レースでポルシェを抜いたことが人気に火をつけた
日産スカイラインの歴史は、日産と合併前のプリンス自動車時代に遡る。プリンス自動車は、はじまりが航空機メーカーであったことも関係して、最先端の技術にこだわる気風が強かった。しかしそれが経営を行き詰まらせ、日産との合併に至った。
「R32・R33・R34」第二世代のスカイラインGT-Rはどれが一番楽しいのか?
初代スカイラインは1957年に誕生し、フレーム構造が多かった時代にセミモノコック車体構造や、後輪サスペンションのド・デオンアクスルなど、当時の先進的な技術を基にしていた。搭載する1.5リッターガソリンエンジンの最高出力はトヨタや日産を上まわり、最高速度も同クラス最速だった。のちに、スカイラインスポーツという2ドア車も追加された。
2代目のとき、’64年の第2回日本グランプリでの優勝を狙い特別に用意されたのがスカイラインGTであり、優勝はポルシェ904であったが、レース途中で一時的にポルシェを抜いたことが伝説となった。そしてスカイライン2000GTが翌年発売されるのである。
日産と合併後、やはりレースでの優勝を狙って開発されたのが、GT-Rであった。直列6気筒DOHCエンジンを搭載したGT-Rが50勝の記録を打ち立て、名車としての地位を不動のものとした。
姿形を変えても日産の最先端を行くモデルに変わりはない
そののち排ガス規制などへの対応でGT-Rの存在は4代目の197台という限定的な台数で途絶えた。だが、’89年にR32GT-Rとして復活し、グループAのレースで国内27連勝を記録、またスパ24時間レースなど海外でも活躍した。
そのように2000GTやGT-Rを旗頭に、スカイラインはつねに日産車で最速といった印象を人々に与え、また技術的にも先進性を示し、技術の日産を象徴する車種として歴史を積み上げてきた。また、プリンス時代からスカイラインを永年手掛けた櫻井眞一郎さんという技術者への心情も、愛好家たちにとってスカイラインを支持し続ける理由のひとつともなった。
今日、スカイラインの存在はやや影が薄くなっている。フロントグリルに取り付けられるエンブレムが、日産からインフィニティに替わったり、GT-RもR35からスカイラインGT-Rではなく、日産GT-Rとなったりして関係性がなくなった。
それでも、今日のスカイラインは、世界で最初にステアリング・バイ・ワイヤを市販化した車種であり、フーガとともに後輪駆動用のハイブリッドシステムを搭載していたり、ダイムラー社との提携による直列4気筒ガソリンターボエンジンを搭載したり、この秋には、高速道路の本線上で手放し運転を行える運転支援機構を日産車としてはじめて採用する予定でもあって、日産を牽引する先進技術を織り込んだ車種として、技術の日産を象徴するクルマであり続けている。
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