初代モデルからのDNA「タフギア」は継承しつつ「上質さ」を追加
日産自動車は、「エクストレイル」をフルモデルチェンジし、本年7月25日より販売を開始すると発表した。
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この「エクストレイル」は、2000年の11月に「4人が快適で楽しい、200万円の使える四駆」というコンセプトのもと初代を発売。本格SUVならではの力強い走りに加え、撥水加工を施したシートや、直接水洗いできる「ウォッシャブルラゲージボード」を採用するなど、「タフギア(=頑丈な道具)」として、これまで人気を博してきた。
今回の4代目となる新型「エクストレイル」は、初代モデルからのDNAである「タフギア」を継承しつつ、新たに「上質さ」を加え、進化した第2世代「e-POWER」と「VCターボ」、そして電動駆動4輪制御技術「e-4ORCE」を搭載したことで、まったく新しいSUVへと生まれ変わった。
そんな伝統と革新を融合させた「タフギア×上質」の新型「エクストレイル」を、発表会の様子とともに紹介しよう。
日産の電動化戦略をけん引する重要な役割を担うモデル
横浜の日産グローバル本社で行なわれた発表会では、まずは代表執行役最高執行責任者であるアシュワニ グプタ氏が登壇、以下のように語った。
「昨年、日産自動車は、長期ビジョンNissan Ambition 2030を発表しました。その中で私たちは、商品やサービスの提供を通じて、よりクリーンで安全、インクルーシブな社会を実現するというビジョンを掲げています。このビジョンを達成するために、わたしたちは特にホームマーケットのここ日本で主要モデルの電動化を推進し、市場の電動化をリードしています。
2010年の初代『リーフ』の発売以来、日産は電気自動車のパイオニアとして、電動車両の開発と普及をリードしてきました。そして、フラッグシップカー『アリア』や、ホームマーケットである日本を象徴する軽EV『サクラ』を世に送りだし、日産ならではの価値とワクワク感を世界中のお客さまにお届けしています。
電動化の二つ目の柱である『e-POWER』は、100%モーター駆動によるレスポンスのよい走り、静粛性、スムースな加速性能をとおして、心地よいドライビングエクスペリエンスを提供します。『ノート』、『オーラ』、『セレナ』、『キックス』など、多くの人気モデルに搭載された『e-POWER』は、これまで日本で約70万台を販売してきました。
そして、この新型『エクストレイル』には、全車に『e-POWER』を搭載し、さらに『e-4ORCE』を組み合わせ、世界に先駆けて日本のお客さまにお届けします。初代『エクストレイル』が、2000年に初めて日本で発売されてから20年、本格4WDのSUVとしてのDNA“タフギア”を代々のモデルで受け継ぎ、進化を続け、これまで多くのお客さまに愛されてきました。
今後さらに、日産の電動化戦略をけん引する重要なモデルとしての役割も果たしていきます。この新型『エクストレイル』は、『e-POWER』と『e-4ORCE』と『VCターボエンジン』を組み合わせるという、日産にしか出来ない、独自の全く新しいパワートレインを世界で初採用します。
これにより、あらゆる路面においてワクワクするドライビングとスムースな乗り心地、快適性、パワフルな走り、そして卓越したレスポンスと静粛性を実現します。
DNAである“タフギア”と、新たに“上質さ”を融合させ、伝統とイノベーションを併せ持つ本格SUV、新型『エクストレイル』。日常生活からこだわりのアウトドア体験まで、幅広いシーンに応えるモデルです。
私たちは、ホームマーケットであるここ日本で、モビリティの未来を切り開きます。コネクテッドカー、自動運転、そして電動化の技術革新で、これからも日産ならではの価値をお客さまにお届けし、将来のモビリティのパイオニアを目指してまいります」
デザインのテーマは “タフ” と “上質” を併せ持つ二刀流
続いて、プログラム デザイン ダイレクターの入江慎一郎氏が登壇。新型「エクストレイル」のデザインについて以下のように解説した。
