■今のクルマは高い! バブル期はどうだった?
新型コロナウィルスの流行やロシアによるウクライナ侵攻、半導体不足に為替の変動など、さまざまな要因から物価が上昇しています。何かしらの商品が値上げされたことが連日ニュースになるほどで、自動車関連の製品もまた例外ではありません。
といっても、クルマの価格が高くなっているのは今に始まったことではなく、ずいぶん前から新型車が登場するたびに「高い!」という声が必ずといっていいほどあがっています。
安さがセールスポイントのひとつだった軽自動車も、今では多くの車種に200万円を超えるグレードが設定されています。
高い高いといわれる新車ですが、いったいどれぐらい高くなっているのでしょうか。名車が数多く発売されたバブル期の1989年と現在の新車価格を比較してみます。
ジツは「GT-R」だけじゃない! 日産が誇るスーパーマシン5選
●日産「GT-R」
日本を代表する日産のスーパースポーツ「GT-R」は、もともと「スカイライン」の1グレードでレースへの参戦を目的に開発されたクルマでしたが、2007年に登場した現行モデルではスカイラインとは異なる独立した車種になりました。
3.8リッターV型6気筒ツインターボエンジンを搭載し、四輪を駆動するスポーツカーの新車価格は、1082万8400円(ピュアエディション)から1788万1600円(トラックエディション エンジニアード by NISMO T-spec)と超高級車レベル。
すでに受注を終了しているため参考までに、2022年モデルの「GT-R NISMO スペシャルエディション」に至っては2464万円と、もはやスーパーカーの値段といっても過言ではありません。
1989年に発売された「スカイラインGT-R(R32型)」は、スカイラインとしては8代目で、GT-Rグレードとしては3代目にあたります。
レースに勝つことを目的に2.6リッターへと排気量を拡大したターボエンジンと4WDを採用したこともあって、スカイラインとしては高額な445万円という車両価格でした。
現行GT-Rの最廉価グレードの税抜き価格にしても984万4000円とR32型の倍以上。スカイラインの名がどうのというレベルではなく、値段的にもまったく違う車種といえるでしょう。
●マツダ「ロードスター」
2シーターオープンのライトウェイトスポーツであるマツダ「ロードスター」は、現行モデルは2015年に登場した4代目となり、スポーツカー不遇の時代ながら順調なセールスを記録しています。
現在の新車価格は268万9500円(Sグレード)から342万2100円(RSグレード)。一方、1989年に「ユーノス」ブランドで発売された初代は170万円のベースグレードのみの設定で、ほかにはオプション装着車が用意されるというラインナップでした。
初代のベースグレードはパワステもパワーウインドウも未装着なため、それらが含まれるパッケージオプションのスペシャルパッケージ装着車(185万円)と、ようやく現行の最廉価グレードS(268万9500円)に近い装備になります。
その差額は83万9500円といいたいところですが、現行の価格は消費税込みの内税価格で、初代の価格は外税。初代と同じように税抜の車両本体価格にすると、現行は244万5000円になります。
現行型には先進安全装備やディスプレイオーディオが備わるため単純比較はできませんが、23年前より60万円ほど高くなっています。
■本格四駆の価格はどう変化した?
●トヨタ「ランドクルーザー」
その高い走破性と耐久性、信頼性から陸の王者と称えられるトヨタ「ランドクルーザー」が2021年にフルモデルチェンジしました。
「300系」と呼ばれる現行型はデビューするやいなや世界中で人気を博したうえに、半導体不足などによる生産の遅れによって、日本では納車5年待ちという異常事態になり、2022年7月から受注をストップしています。
それだけに「すぐに手に入る」中古車の相場が高騰。新車価格が510万円(GX)から800万円(GRスポーツ・ディーゼル)にも関わらず、中古車は1100万円から2000万円と倍以上の値段が付けられています。
一方、1989年のランドクルーザーは、10月のモーターショーで「80系」と呼ばれる3代前のモデルが発表されました。実際の発売は翌1990年1月で、当時の新車価格は207万円(STD)から369万円(VXリミテッド)。207万円という低価格に驚くかもしれませんが、現在は設定がないバン(貨物車)登録なうえに4WDもパートタイム式になります。
どちらにも設定のあるワゴンの「VX」グレード同士で比較すると、80系が306万円で現行型が630万円(税抜き価格は572万7273円)。つまり、倍近い価格に値上がりしているのです。
●スズキ「ジムニー」
軽自動車唯一の本格派オフローダーとして、根強い人気を誇るスズキ「ジムニー」。現行型は2018年に登場した4代目で、4年が経過した今も大量のバックオーダーを抱えるヒットモデルになっています。
新車価格は155万5400円(XG)から190万3000円(XC)と、軽自動車のなかでは高価な部類に入ります。
1989年当時のジムニーは2代目の中期モデルで、軽規格の改正(1990年)前のため排気量はまだ550ccでした。ちなみに初期モデルは2ストエンジン、中期モデルから4ストになり、後期モデルは排気量が660ccに拡大されています。
価格は95万6000円(ターボ・バン)から114万9000円(パノラミックルーフバン・インタークーラーターボ)と、現行型に比べるとだいぶ安く感じられますが、当時の「アルト」が49万8000円からだったことを考えると、やはり軽自動車としてはかなり高めだったといえるでしょう。
●ホンダ「シビック」
ホンダのエントリーカーとして、あるいはスポーティなコンパクトハッチとして名を馳せた「シビック」ですが、11代目となる現行モデルは全長4550mm×全幅1800mmと立派なボディにサイズアップしました。
日本においては弟分の「フィット」や軽自動車の「Nシリーズ」の台頭もあり、シビックがミドルクラスに押し上げられた感がありますが、メインターゲットの北米市場では今もホンダのエントリーカーであり続けています。
現行モデルは、日本仕様は5ドアハッチバックのみで2021年に登場。別格な「タイプR(499万7300円)」を除き、新車は319万円(LX)から394万200円(e:HEV)と車格アップに応じたプライスタグが付けられています。
1989年は4代目シビックがマイナーチェンジを受けた年で、「VTEC」が初めて採用されたことが大いに話題になりました。
当時の価格は76万8000円(3ドア・23U)から196万3000円(セダン・RT-Siイントラック)と現行モデルの半値以下。
とくに100万円を大きく下回る23Uグレードの存在が目を引きますが、パワステやパワーウインドウ、カーステレオどころかリア熱線入りガラス(曇り取り)すら装備されないため、実質的にはそこまで安くはありませんでした。
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