積算4829km 便利な充電ポートの位置
これまで筆者は2台の純EVを長期テストで検証してきたが、充電ポートはフロントノーズかフロントフェンダーに付いていた。そのため、充電スペースにバックで駐車することができなかった。
【画像】アウディQ4 eトロン クーペ風のスポーツバックと兄弟モデルのVW ID.4も 全78枚
しかしアウディQ4 eトロンの場合は、ガソリンエンジン車のフィラーキャップと同じ場所に充電ポートがあり、バックで普通に駐車できる。細かなことだが、実際の利便性で大きな違いを生んでいる。
積算6027km Bでのワンペダルドライブ
Q4 eトロンのシフトセレクターをBに倒すと、回生ブレーキが強く掛かり、ブレーキペダルをほとんど踏まずに運転できる。この運転のしやすさに、筆者は慣れてしまっていた。
ところが久しぶりに、慌てて思いきりブレーキペダルを踏むことになったのが、高速道路の合流地点。240km/hくらいは出ていたのではないか、というロールス・ロイス・ゴーストが走ってきたためだ。慣れ過ぎも良くないようだ。
積算6294km 片道320kmの家族旅行
先日、英国東端のノーフォーク州へ片道320kmの旅行をすることになった、筆者一家。最初に選んだのはプライベートのフォード・フィエスタだった。普段なら長期テストのクルマで向かうところだが、純EVでの長旅が少し不安だったのだ。
しかし、これまで1か月以上もアウディQ4 eトロンと過ごしている。航続距離480kmの純EVに対して正しい判断ではないと、しばらくしてから考えを改めた。長期テストとして、利便性を確かめている身でもある。
途中の不安は渋滞時のトイレくらい
確かに英国は、まだ公共の充電ネットワークが整ったとはいえない。それでも、移動距離に対して充分そうな航続距離をQ4 eトロンは持っている。
これまでの経験で、純EVの航続距離は冬場に40%近く短くなる場合もあると知っていた。だが天気予報の気温は低くなく、480kmに近い距離を走れると信じることができた。そこで、旅のお供をQ4 eトロンに変更することにした。
渋滞へ巻き込まれないように予定を組んで出発したが、途中のM4号線とA1号線が通行止め。別のルートを迂回することになり、3時間半の予定が5時間も掛かってしまった。土曜日の午前中に、獣医へ犬を連れて行く約束も入れていたのだが。
それでも、Q4 eトロンは滑らかにパワーを路面に伝えながら快走。渋滞区間では、回生ブレーキを一番強くした、ワンペダルドライブの真価を体験できた。ブレーキペダルをほぼ踏まずに済む。
高速道路の走行距離が短かったため平均速度も低く、航続距離は当初の計算より延びた。目的地に到着した時点で、バッテリーの残量は25%。まだ約120km走れる計算になる。途中の不安といえば、渋滞中のトイレくらいだったといって良い。
筆者の自宅にはウオールボックスと呼ばれる純EV用の充電器を備えているが、旅先で借りていたロッジにそんな装備はなし。部屋のコンセントまでケーブルを伸ばし、1晩の充電で蓄えられた充電量は75%だった。
週末旅行に充分使えるQ4 eトロン
3泊の旅の予定だったが、英国東部の美しい景色と砂浜が広がるノーフォーク州だから、滞在した街からさほど離れずに充分楽しめる。毎晩充電を繰り返し、帰宅日のバッテリーの充電量は99%になっていた。
帰路は比較的平穏。交通量は少なく、全行程の平均時速は80km/h。到着後のバッテリー残量は10%が表示されていた。それくらいの数字になるだろうと予想していたから、特に不安もなかった。
週末旅行に純EVが使えると確証できると、Q4 eトロンの実用性は一気に高くなる。もちろん事前に計画を立てて、走行できる範囲を理解する必要はあるけれど。筆者は、移動途中での充電より、目的地や宿でまとめて充電することをオススメする。
純EVは、まだすべての目的や旅行に対応できるわけではない。しかし、アウディQ4 eトロンは純EVへの見方を改めるクルマだと、強く実感した旅だった。
テストデータ
気に入っているトコロ
航続距離:多くの自動車メーカーで、航続距離を480kmほどに設定している理由がうなずける。これだけ走れれば、心理的な不安を小さくしてくれる。
気に入らないトコロ
サービスエリア:Q4とはまったく関係ないのだが、M25号線のサービスエリアは少なすぎる。渋滞で膀胱が満タン状態になって、再確認させられた。
テスト車について
モデル名:アウディQ4 eトロン 40 スポーツ(英国仕様)
新車価格:4万4990ポンド(683万円)
テスト車の価格:5万2685ポンド(800万円)
テストの記録
航続距離:445km
故障:なし
出費:なし
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