「デザインのテーマはずばり、 “タフ” と “上質” さを併せ持つ二刀流のデザインです。まずはその上質さにおいて私たちがこだわった デザインについて触れていきたいと思います。
その1つがシェルブロンドと名付けたこのボディーカラーです。シャンパングラスを覗き込んだ時のような上品な色合いにより、新型『エクストレイル』のプレミアムさを一層高めてくれています。
そして何といっても新型『エクストレイル』のエクステリアデザインの魅力はこのインテリジェントで精悍なフロントマスクです。洗練されたピンストライプのV-モーションや、上下に分割された2段式のヘッドランプによって、モダンで先進的かつ上質なプレミアム感のあるデザインになっています。
その昼間の見栄えが、夜間ではヘッドランプ全体が1つの大きなモーションとして光り輝くシグネチャーへと変貌し、エモーショナルなシーケンシャルターンランプも装備しました。
また、立体的で非常に手の込んだグリルパターンは、伝統工芸の「組み木」からインスパイヤーされ、日本の風景に溶け込む上質なデザインに仕立てました。そして、エレガントな施しのクロームメッキが、下廻りの上質なアクセントとして輝きを放っています。
さらに、リアコンビネーションランプは、スッキリとしたアウターレンズ越しに見える無垢のインナーレンズに、切子のような細かいパターンでグラデーション加工しており、点灯時にはこのように奥行き感のある立体的で宝石のようなキラキラとした光り輝く演出を施しました。
そしてインテリアデザインの上質さは、SUVでありながらも、まるで高級ラウンジにいるようなプレミアム感あふれる上質な空間作りを心がけました。その中でも最大の特徴となるこのブリッジタイプのセンターコンソールには、精巧に施されたWステッチや、全グレード標準設定となる電気信号式のシフトレバーにより電動化の雰囲気を感じて頂けることでしょう。
そしてドライブモードスイッチに代表されるピアノブラック塗装とピンストライプのマットクロームで統一された全てのパーツ類により、ハーモナイズされた心地よい空間でドライビングを楽しんで頂けると思います。また、ナッパレザーのシート表皮には、パーポレーション加工されたプレミアム感あふれるキルティングパターンが施されております。
一方で『エクストレイル』という名の象徴とも言うべきもう1つの重要なファクターである“タフ”さのデザイン表現を象徴するアイテムの1つが19インチのアローイホイールです。切削加工された非常に骨太な金属感のあるスポークが、一回り大きくなったタイヤサイズとマッチし、力強く大地を踏みしめて走行するe-4ORCEの性能と共鳴してくれます。
そして、エクステリアカラーでは、5色の2トーンカラーを設定し、モノトーンカラーと合わせ トータル12色ものカラーラインナップを取り揃えました。中でも日本市場初採用となるこのカーディナルレッドは、初代エクストレイルを彷彿とさせる “タフ”で“情熱” を感じる色として、日本のお客様にお届け致します。やはり『エクストレイル』は赤がよく似合いますね。
また一方で、このソリッドライクなステルスグレーのボディーカラーは、新型『エクストレイル』が持つ SUVとしてのタフな塊感をより強調するとともに、 洗練された大人が所有するスタイリッシュな色合いが持ち味となります。
そして、何よりフロントとリアの彫刻的で立体感あふれる力強いデザインが、新型『エクストレイル』の凛とした精悍さと、タフで屈強な者に守られているような安心感を感じて頂けることでしょう。
さらに、新型『エクストレイル』のもう1つの特徴は、圧倒的なそのスタンスの良さです。それはこのリアビューから見て頂くと分かる通り、ワイドなバンパーと最大限突出したリアフェンダーのボリュームにより、ダイナミックなシルエットと共に張り出した タイヤの踏ん張り感によるタフで力強いカッコ良さが分かって頂けると思います。
サイドビューから見てとれるシルエットでは、まさにタフな印象のSUVそのものです。見る人すべてがその魅力に心を奪われ、堂々とした王者の風格の走りを予感させてくれます。
