積算1万9328km 都市部での取り扱いの良さ
text:Jim Holder(ジム・ホルダー)
translation:Kenji Nakajima(中嶋健治)
魅力的なジムニー・シエラに惹かれる大人。10才くらいの子供に、トンカ製のリアルなクルマのおもちゃを見せるのと同じような効果があるのだろう。もしジムニーを超える誘惑が欲しいなら、黄緑色のランボルギーニくらいの力は必要かもしれない。
ところが、締りに欠ける姿勢制御と限定的な走行性能で、1時間も乗ったら少し具合が悪くなってしまった。まるで10才の子供のように。
積算1万9342km リバティ・ウォーク
text:Rachel Burgess(レイチェル・バージェス)
市場のチューニングメーカーや社外部品を手掛けるメーカーは、通常高級車に手間暇を投じることが多い。ランボルギーニやレンジローバー、BMWなど。
でも、まれに熱烈なファン層を生むクルマが登場すると、放ってはおかない。ご想像どおり、ジムニーはそんなクルマだ。
先日、ロンドンの中心部、メイフェアを歩いていると、派手に改造されたジムニーを目にした。ランボルギーニやフェラーリのボディキットで有名な、リバティ・ウォーク社の息がかかっていた。
筆者は、モディファイを受けたクルマが好きというわけではない。むしろ好きではない。ところが、このリバティ・ウォークのジムニー・シエラはとても格好良く見えた。黒いクルマだ。
スーパーカーと同等の注目度
ジムニーのモディファイを手掛けるメーカーは、英国にも数社が展開している。ジムニー・スタイルや、このリバティ・ウォークなど。そこで、英国市場での人気を確かめたいと思い、取材してみた。
新しく生まれ変わったジムニーは、以前からメルセデス・ベンツGクラスのミニチュア版だ、といわれることがあった。ボクシーなデザインを、小さなプロポーションで構成している。先出の黒いジムニー・シエラを、リバティ・ウォークはG-ミニと呼ぶほど。
パフォーマンス・カンパニー社でディレクターを努めるジェームス・ピアマンは、リバティ・ウォークの英国への輸入を手掛ける第一人者。「このキットは、小さなゲレンデワーゲンに見えるようにデザインされています」
「オートスポーツ国際ショーのブースで、ランボルギーニ・アヴェンタドールと一緒に、G-ミニも展示しました。実際、スーパーカーと同じくらい、多くの注目を集めました」 と話すピアマン。英国では、同社で最も成功したボディキットだという。
このボディキットには3種類がある。フロントバンパーとグリル、ワイドボディへ変えるセットで、英国では2284ポンド(32万円)。フロント・ルーフスポイラーにリアウイング、ボンネットも付く最上級のプレミアム・キットは、4456ポンド(63万円)。
エアサスペンションやエグゾーストなどもラインナップしている。英国では、スズキのディーラーでも好評らしい。「主要ディーラーの5箇所で、ジムニー・シエラのリバティ・ウォーク版をデモ車両として展示しています」
1周間ぶりの運転に興奮
素のジムニー・シエラも人気だ。読者だけでなく、街なかでも反応が良い。先日も読者のマーウィックから、「都市の戦士」だと、熱烈なメールをもらった。
「全方位に優れた視界は、どんなコンパクトカーより優れています。スピードバンプや路面の剥がれも問題なし。街なかの駐車スペースも狭いと感じたことはありません」 と意見をくれた。
都合が良いことに、マーウィックの娘は新しいフィアット・パンダに乗っているという。ジムニー・シエラの最も近いライバルといえる。彼はパンダの方が、長距離通勤には向いているとも認める。高速道路の走行を一度味わえば、不思議ではない。
マーウィックは、典型的なジムニー・オナーらしいライフスタイルの持ち主。ジムニー・シエラはセカンドカーで、年間走行距離は8000kmくらいだそうだ。
長期テストのジムニー・シエラについて。仕事で1週間ぶりに運転したジムニーに、思わず興奮してしまった。高速道路を走る以外なら、大好きだ。都市部や郊外の道を走るたびに、好きだという気持ちに火がつく。
普段の長距離移動では、ほかの長期テスト車両を借りることが多い。ジムニーは、もともと典型的な実用車になろうとは考えていないのだから、それで良い。
テストデータ
テスト車について
モデル名:スズキ・ジムニー(シエラ)1.5 SZ5 オールグリップ(英国仕様)
新車価格:1万8499ポンド(259万円)
テスト車の価格:1万9149ポンド(268万円)
テストの記録
燃費:13.3km/L
故障:なし
出費:なし
気に入っているトコロ
好意的な反応:外に出ると、必ずといっていいほど、少なくない周囲の反応がある。
気に入らないトコロ
高速道路:3回連続で同じ内容。ほかにないし、本当だから仕方ない。
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