ここ最近、角張ったクルマが多いのは気のせい? いや、そんなことはありません! いま、四角いボディが流行っているんです。そう、クルマのボディのトレンドはマルからシカクへ。この流れに乗り遅れることなかれ!
文/FK、写真/スズキ、トヨタ、ホンダ、FavCars.com
ランクル! そしてジムニー!! 日本人は四角いクルマが大好き!? カクカクボディに戻って大成功したクルマ5選
■トヨタ・ランドクルーザーの四角いボディは本格オフローダーの機能を追求した結果の賜物
ランドクルーザー300シリーズは、人々の安全・安心を支える“どこへでも行き、生きて帰ってこられるクルマ”というニーズに応えるべく、信頼性・耐久性・悪路走破性をさらに進化させたモデルだ
2021年8月にデビューした現行ランドクルーザーの300シリーズ。
この300シリーズは、1967年に登場した55シリーズから先代の200シリーズがカテゴライズされるステーションワゴンタイプに分類されるモデルとなるが、先代の200シリーズに比べると、よりスクエアなボディ形状が採用されている。
300シリーズのエクステリアに関するトヨタのうたい文句は“本格オフローダーとしてのタフな強靭さと、洗練された大人の深みを融合”。それを実現するべく、300シリーズでは歴代ランドクルーザーのヘリテージを追求し、キャビンを後ろ寄りに配置するキャビンバックワードプロポーションを採用。
また、ラジエターグリルをヘッドランプとともに高い位置に配置するとともに、角を丸くして障害物を当たりにくくしたり、前後バンパーの下部も障害物をいなすようなランドクルーザーならではの“いなし構造”を採用するなど、こちらも歴代ランドクルーザーの流れを汲んだオフロード走行時の機能性を重視したデザインとなっている。
そんな300シリーズは高次元な走りと環境性能の向上を目指したGA-Fプラットフォームをはじめ、悪路での耐久性と時代のニーズに対応する新機構、操縦安定性・操作性向上を目指した最新装備、パワーと環境性能を兼ね備えた新パワートレーン、最新世代の安心・安全装備なども好評を博し、納車待ち1年以上ともいわれるほどの人気車となっていることは周知のとおりだ。
また、2023年8月にはランクルの本流ともいうべき250シリーズを発表(2024年前半に発売予定)。こちらもエクステリアに水平基調のデザインが採用され、いかにもリアルオフローダーといった雰囲気をまとっているだけに300シリーズと同様に人気爆発の予感大!
■スズキ・ジムニーのスクエアボディはビジュアルと機能を高い次元で両立
ジムニーたる顔つき、過酷なオフロードでのタフさを感じさせるバンパー、ガラス面を立てることでサイドに雪がたまりにくくしたスクエアボディなどがワイルドな雰囲気を演出
前述のランドクルーザーと同様に納車まで1年以上の期間を要するほどの人気を誇る現行のジムニーがデビューしたのは2018年7月のこと。
ねじり剛性を先代モデルから約1.5倍向上させた新開発のラダーフレームをはじめ、FRレイアウト、副変速機付のパートタイム4WD、3リンクリジッドアクスル式のサスペンションなど、ジムニー伝統の車体構成は継承しつつも20年ぶりの全面改良が敢行されたことはまだ記憶に新しいところだろう。
そんな伝統のメカニズムに加え、高い走破性能を実現するブレーキLSDトラクションコントロールを全車に標準装備したり、専用チューニングを施したR06A型ターボエンジンを採用するなど、本格4WDオフロードモデルとしてのスペックと走行性能に磨きがかけられている現行のジムニー。
国産では数少ないラダーフレームを採用した本格派でありながら、車体はコンパクトで価格も手頃となれば売れるのも当然といったところだろう。
また、丸みを帯びた流線的なデザインが主流のいまだからこそひときわ際立つ直線基調のスクエアボディも車両の姿勢や状況を把握しやすいだけでなく、面の剛性を高める造形、降雪時に雪がたまりにくい凹凸が少ない形状、走破性・積載性を高める細部の工夫など、機能に徹したデザインがなされており、先代からの刷新感も満点。
しかも、5スロットグリルや丸型ヘッドライトといったジムニーの象徴ともいうべきディテールはしっかりと継承されているのだ。
軽自動車なのに本格オフロード走行が楽しめて、しかも見た目もワイルド……とくれば、ジムニーが欲しくてたまらない! という人が続出するのもナットクと言わざるを得ない。
■カタマリ感あるボックスシェイプにもかかわらずスタイリッシュなホンダ・ステップワゴン
ユーザーのライフスタイルや暮らしのイメージによって選択できるように「AIR」と「SPADA」の2つのタイプが設定されているステップワゴン
先代モデルからの買い替え組を含めたミニバンユーザーはもとより、30代から40代のファミリー層をはじめとしたあらゆる層からの支持を集めているステップワゴン。
2022年5月の発売から1カ月が経過時点での累計受注台数は月間販売計画の5倍以上となる2万7000台を超える大ヒットを記録した。
