もくじ
ー サーブ900ターボ・コンバーチブル
ー ケーターハム620S
ー マツダRX-7(FD)
ー アルファ・ロメオGTV V6
ー モーガン3ホイラー
メルセデス・ベンツC200 2018年型に試乗 1.5ℓ×48VのMHVかディーゼルか
サーブ900ターボ・コンバーチブル
サイモン・デイビス
数年前に、友人とアムステルダムへ旅行した時のこと。4日間、地元の文化に触れたこと、つまり、酒場から酒場へ、はしごしたのだが、素晴らしい日々だった。
そして、英国に戻ったあとも、その街のことが忘れられなかった。酒場が恋しかったわけではなく、オランダの首都の、細い石畳の道に秋の日がさす中で、一目惚れしたクルマに出くわしたためだ。
なぜこのモデルに強く惹かれたのか、うまく説明ができない。まるで絵に描いたように素敵に見えたのだけれど、もしかすると酒に酔っていただけなのかもしれない。その街に戻ってでも手に入れたいと思ったクルマが、サーブ900ターボ・コンバーチブル。1993年か1994年の、四角いヘッドライトが付いたクルマ。
今となっては、サーブ900ターボ・コンバーチブルを運転する機会どころか、サーブ製のクルマ自体、運転することが難しい。だから、本当に運転して楽しいのかどうかは、わからない。でも実際は、クーペのような鉄製の屋根ではないことを考えると、ソフトトップはボロボロで、遅く、古臭いのだろう。
この時の物欲は、経験に基づくものではなく、単に見た目で惹かれただけだから、恐らくリスキーな欲求だ。もし、憧れの女性とディナーに出かけて、テーブルマナーが最低だったら、かなりショックを受けるのと同じ。
一方で、クルマのアピアランスだけで想像を膨らませさせて、夢中にさせる力というのは、クルマに個性を生み出すためには必要な、本質的なものだと思う。
もちろん、お金に際限がないのなら、ジャガーXJ220やマクラーレンF1が欲しいけれど、現実に戻って考えると、サーブはかなり魅力的に映るクルマなのだ。
シトロエン2CV
スティーブ・クロップリー
わたしの場合、最小限の洗練されたハードウェアから、非常に優れた機能性を発揮してくれるクルマが、特別な印象を受ける要素になっている。
これまで長年にわたって、非常に高価で、様々なシステムが搭載されたクルマを評価してきたが、シンプリシティということは、わたしの物欲の基本にある部分。バイクやマイクロプレーン、シトロエン2CV、ロータス、ケーターハム、モーリスミニなどの所有歴はそれを表していると思う。
そういうわけで、シトロエン・ベルランゴもここ5年にわたって、わたしと家族を楽しませてくれているクルマ。乗り心地にステアリングフィール、積載量などは、価格が20倍はするようなクルマよりも、純粋に優れていると思う。
それなのに、わたしがネットの中古車サイトで、1.3ℓのボクソール・シェベットに夢中になってしまっているから、困っている。家族の反対を押し切って手に入れたとしても、パワーもスピードも、売却価格も大分下回ることになるだろう。
優れたパフォーマンスは好きだが、攻撃的で傲慢なクルマは、好きにはなれない。今のクルマに備わる30%のメカニズムで、80%の仕事をこなせるなら、充分に思えてしまうのだ。
そして、クルマに対しての個性。クルマの個性的な部分には、何かが不足しているような部分も含まれていることも少なくない。例えば、シトロエン2CVのグリップ力や、尋常ではないボディロール、見たこともないようなタイヤサイズは特徴でもある。
最新の小排気量3気筒エンジンは、大きなボディを持つクルマに充分な動力性能を与えてくれている。ステアリング、乗り心地、エンジンレスポンス。平均的な部分より大きく超える部分が、クルマの個性になり得る。さらに、アピアランスも重要な要素だといえるだろう。
アルピナB5ツーリング
リチャード・レーン
クルマの個性というのは、信頼性に関するざっくりとした考えや、魅力的なエンジンノイズ、引き込まれるボディライン以上の、何かが含まれていると思う。
個性はオーナーの愛情や信頼性を育んでくれるけれど、アウディR8 V10 プラスのエンジンノイズや、フェラーリ・ポルトフィーノのボディラインが、わたしの興奮を呼び起こす、というわけでもない。
みんなが憧れるようなスーパーカーは、とりわけ快適というわけでもなく、あえて誠実さとでもいうような側面を削っているから、好きになるには、それなりの努力がいる。人間と同じように。
それにR8は、並外れたエンジンを搭載したスポーツカーでありながら、スーパーカーになろうと努力しているように思える。ドラマチックなスタイリングのポルトフィーノは、地中海に浮かぶクルーザーと極めて俊敏なスポーツカーを組み合わせたようなクルマだが、その仕上がりは説得力には欠けている。何を目指したのだろうか。
同じことは、新しいフォルクスワーゲン・ポロGTIにもいえる。間違いなく、非常に速いけれど、度を超えてしまったコンパクトカーを買うひとは限られるだろう。アウディA7は、乗り心地が酷すぎるし、ポルシェ718ケイマンは、効率を求め過ぎたエンジンによって、自らを傷つけたようだ。
これらのクルマに共通することは、明確なコンセプトの欠如。確固とした目的を持ったクルマは、単純に魅力的なだけでなく、弱点に対しても前向きに捉えた仕上がりを得ているように思う。それが個性につながっているのではないだろうか。
アルピーヌA110のインテリアは上質とはいえないけれど、クルマとしては鳥の羽のように軽量に仕上がっている。ランボルギーニ・ウラカン・ペルフォマンテは、ベースモデルに手を加えて軽量になっているが、すべてのランボルギーニが特徴的なエンジンサウンドを奏でるし、それほど重要なモデルとはいえないことと対照的だ。
