで販売されていたので保証なども付く。
当時、商品化車を製作する専用工場があったようで、そこで作られた車両はディーラー系の中古車センターに展示され販売された。セフィーロSSのカタログに詳しい年月日は記されていないが、「LIFE TOGETHER」というキャッチコピーや説明文を読んでいくと、どうも1991年~92年くらいまでの間に出ていたものではないかと推測できる。これは実に感慨深い。
1980年代後半~90年代前半、日産に限らずどのクルマメーカーも商品化車を製作・販売していた。時はバブル期、新車が売れに売れた時代。新型車がデビューするとあっという間にそのクルマが街に溢れた。それゆえに中古車の見劣り感も強く、そのままでは売りづらかった。少しでも「中古車」というイメージを払拭させるべくあの手この手でこのような商品化車が生まれたのだ。
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