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純正で62個のスピーカーが用意されたクルマも! スピーカーは数が多いほどいい音で聴けるのか

掲載 更新 19
純正で62個のスピーカーが用意されたクルマも! スピーカーは数が多いほどいい音で聴けるのか

 純正でも迫力あるサウンドを楽しめるモデルも存在!

 音楽好きのドライバーなら、車内で、できるだけいい音で音楽を聴きたくなるのは当然だろう。純正オーディオに満足できず、手を加えている人も多いと思う。

ノーマルでも爆音気味のスーパーカーは車検に通るのか?

 車内でいい音を聴いてもらいたい、というのは、自動車メーカーの開発陣に音楽、オーディオ好きがいれば、けっこうな確率でこだわり、実現されていることが多い。

 たとえばすでに生産中止になっているホンダN-BOXのアメリカンカスタム的モデルのN-BOXスラッシュがそうで、上級グレードに8スピーカー+FOSTEX社製バックロードホーン式スーパーウーファー、それを駆動する出力360Wのアンプを備えたサウンドマッピングシステムを用意。

 当時の記憶では、軽自動車としてはあり得ない、かなり迫力あるサウンドを聴かせてくれたのだ。これも、開発責任者がオーディオマニアゆえの設定だったのだ(オプション価格もすごいが)。

 最近では、マツダMAZDA3に標準装備された8スピーカー&DSPアンプ搭載のマツダ・ハーモニック・アコースティックスシステムが好例だ。

 クルマを動くリスニングルームにする、という目標のもと、純正オーディオの音はしょぼい……というこれまでの通説を打ち砕くべく、カーオーディオだけでなく、車体の設計時点から、クルマ全体の音響にまでこだわったものなのだ。実際、CD視聴、USB接続視聴にかかわらず、純正オーディオとしてはかなりハイレベルなサウンドを聴かせてくれたのである。

 ところで、カーオーディオについて、「スピーカーは多いほうが良い」という意見もある。かつて、192個ものスピーカーを備えたドイツの劇場をモチーフとした、アウディQ7ベースのアウディサウンドコンセプトというコンセプトカーがあり、なんと車内に62個のスピーカーがセッティングされていたのである(ミッドレンジスピーカー×52、ツイーター×5、ウーハー×5個)。

 また、ライブの世界では、サカナクションの公演で会場に300本以上のスピーカーを配置した6.1chサラウンドライブが話題になったが、しかし、大型ミニバンの車内の後席で、大型モニターとともに映画などサラウンドにこだわった鑑賞をするのならともかく、一般的な音楽を聴くのであれば、2chで十分、スピーカーの数にことさらこだわる必要はない、というのが、専門家の意見でもある。

 スピーカーをむやみに増やしても良い音になるとは限らない!

 そもそもいい音を再生するには、再生機器(CDプレイヤーなど)、アンプ、そしてスピーカーのグレードがモノを言う。純正オーディオ装着車に、ただスピーカーを増やせばいい音になる、という簡単な話ではない。むしろ、セッティングが難しく、サラウンド的に聞こえる可能性はあっても、音の定位などが不自然になったりしかねない。

 じつは、ボクはかつてミュージシャンの仕事をしていて、最近でも友人のレコーディングやCDのレコード化における音質チェックといった現場に、オジャマ虫として立ち会わせてもらう機会もあるのだが、最終的なマスタリングでは、ミキシングブースに置かれた比較的小さなステレオスピーカーで確認していることが通例だ。昔はオーラトーン5Cだったり、ヤマハNS-100Mだったのを覚えている。

 そう、今、マニアの世界で復活しつつあるレコードやCD、配信用音源は、あくまでステレオ環境で聴くことを念頭にミックス、マスタリングされ、それをボクたちが聴いているというわけだ(ラジカセやイヤホンでどう聴こえるかも検証しているらしい)。

 もちろん、前席の2chステレオスピ―カーだけでは、後席の人に音が届きにくいため、リヤスピーカーは必要だが、それでもスピーカーは多いほうがよい、という理由にはならない。アンプがそのままなら、スピーカーが増えたぶん、アンプの能力を超え、かえって音質が低下しかねないのである。

 つまり、ドライバー、助手席乗員の前席サウンド環境をメインと考えるなら、スピーカーを増やすより、フロントスピーカー周りをレベルアップするのが手っ取り早い方法とも言え、音の改善コストも最小限で済むはずだ。

 ちなみに、友人の日本を代表する大物音楽プロデューサーは大のクルマ好きだが、クルマのオーディオにはまったく無関心のようだ。音楽を作っている立場として、車内はリスニング環境として極めて厳しく、ならば普通にラジオが聞ければ十分という考え方らしい。

 とはいえ、大物音楽プロデューサーのように自宅にスタジオ、リスニングルームなどない、家で満足できる音量で音楽を聴くこともできない環境に住むボク(や多くの人)にしてみれば、車内は好きなだけ自由に音楽を聴けるマイリスニングルームでもある。できればよりよい音で聴きたい願望もあるわけで、そうなると、カーオーディオ以前に、音楽を鮮明に聞かせてくれるクルマそのものの静粛性の良否=リスニング環境も大きくかかわってくる。スピーカーの数を増やせば……という前に、考えるべきことはたくさんありそうなのである。

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みんなのコメント

19件
  • 走りながら大音量で音楽を流しているヤツに、ろくなヤツいない。
  • 多すぎても音像がぼやける。これピュアオーディオの世界でもそうね。
    クルマの中だと本当に聴くべき音(外の音。緊急車両、踏み切りなどは特に重要)ちゃんと聞けるかも大事だし。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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