愛車で走行中などに路上で見かける「路線バス」。ひとくくりに「バス」というカテゴリーに入れがちだが、乗用車にさまざまなメーカーやサイズがあるように、バスにもさまざまなメーカーやサイズが存在する。その一端をご紹介しよう。
※本稿は2024年2月のものです
編集制作/末永高章、中山修一、写真/バスマガジン編集部
初出:『ベストカー』2024年3月26日号
全長18mに最大乗車人数80人!! 連節バス「ベイサイドブルー」が巨大すぎる! 意外と知らない路線バスの世界
■まずはバスの基礎知識
日常の足として多くの人が利用する一般路線バスタイプ
日本にはバスのメーカーが3社あることはご存知だろうか。日野、いすゞ、三菱ふそうがそれで、トラックを造っているUDトラックスもかつてはバス製造メーカーであったが、現在では撤退した。
そしてそれぞれのメーカー間においてグループ分け(?)されており、日野といすゞはジェイバスというボディメーカーを合弁会社として置き、相互間で車体のOEM化を図っている。三菱ふそうは自車グループ内の三菱ふそうバス製造でボディ架装を行なっている。
つまりバスのメーカーというのは“シャシーメーカー”と呼ばれている各社で、動力部分を作っているのが前述の大型車メーカー3社で、ボディをグループ企業が製造しているのだ。
ひとことでバスといっても、大・中・小のサイズにザックリ分けられる。いずれも乗用車スケールで考えれば大きく感じるが、並べて見ると“なるほど~”といったサイズ感だ。大型で全長10~12m×全幅2.5mというサイズとなる。
■地域住民の交通インフラ
一般路線車には好燃費のハイブリッド車が多い。こちらは日野ブルーリボンシティで初期のハイブリッド車
街中の一般道路でバス停に止まって、乗客を乗降させて輸送する一般路線バスが最も身近でお手軽な存在のバスだ。一般乗合バスとも呼ばれる。200円程度~距離別の運賃を支払って乗る、生活の足として機能している生活インフラだ。
使用されるバス車両は全長10m~11mの大型や全長9mの中型、地域サービスの一貫にも数えられる100円バスなどのコミュニティバスでは、全長7mの小型も頻繁に運用されている。
また、鉄道などがない地域では、第一の交通インフラとして病院、企業、商業施設、行政施設などのランドマークと集落を結ぶ交通として、その土地に不可欠な存在となっている。
ほとんどの一般路線バス車両には2つの扉が配備されている。現行車種では左側前方と中央の2つで、「前中扉車」と呼ばれる。
定額運賃輸送の場合が多い都市・街部では前扉から乗車し、乗車時に運賃を支払う。逆に地方などで長距離ルートを走るバスの場合は中扉で乗車時に乗車証明(整理券の受け取りやICカードタッチなど)を行い、降車時に運賃を支払うという形だ。
■一般路線バスの車両
こういった一般路線バス運行に使用される車両は、いすゞエルガ(大型)、いすゞエルガミオ(中型)、日野ブルーリボン(大型)、日野レインボー(中型)、日野ボンチョ(小型)、三菱ふそうエアロスター(大型)などが挙げられる。
これらはいずれも現行車で、一般路線バスは20年以上運行使用されることから、先代車、先々代車が普通に走っているシーンも珍しくない。
大きさの種類に違いがある理由はその運行状況によって差異があるためで、それはバス事業者が判断して決めている。
たとえば大型は大きな住宅エリアと駅を結ぶため一度に多くの人を運ぶことができるが、その能力が必要ない場合はやや小振りの中型を運用することで燃費効率がよくなる、といった具合いだ。
乗客定員は座席の数やレイアウトで差はあるが大型で約80名、中型で約60名といったところだ。
横浜市交通局の連節バス「ベイサイドブルー」は、日常の交通機関としてばかりではなく、観光ニーズにも対応する
そんなラインナップの中で現在最大の乗車人数を誇っているのが、全国各地で見かけるようになってきた連節バスだ。
こちらは全長18m×全幅2.5mという巨大な、というより長いバスで、中間よりやや後方にヒンジを持ち、折れ曲がるボディ構造によってコーナリング、右左折特性を確保したものだ。
一方、小型のものの代表が100円バスなど、自治体が街の住民サービスなどで運行しているコミュニティバスだ。これはお年寄りの近距離移動などに活躍するバスで、車両は小型のノンステップバス、日野ポンチョが圧倒的多数といえる。近年は電気バスの導入も目立っている。
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