その人気の要因は、日常シーンのほとんどをモーターで走行して低燃費で滑らかな走りを実現する2モーターハイブリッドシステム“e:HEV”や、車両間隔をつかみやすい視界と乗り物酔いをしづらくする水平基調の室内空間や多様なシートアレンジなどがあげられるが、もうひとつ忘れてならないことがある。
それは、“クルマ全体でカタマリ感のあるボディによる安心感とシンプルで誰にでも似合うような自由なフォルムを表現”した四角いボディが目を惹くエクステリアデザインだ。
ステップワゴンはこれまでにフルモデルチェンジを5回行っているが、現行の6代目のボディは1996年5月に登場した初代と2001年4月に登場した2代目と同様のボックスシェイプが採用されているのだ。
さらに、リアのコンビネーションランプも初代&2代目と同じ縦基調となっており、6代目が原点回帰を目指したことは火を見るよりも明らか。しかも、そのすべてがスタイリッシュな仕上がりなのだから、人気が出るのもナットクといえよう。
それでいてドライバーも同乗者も快適なドライブができるようにロングホイールベースを採用しつつ、前後ともトレッドを拡大することで大柄な車体でありながら直進・旋回時の高い安定性も実現しているというのだから、もはや文句のつけようがない。
■N360のデザインに“丸・四角・台形”を融合したホンダ・N-ONE
N-ONEはNシリーズが提案する“Nのある豊かな生活”という想いのもとに日本の生活と時間を見つめ、日々の生活に寄り添いながら長く使えて飽きがこない、末永く愛せるクルマを目指して登場
N-ONEの現行モデルが発売されたのは2000年11月。
ホンダのNシリーズが提案する“Nのある豊かな生活”という想いのもとに、日本の生活と時間を見つめて日々の生活に寄り添いながら長く使えて飽きがこない、末永く愛せるクルマを目指して登場。その最大の特徴ともいえるのが、キュートなエクステリアデザインではないだろうか。
「Nっころ」の愛称で親しまれたN360のデザインを継承した初代N-ONEから続く“丸・四角・台形”を基本のカタチと定め、このタイムレスデザインをベースに走る楽しさと安全性を感じられるデザインを徹底的に追求。
バンパーやグリルを垂直に立てることで四角っぽさを表現しながらもバンパーの下部をふんばり感のある造形とし、かつ彫りの深いヘッドライトを配することでクルマが前進する勢いを表現。
リアも左右のバンパーコーナーに向かって水平に広がるラインに横長のリフレクターを配することでワイド感を強調し、後ろからも安定性を感じられるデザインが採用されている。
また、インテリアは必要なもの以外を大胆に削ぎ落とすとともにホンダの乗用車の原点であるM・M思想から生まれた、燃料タンクを前席の下に収める独創のセンタータンクレイアウトによってミニマルで心地良い室内空間を追求。
加えて、先進の安全運転支援システムであるHonda SENSINGを標準装備されている、まさに鬼に金棒的な軽自動車なのだ。
■丸みを帯びた親しみやすさと共存する四角いボディがキュートなスズキ・アルト
丸みを帯びた柔らかなフォルムのなかに楕円形のモチーフを取り入れることで、小さな車体でも安心感のある立体的な断面にこだわった現行アルトのエクステリア
通算9代目となるアルトの現行モデルは2021年12月に登場。
9代目では従来のR06A型エンジンとエネチャージの組み合わせに加え、R06D型エンジンとマイルドハイブリッドの搭載によってWLTCモード燃費で軽自動車トップの27.7km/Lを達成するなど、初代アルトが目指した“暮らしに役立ち、優れた経済性を持つクルマ”を色濃く打ち出していることが大きな特徴となっている。
また、アルトが採用したプラットフォームは剛性・衝突性能・走行性能などに優れる軽量&高剛性のHEARTECT。バックドア、センターピラー、サイドドアを環状骨格構造にすることでボディ全体の剛性が大きく向上していることも見どころのひとつだ。
では、今回のテーマであるボディフォルムはというと……ベーシックなスタイルによって誰もが気軽に安心して乗れる親しみやすいデザインを採用。親しみやすさを演出するために丸みを帯びた柔らかなフォルムのなかに、楕円形のモチーフを取り入れたことが訴求ポイントとなる。
そう聞くと、今回のテーマとは相反するのでは? と思う人もいるだろう。だが、しかし! 実は先代と見比べれば、9代目がいかに四角いかがよくわかる。
それが顕著に現れているのが前後ウィンドウ。8代目はボンネットから続く斜めのラインをつなげるべくフロントウィンドウはかなり寝かせた状態になっており、リアウィンドウもまたしかり。
しかし、9代目は前後ウィンドウの角度が立ち気味に改められ、それだけでも“四角いボディ”に見えてしまうのだから不思議!? 小さな車体でも安心感のある立体的な断面にこだわった現行アルトのエクステリアデザインはなかなか秀逸なのだ。
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みんなのコメント
と言うか、かくばった車の方が少ないだろう。
全長全幅で決められたクルマのサイズ、直方体に近い方がスペース効率は高い。