日本列島を度重なる災害が襲っている。千葉県を襲った台風が示すように、復旧までに相当な時間がかかることもある。そんな時、身を守り、プライバシーある避難を可能にしてくれるひとつの方法が、車内避難である。家の屋根が飛ばされたとしても、停電しても、クルマの中なら雨風をしのげ、エアコンが効いた空間にいられ、USBやシガーソケットからスマホを充電できる。ガソリン車なら、車載用の蓄電器を用意しておくのもいい。
ホンダ・フリード+の車中泊仕様
あおり運転対策にも役立つヘルプネットやオペレーターサービスの賢い活用法
最近増えてきた車内のUSB電源
ホンダのコンパクトな蓄電器
ただし、ガソリン車ならガソリンが入っていることが大切だ。燃費向上、車重の軽量化のために、いつもガソリンは半分ぐらいしか入れない・・・それが災害時にデメリットとなりうることは、東日本大震災で被災した際、愛車にほぼガソリンが入ってなくて困った自身の経験からも、明らかだ。そう、できるだけガソリン車は満タン、電動車ならフル充電状態を保つのが、地震・災害大国日本で生き残る方法のひとつと言っていい。
わが家御用達の千葉・九十九里や鴨川の宿泊施設も、早期に電気、水道が復旧し、9月12日あたりから営業を再開したが、周囲のコンビニ、ガソリンスタンドは、休業、または長蛇の列だったそうで、普段から満タン、満充電にしておく大切さをあらためて教えてくれたのである。
そこで、緊急企画として、本当に災害に強いクルマ、マイ避難所として活用しやすいクルマを考えてみたい。まず、車内で避難生活を送る、という前提であれば、新潟地震でも報告された、車内避難でのエコノミークラス症候群(血栓症)を防ぐためにも、車中泊ができるような、フラットで寝られるスペースをアレンジできるクルマがいい(車外での運動、ストレッチも欠かせない)。
その筆頭が、サイズを問わず、ミニバンだ。2/3列目席を格納すれば、大人2人が真っすぐに横になれるベッドスペースが出現する。もちろん、SUVやステーションワゴンでも、車種によって同様のアレンジができるクルマもある。車中泊しやすい車種かどうかは、純正アクセサリーに車中泊アイテムが豊富にそろっているか否かで判別可能だ。
エスティマの2列目キャプテンシート
フリード+ HV車中泊仕様の例
フリード+ HVのベッドアレンジ
ベッドは上段。下段に荷物を収納
実際、わが家のコンパクトステーションワゴンも、いざという時のために、後席を倒すだけでベッドスペースになるような装備としている。具体的には、後席格納状態のフロアを覆う、断熱クッションとラゲッジマットを敷きつめてあり(普段は後席を使用しているが、後席背もたれとともにクッションを立ち上げ、クリップで固定してある)、夫婦2人分の車内用寝袋を、普段から使えるクッション代わりに搭載。もちろん、水や着替え、LEDランタンなどの物資も床下収納に収めてある。
愛車のステーションワゴン
断熱クッションを敷きつめてある
ロゴスの車内用寝袋×2
普段、マットは畳んでおく
が、やはり最強なのは、東日本大震災で、停電して真っ暗闇の東北に駆けつけ、明かりをともしたトヨタ・エスティマHV(当時)のような電動車だろう。エスティマHVは最低地上高こそ乗用車そのものだが、電気式4WDであることも、災害時の走破性を手助けしてくれる可能性がある。しかも、AC100V/1500Wコンセントを備え、ガソリンがある限り、家電品などへの給電が行える。東日本大震災の際には、そのバッテリー電源を、照明に使ったわけだ。
災害に強いエスティマHV
エスティマHVのAC100V/1500Wコンセント
AC100V/1500Wコンセントは2ヶ所に
中でもアウトランダーPHEV(プラグインハイブリッド)は災害時にもっとも頼れる1台であると断言したい。余裕の最低地上高と三菱自慢のS-AWD(四輪駆動システム)による悪路走破性はもちろんだが、AC100V/1500Wコンセントを備え、車内外でコーヒーメーカーやミニ電子レンジ、トースターなどを使うことができ、なおかつ、ここがもっとも重要なのだが、V2H(Vehicle to Home)という機能によって、クルマに蓄えた電気を家で使うことができ、車載バッテリーが満充電の状態で、一般家庭の最大約1日分、それとエンジンの発電を組み合わせれば、ガソリン満タンで、一般家庭の最大約10日分の電力量が供給可能なのでだから頼もしいではないか。
最強のアウトランダーPHEV
AC100V/1500WコンセントとUSB
ラゲッジにもAC100V/1500Wコンセントが
アウトランダーPHEVでコーヒーメーカーを使用
電源車として使用できるアウトランダーPHEV
アウトランダーPHEVは後席を倒すことで最小幅1000mm、フロア長1600mmのベッドスペースが出現し、身長160cm以上の人でも、後席ヘッドレストを逆向きに付けなおすことで枕となり、その分、実質ベッドスペースが延長。身長172cmの筆者なら、まっすぐ寝ることができた。その際、後席背もたれ背面部分のフロアにやや角度が付いているのだが、まったいらに寝るより、逆流性食道炎を防ぐ効果もあるという話もあるから、かえって好都合かもしれない。
アウトランダーPHEVも仮眠可
もし、せっかくミニバンやSUV、ステーションワゴンが愛車ならば、これからもいつ起こるか分からない災害のために、マイ避難所として、仮眠、避難ができるような装備を準備しておくといいだろう。わが家もそうだが、避難所にいっしょに入れない、家族の一員としてのペットと同行避難(環境省が推奨)するにしても、クルマという堅牢かつ、エアコンが効き、スマホも充電可能で、プライバシーが保たれやすい“マイ避難所”の存在は、災害時に大いなる安心と快適をもたらしてくれるはずである。
環境省
なお、現在、三菱自動車から12台のアウトランダーPHVが千葉県内の被災地に出向き、給電のサポートを行っているという。頼もしいではないか!
文/青山尚暉
モータージャーナリスト。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。自動車専門誌の編集を経て、現在、モータージャーナリスト、愛犬との快適安心なカーライフを提案するドッグライフプロデューサーのふたつの肩書を持つ。小学館PETomorrowでも「わんこと行くクルマ旅」を連載中。最新刊に「愛犬と乗るクルマ」がある。
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