われわれがスコダ・イエティやフォルクスワーゲン・ゴルフが好きな理由はそこにあると思う。
そして、BMW M5以上に、アルピナB5ツーリングが柔軟なサスペンションのフィーリングを得ていることに気づいた時、そのコンセプトが本当に素晴らしいと感じるのだ。
プジョー205 XS
リチャード・ブレムナー
プジョー205。この車名に、GTiを付けないで口にすることは、極めて珍しい。ミニだけでなく、思わずミニ・クーパーといってしまうように。205GTiは、1980年台という時代を超えて、今振り返っても最も優れたホットハッチの1台だと思う。205自体の持っていた素晴らしさを、完全に超えたイメージを作ってしまった。
GTiとCTiカブリオレを除く、すべての205には柔らかく滑らかなサスペンションが装備され、フランス車であることを明確に示していた。世界各国の道路に平均化させるのではなく、フランスの道に最適化させる形で、デザインされていた。
1990年代以前、多くのクルマは、自国の地理的条件や志向に沿って設計されていたはず。英国の場合、立ち遅れていた高速道路の整備を反映するかのように、エンジンの信頼性は低く、階級を意識したかのように、クロームメッキとウッドパネル備えていた。
イタリアのクルマはエンジンの排気量で課税される。小粒で、高回転域でもエンジンの振動は少なく、見た目以上に速く走った。もちろん、ドイツではアウトバーンの追い越しに適したクルマを作っていた。
フランスでも、街路樹がむき出しで並び、速度域の高い危険な国道のために、高速域でのスタビリティは必要だった。しかし、路面が荒れ、曲がりくねった細い道でも、充分な乗り心地が求められた。
その結果、優れたグリップ力と揺るがないスタビリティを備え、クッションのような乗り心地に、ゆったりとしたボディロールを発生させるクルマが生まれる。中にはこれらの条件を満たせないクルマもあったが、205はそのすべてを備えていた。
スタイリングは丹精でフランスらしさに溢れ、シックで美しく仕上げられている。シトロエン・アミやヴィザ、ルノー4や12という残念なデザインの後だったから、嬉しい驚きでもあった。
954ccエンジンを積んだベーシックモデルの205XEでも、充分に楽しめるハンドリングを備えていた。幅の狭いタイヤに、滑らかな乗り心地、アシストの付かないステアリングからは明確なフィードバックが得られ、グリップが限界に近いこともわかりやすい。スロットルペダルでノーズの向きを変えることができ、GTiのようにスピンに陥るリスクも少なかった。
そんな205でも、わたしの中でのベストモデルは、GTiではなく、1.4 XS。XEより速く、乗り心地も硬いが、GTiよりは柔らかくレスポンシブ。205の典型ともいえるモデルだ。
余剰なパワーや太すぎるタイヤ、盛られすぎた価格は、必ずしもドライビングを素晴らしいものにしないということ。そして、もっと自国に合わせた特徴をクルマに持たせても良い、という2点を、この205は今の時代に示してくれていると思う。
アルファ・ロメオ164クアドリフォリオ
コリン・グッドウィン
わたしの場合、エンジンはクルマを運転する時に感じる個性の重要な要素。一番のお気に入りのスポーツカーは、ポルシェ・ケイマンのエントリーレベルだったが、新しい4気筒エンジンで台無しにされてしまった。現代のクルマのエンジンで、気持ちを熱くしてくれるものは、正直多くはない。
環境負荷を減らす目的で、フラットなトルクカーブにこだわり、多くのエンジンの質感は似通ったものになっている。エンジニアは、マーケティング部門の人間に先導され、素晴らしいエンジンだと思わせるように、アフターファイヤーに似た、破裂するような排気音を作っている。それに、必要以上にうるさいエグゾーストノートも。
ここで、わたしが思う、素晴らしいエンジンを紹介したい。実は、いささか信頼性の低いクルマに搭載されていたのだが。
このクルマが27年前に発表された日のことを、今でも覚えている。モータージャーナリストが集まった、英国ヨークシャーのホテルでのことを。もらったプレス向け資料には、アルファ・ロメオのロゴが入ったペーパーウェイトが入っていた。
クルマはアルファ・ロメオ164クアドリフォリオ。われわれは当時、2ℓツインスパークの164を長期テスト車両として持っていた。酔っ払ったかのようにトルクステアが酷く、パワーシートは時々動かなかった一方で、エンジンの音は良かった。
164クアドリフォリオはチューニングされたアルファ・ロメオ製V6エンジンを搭載し、圧縮比はアルファ・ロメオSZ並に高められていた。SZのカムと大口径の吸気システム、高効率のエグゾーストマニフォールドを備えていた。
当時でも、旧式的なチューニングではあった。最高出力は200ps程度だったが、サウンドはとにかく素晴らしかった。クロームメッキのインテークパイプが備わり、エンジンの見た目も美しかった。
アルファ・ロメオは、トルクステアを解消するために、164クアドリフォリオの車高を20mm下げ、エンジンマウントの厚さも12mm程度に薄くした。それでも、現代のクルマと比較すれば酷いと感じるほどに、全力での加速にはコツを要したのだが、素晴らしいサウンドと、充分な力強さを備え、エキサイティングなパフォーマンスを生み出していた。それに、スタイリングも格好良かった。
今、これほどのエンジンを探すとしたら、かなり難しいだろう。まだ電動モーターといえば、パワーウィンドウとパワーシート程度だった時代。エンジン自体の信頼性は高いV6からは、今も心地いい音色を響かせてくれるに違いない。
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