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【スペシャリティカーになれる?】マツダMX-30試乗 ピリッとするには、もうひと磨きの余地あり マイルドハイブリッドの評価は?

掲載 更新 79
【スペシャリティカーになれる?】マツダMX-30試乗 ピリッとするには、もうひと磨きの余地あり マイルドハイブリッドの評価は?

まずはデザイン勝ち 鋭いジャブ

text:Kazuhiro Nanyo(南陽一浩)

【画像】マツダMX-30実車 細部まで撮影【100周年特別記念車も】 全150枚

photo:Masanobu Ikenohira(池之平昌信)

デザイン・スタディの段階から期待値の高かったマツダMX-30が、公道でヴェールを脱いだ。10月某日、川崎を拠点にAWD版とFFの2WD版、それぞれを試乗する機会を得たのだ。

いずれも「e-SKYACTIV G」というパワートレインで、2LのスカイアクティブGに「Mハイブリッド」が組み合わされている。マツダ独自かつマイルドハイブリッドの「M」だと思えば覚えやすい。

ISG(一体型スターター・ジェネレーター・モーター)と小型リチウムイオン・バッテリーにコンバーター、回生機能付きバイワイヤブレーキというシステム構成自体は、欧州の48Vマイルドハイブリッドに似るが、マツダ方式は24Vとなる。

まず内外装やデザインといった目につくところだが、コンセプトカー同様に観音開きとなる前後ドアを左右両側に採用してきた。RX-8という先達がある以上、マツダが「フリースタイルドア」と呼ぶ観音開きはもはや自家薬籠中のものだが、SUVクロスオーバーというジャンルに用いた点が新しいし、冴えていると思う。

コンパクトSUVやクロスオーバーは昨今クラスを問わず群雄割拠の飽和状態である以上、観音開きドアの意外性と、シンプルな面構成でも「らしさ」を見せた「魂動」デザインの新境地は、スペシャリティカーとしてアタマひとつ抜け出た存在と見える。

そもそも後席から乗ってみたくなるクルマも珍しい。

インテリアの質感は上々なのだが…

通常の後席のように、踏み込んで下がるという「スイッチバック」をしなくて済む分、観音開きの乗降性は悪くない。

前席ドアを開けないと後席ドアが開かず、腰を下ろすと自分で前席ドアを閉められない状況は生まれるが、視線や会話といったコミュニケーションを促す仕組みと解釈できなくもない。何より、後席にもソフトなエルボーパッドが張られている点は評価できる。

前席に視線を移しても、静的質感の高さは申し分ない。AWDの方はベーシックパッケージだったが、リサイクルファブリックというシート座面と背面のヘリンボーンは日本車離れしたシックさだし、ペットボトルから再生されたというウールのような空気感素材がほっこりとドア上部を覆う。

センターコンソール手元にはマツダの前身、東洋コルク工業からのヘリテージ素材だというコルクが張られ、視覚的に素材感リッチな内装の一般好感度は高そうだ。

機能的で水平基調のダッシュボードも好ましいが、少し落ち着かないことに気づく。その原因を色々考えたが、ダッシュボードの分割線上にエアコン吹出し口を配する処理は、991世代のポルシェ似。

フローティングコンソールはひと世代前のボルボでお馴染みの手法で、アッパーディスプレイとロアタッチパネルの感じはアウディA6やランドローバーっぽくもある。

100周年記念モデルの内装は?

各要素の完成度は高いのだがデジャヴュ感が拭えないところに、タッチパネルが7インチと小さく、メーターパネルの中央だけがデジタル表示という点も気になる。

加えてシート色に関わらず、アームレストの色がオプション以外では、白が汎用デフォルトである点は難しい。

とくに100周年記念モデルの赤と黒コンビのシートに、アームレストだけ白というのはいただけなかった。

色数が絞られずハイライト気味に視線を集めるので、「逆日の丸弁当」効果なのだ。

あとエッジの処理が、使用面積こそ広くないがクロームが過多とも感じる。もっと減らしてステッチやソフト素材のエッジ処理だったなら、クルマの性格に近しい落ち着き感が出て、触感も向上したのではないか。

走りは至極スムーズ だが未来感に欠ける

FFでもAWDでも、スカイアクティブGの美味しいところを素早く引き出せるよう、ISGがドライバーの操作から予測制御してくれるのだが、確かにどんな局面でもマナーよくスムーズではある。

欧州車の48Vマイルドハイブリッドのように駆動軸にダイレクトに電気が効くというより、あくまでISGはエンジンの引き立て役に徹するという考え方なので、荒々しく不快な変速ショックや回生ブレーキのつんのめり感こそないが、いかんせん6速ATが役不足だ。

首都高に上がるランプで緩やかな長い登りの途中、キックダウンとエンジンの唸りゆえ、当初はCVTかと思った。

近頃のダウンサイジング・ターボや8~9速ATの細かいチャキチャキ制御に比べ、手駒が少なそうと感じてしまうのだ。

試乗が首都高と市街地に限られたため、NAエンジンの伸びるような回転フィールを楽しみづらかった、そんな条件でもあったが。

気になるのは、こんな点 1月にはEV登場へ

乗り心地に関しては、4WDの方はまだ1500km程度と慣らし途中のようで、路面ギャップで頭が前後に揺すられ、全体的に生硬だった。さらに来年に登場するEV版では詰まるはずのバッテリースペースが空いているせいか、重心も高く感じた。

シートから骨盤や背中への伝達量は確かに多い。だがコーナーに差しかかると肋骨辺りのサポートは上々ながら、座面の上で腰が転がりそうで、中殿筋と対角線の足が疲れる感覚だった。

対して1900km超だった2WDの方は、ずっと雑味が少なく落ち着いていた。

Gベクタリング・コントロール・プラスの効果もあってか、ステアリングの切り始めや戻し中のフィールも自然だ。ただ姿勢変化の移行フェイズにある時のフィールは自然なのだが、いざ旋回に入るとノーズの重さは意識させられる。

2Lではなく1.5Lでは? という無いものねだりも頭をもたげてくる。

1.5Lとの組み合わせで燃費を含むアウトプット要件が満たせないほど、24Vマイルドハイブリッドは無力なのか? という疑問も最終的に残る。

いずれ今回試乗してみてMX-30は、2021年初頭に登場予定というEV版がどんな風なのか、尚更、気になる存在になった、それは確かだ。

このデザインが好きで、飛ばさず、対雪道の備えが必要で、15km/Lの燃費で十分という人であれば、ひとまずAWDをお勧めする。

マツダMX-30 試乗車スペック

マツダMX-30 100周年特別記念車(2WD)

価格:315万7000円
全長:4395mm
全幅:1795mm
全高:1550mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:15.6km/L(WLTCモード)
CO2排出量:-
車両重量:1460kg
ドライブトレイン:直列4気筒1997cc+モーター
使用燃料:ガソリン
最高出力(エンジン):156ps/6000rpm
最大トルク(エンジン):20.3kg-m/4000rpm
最高出力(モーター):6.9ps/1800rpm
最大トルク(モーター):5.0kg-m/100rpm
ギアボックス:6速オートマティック
乗車定員:5名

マツダMX-30(標準車AWD)

価格:308万4380円
燃費:15.1km/L(WLTCモード)
車両重量:1520kg
メーカーセットOP:
ベーシックパッケージ(7万7000円)
セーフティパッケージ(12万1000円)
ユーティリティパッケージ(8万8000円)
360°セーフティパッケージ(8万6880円)

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