自動車税の仕組みが変わった以外にも要因がある
2018年3月時点での国内における軽自動車の市場占有率は、40%に近い39.2%に達する(全国軽自動車協会連合会)。また、登録車において、同年4~9月の新車販売動向では、日産ノートを筆頭に、トヨタ・アクア、トヨタ・ヴィッツ、トヨタ・カローラ、トヨタ・ルーミー、ホンダ・フィット、ホンダ・フリードといった5ナンバー車が、上位10位に入っている(日本自動車販売協会連合会)。
同時に、3ナンバー枠を含むトヨタ・プリウスや日産セレナも10位以内という販売台数だ(同自販連)。さらに、SUVのトヨタC-HRやホンダ・ヴェゼル、日産エクストレイル、またスバルXVを含むスバル・インプレッサ、ミニバンのトヨタ・アルファード、そしてトヨタ・クラウンといったように、3ナンバー車が続々と販売台数20位以内に顔を連ねているのである。
そのように3ナンバー車が人気の一角を占めているのは、いくつかの理由があるだろう。
ひとつは自動車税制にあり、毎年5月に徴収される地方税の自動車税が、1989年までは3ナンバー車を贅沢品とみなし、5ナンバー車との税額の差は大きかったが、現在では全体的に税額がやや下げられたうえ、エンジン排気量に従って課税される方式となった。このため、3ナンバー車であってもハイブリッド車やダウンサイジングターボ車など、エンジン排気量が大きくない場合は車体寸法を問わなくなった。
もうひとつは、衝突安全性能の基準が厳しくなり、車体寸法を大きくして衝撃吸収構造を確保する必要が出たことも影響している。実際、登録車と同じ安全基準を求められた軽自動車は、1998年に車体寸法の規格が大型化されている。それでも登録車の5ナンバー規格以下の大きさではあるが、今日の軽自動車は1960年代の初代トヨタ・カローラや日産サニーに匹敵する車体寸法にまで大柄になっている。
3つめは、低成長時代といわれながら、IT企業などを中心に所得の増えている人が多く、また国産車と輸入車の新車販売価格の差が縮まったことにより、輸入車を購入する人が都市部で増え、その輸入車は国際競争の中で新車が出るたびに車体が大型化され、ひとクラス上の車格を得るようになった。
以上のように、ことさら大きなクルマを買おうと思っていなくても、安全性の追求や国際競争力の向上の中で、クルマの車体が知らぬ間に大きくなっている現状があり、5ナンバー車に近い感覚でクルマ選びをしているつもりでも、実際には3ナンバー車という実情があるだろう。それに対し、税負担もかつての5ナンバーと3ナンバーほどの差や重荷を感じにくくなっているのである。
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