そしてインテリアデザインにおいてのタフさとは、水平基調で骨太な骨格のインストルメントパネルから感じて頂けることでしょう。そのインストルメントパネルが 外へ向かって広がっていく開放感と、ステッチを施したソフトパッドの合皮のラッピングに包まれる安心感により、ゆったりとしたドライビングを楽しめる空間になっています。
また、水しぶきを浴びてもさっと拭き取れ、汚れを気にせず使用できる防水シートには、日本の伝統的な織物のパターンが施され、風情を感じることもできるのが特徴です。日産自動車が、自信を持ってお届けするこの新型『エクストレイル』は、“タフ”と“上質”さが融合した唯一無二のかっこいいデザインに仕上がりました」
タフさと先進技術を継承しながら“上質さ”を加えて進化
そして、チーフ ビークル エンジニアの中村将一氏が登壇。新型「エクストレイル」の走りや先進技術について次のように説明した。
「『エクストレイル』は、本格SUVならではの力強い走りや使い勝手のいい装備により、“タフギア”として長年にわたり多くのお客さまに愛され、そして先進技術の搭載により進化してきました。
近年、このサイズのSUVにも、上質さを希望されるお客さまが多くなりました。より多くのお客さまにお乗りいただけるようにとの想いで、これまでのDNAを継承しつつ、上質さの実現にもフォーカスを当てて開発に取り組んでまいりました。
新型『エクストレイル』は、『ノート』や『セレナ』ですでに高い評価をいただいている『e-POWER』に可変圧縮比ターボエンジン『VCターボ』を組合せることで、力強い加速に加えて、圧倒的な静かさを実現しました。
そして電動駆動4輪制御技術『e-4ORCE』の採用により、オフロードや雪道の走破性に加えて、意のままのコーナリングや快適な乗り心地を実現しました。速いのに静かな『VCターボ』の『e-POWER』、どこでもよく走るのに快適な『e-4ORCE』ということです。
『ノート』に搭載して以来、様々なモデルでご好評いただいている『e-POWER』は、エンジンで発電した電気を使って100%モーターで駆動するため、EV同様素早く滑らかな加速を体感いただけます。
新型『エクストレイル』では、モーターをパワーアップさせ、四輪駆動ではリアにモーターを追加しています。この大きなトルク・駆動力をサポートするためのエンジンには、1.5Lの『VCターボ』を組み合わせています。
加速をよくすると静かさが犠牲になりがちな印象があるかもしれませんが、加速時の会話のしやすさは向上しています。これは、圧縮比を変えられる『VCターボ』が、常用域では向上したトルクを活かしてエンジンの回転数を抑えながら高圧縮比で効率よく発電し、フル加速時には圧縮比を下げ、大排気量車並みの大トルクで、低速時には回転を抑えながらも、高速になるにつれて回転数を上げることで、エンジンを感じさせない静かさを実現しました。
加えて、一新されたプラットフォームにより車体やシャシーの剛性が向上し、車内に入って来る振動レベルを落とすことができています。また、音を遮閉・吸収する材料も一新し、穴周りといった細かいところまで気を配ることで、室内に侵入してくる音を抑えることに成功しています。
今回初搭載した『e-4ORCE』の強みは加速だけではありません。リアに追加したモーターとブレーキの統合制御により、路面と車両の走行状況によってモーターの駆動力やブレーキをきめ細かくコントロール。
各タイヤの性能を引き出し、雪道やオフロードでの走破性、ワインディングやコーナリングでの意のままの走り、市街地走行での減速時の前後の揺れの低減など、あらゆるシーンでの快適さを実現しました。
コーナリングのすこし詳しい動きを説明すると、普段は前輪で駆動しますが、コーナリングに入る状態を検知すると、前にあった駆動力を後ろに移します。
主に曲がる力を発生するフロントのタイヤの駆動力を後ろに持ってくることによって、より安定的に曲がる力を確保します。
加えてブレーキとも連動し、内側のタイヤにブレーキをかけながら外側を駆動することで、より曲がりやすくする力を発生させることができます。実際に運転してみると、まるで自身の運転が上手くなったかのように感じられるようなフィーリングが得られます。
