今回が初開催となる「SWAP&MEET in 妙高」でランドローバー「シリーズ1」を発見
2024年4月20日(土)~21日(日)にかけて、スキーやキャンプなどで知られる老舗リゾート地でもある新潟県妙高市の赤倉スキー場エリアで初開催された「SWAP&MEET in 妙高」。この滞在型の展示イベントは、その名称からも分かるように「エントラントは車両の売り買い・交換自由」、「レストア途中や要修理の不動車も参加OK」というのが大きな特徴です。新たにスタートしたイベントで見かけた1台が、ランドローバー「シリーズ1」です。
クラシック「ランドローバー」がオシャレ! 上級者がたどり着いたピックアップの「シリーズ3」のあるカーライフとは
第二次世界大戦後にランドローバーが誕生
ランドローバーといえば、「レンジローバー」、「ディフェンダー」、「ディスカバリー」といった多彩なラインアップを揃えるイギリスの高級4輪駆動車専業メーカーとしてお馴染みだが、もともとは上質な乗用車を得意とする英国のローバーが、1948年のアムステルダム・モーターショーで発表した1台のオフロード汎用4WDがその原点。ローバーの作ったオフローダーということから、命名された車名がすなわち「ランドローバー」だったわけだ。
第二次世界大戦中に世界中の戦場で活躍した米軍の「ジープ」は、アメリカ軍のみならず、連合軍各国でも広く使われ、その高い汎用性に注目した各国の自動車メーカーは、戦争が終わると次々にジープに範を取った汎用オフロード4WDの開発を開始。イギリスのランドローバーもそのような経緯で誕生したモデルだ。
通称「寄り目」とも呼ばれる、初期モデルならではのユーモラスな顔つきが魅力的
「これは1953年式のランドローバー シリーズ1です。もともとは4ナンバーの商用車登録でしたが、リア部分をトランクとして2シーターの乗用車登録にしています。エンジンは2Lなので5ナンバーですね」
と語ってくれたのは、オーナーの小林正樹さん。車体前後のウインチやゴツい牽引フックなどの装備が、本来のヘビーデューティな用途を思わせる。
悪路の夜道でフェンダーをぶつけてしまってもヘッドライトが割れないようにと、グリル中央に寄せた独特の顔つきから「寄り目」とも呼ばれる、初期モデルならではのユーモラスな顔つきが魅力的。後年「寄り目だと夜間に対向車が車幅を見誤る」という理由から、ヘッドライトは左右のフェンダーに移設されるのだが、小林さんはこのほかにももう1台、1956年式の寄り目モデルを部品取り用に所有している。
>>>2023年にAMWで紹介されたクルマを1冊にまとめた「AMW car life snap 2023-2024」はこちら(外部サイト)
山中で放置されていた個体を前オーナーがレスキュー
「この個体は、前のオーナーが1990年頃に中部地方の山中で放置されていたものをレスキューし、それを2000年頃に私が譲り受けました。車検を切らしていた時期もありましたが、かれこれ4半世紀ほどの付き合いになりますね」
第二次世界大戦直後のイギリスは鉄材の供給が不足していたこともあり、アルミパネルとリベットでボディが造られたランドローバー。その構造は車体が軽くパネルが錆びないという利点の反面、鉄のフレームとアルミのパネルという異なる金属同士の結合部に「電蝕」と呼ばれる腐食現象が起きる心配がある。
そこで小林さんは、船舶などに使われている小さな防蝕亜鉛板をエンジンルーム内に取り付け、電蝕を予防するという細やかな配慮を施している。
ボディはアルミの地肌をそのまま活かしたスタイルに
「もともとのボディは緑色だったのですが、アルミボディがわかるように現在はアルミの地肌をそのまま活かしています」
という小林さん。ご存知の通りアルミのパネルは放っておく徐々に酸化して白っぽくなってしまうため、このように綺麗なアルミの輝きを保つにはマメな手入れが欠かせないはずだ。
その綺麗なボディには、なにやら文字が書かれた小さなステッカーが。見れば「NO ABS.」、「NO Airbags.」、「NO Electronic Injection.」、「NO Power Steerings.」、「NO Air Conditioner.」……とあり、最後に「NO Problems!」と締めくくられている。そしてボディ後部には「LAND ROVER SERIES ONE CLUB」の文字が白く染め抜かれた旗が掲げられている。
「これは英国のランドローバー シリーズワン・クラブの旗です。私、日本人で唯一のそこのクラブ員なんですよ」
と語る小林さんの寄り目のランドローバーにかける想いとその洒落っ気は、本国の愛好家たちと勝るとも劣らないのだった。
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みんなのコメント
美味しいミニ部門だけBMWに持って行かれて、
今やインドのタタ自動車の一車種。