また、減速時に路面状態を瞬時に検知してリア側でも回生ブレーキを作動させることによって、勢いづいて前方に車体が傾く度合いを抑えることができ、乗り心地を向上しています。
これは自転車を運転している時に前後両方のブレーキを掛けてバランスよく止まることで、前方へ倒れかかることが減るという体験と似たような原理です。
室内空間は、センターディスプレイとメータに12.3インチとクラス最大級のモニターを採用。加えてヘッドアップディスプレイも10.8インチの大きなサイズで表示し、運転中でも必要な情報がすぐにわかる、先進的でプレミアムな空間になっています。
また、「TailorFit(テーラーフィット)」という日産が独自で開発した新素材のシート素材は、表面の模様の間隔を人の指紋のサイズに近づけ、表面に追加した粒子が安定した摩擦力を発生させることで、滑らかさとしっとり感をソフトレザーに近いレベルで実現し、上質なインテリアを演出しています。
上質な走り、上質な作りに加え、これまでも強みとしていた先進技術に関しても進化を遂げています。高速道路の単一車線での運転支援技術「プロパイロット」には、ナビゲーションと連動し、地図データをもとに、制限速度に応じて設定速度の切り替えや、カーブに応じた減速支援など、ドライバーの操作頻度を軽減する「ナビリンク機能」を追加したほか、スイッチ操作だけで、駐車時に必要なすべての操作をシステムが自動で制御する『プロパイロット パーキング』を採用しています」
新型「エクストレイル」は“技術の日産”の新しいアイコン
最後に、執行役副社長の星野朝子氏が登壇。以下のように締めくくった。
「皆さま、新型「エクストレイル」e-POWER、如何でしたでしょうか?私も今日、改めてプレゼンテーションを聞いて、実車を見て、試乗したときの感覚を思い出し、ワクワクが止まりません。
このクルマのコンセプトは、『悪路さえ、悠々と。』。まさに、その言葉通り、がたがた道も、雨の降りしきる山道も、雪が吹雪く高速道路も、悠々と走り抜けるSUVです。
今、日本市場でのSUVは、全体の約2割のシェアを占めており、その人気はますます高まっています。この『e-POWER』の『エクストレイル』が、オフロードでも、オンロードでも、他を圧倒するレベルの走りと安心とワクワクで、さらにSUVの魅力を多くの皆様に届けることをお約束します。
日産の最新技術の全てを身にまとい、その一つ一つの特性を最大限に生かしながら、“これぞエクストレイル”という仕上がりになりました。4代目の新型『エクストレイル』は、日産の電動化戦略を加速させる、日本における“技術の日産”の新しいアイコンです。是非、多くの皆さまに、ご体感頂ければ幸いです」
さて、先代からおよそ9年ぶりのモデルチェンジとなる4代目の新型「エクストレイル」。思い起こせば、初代が登場した2000年は、日産がルノーと資本提携を結び“コストカッター”と呼ばれたカルロス・ゴーンが再建に乗り出した時期。
さらに、それ以前のトヨタ「ハリアー」が登場した1997年あたりから、2WDでオンロードを重視した、いわゆる“都会派SUV”に注目が集まっていた。
そんな逆境ともいえる状況の中、「タフギア」というコンセプトが多くのユーザーに支持され、現在まで愛され続けてきた「エクストレイル」。
そして電動化が進む現在、「e-POWER」と「e-4ORCE」を搭載し、 “タフさ”に“上質さ”を纏い新たに生まれ変わった新型「エクストレイル」は、今後の日産を牽引するモデルとなるか注目したい。
【メーカー希望小売価格(税込)】
※2WDの発売は今秋を予定
■関連情報:https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/x-trail.html
取材・文/土屋嘉久(ADVOX株式会社 代表)
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みんなのコメント
ミシュランでいいやん
走ってるのみたけど、なんかダサい。
でも内装はハリアーより質感高く結構良いと思う。
昆虫の幼虫みたいな気持ち悪いデザインになった新型レクサスNXよりは増しだけど