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プレイバック! 10年前のアルファ ロメオ100周年イベント

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プレイバック! 10年前のアルファ ロメオ100周年イベント

■アルファ ロメオ100周年イベントはどうだった?

 2020年6月24日は、名門アルファ ロメオが創業してちょうど110周年を迎える重要な節目の日だった。

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 わが国では「ALFA ROMEO CENTODIECI ANNI DI EMOZIONI-栄光と情熱の110年」と銘打ったオフィシャルのオンライン記念イベントが、YouTube「アルファ ロメオ・チャンネル」にて展開された。

 もちろんイタリア本国でも、かつてのアルファ ロメオの本拠アレーゼにある「ムゼオ・ストーリコ・アルファ ロメオ」館長の監修により、110年の歴史を綴った80ページものの電子書籍「110th Anniversary eBook」が全世界に向けて公開されたほか、この日が新型コロナウィルス禍以降の再開日となったムゼオに一定数のアルフィスタたちを集め、期待の限定車「ジュリアGTA」を初公開するなど、意欲的な取り組みもおこなわれていた。

 しかし、もともと本国ではオンラインでなく、アレーゼやミラノを舞台とした大規模イベントが予定されていたとのことなのだが、新型コロナ禍の甚大な影響を受けたイタリアでは、イベントは中止せざるえなかった。

 今回は、ちょうど10年前のミラノにて繰り広げられたアルファ ロメオ100周年イベントが、どんなに素晴らしいものであったかを回想することによって、新型コロナ禍に消沈するアルフィスタの皆さまへの、せめてもの慰めとしたい。

●ミラノの街を、アルファ軍団が占拠

 フランス車ダラックのノックダウン生産をおこなっていた実業家、ウーゴ・ステッラを筆頭とするミラノの企業家グループが「A.L.F.A.(Anonima Lombarda Fabbrica Automobili:ロンバルダ自動車製造会社)」のブランド名を掲げ、純イタリア製オリジナルモデルとなる「24HP」の生産をスタートさせたのは、1910年6月24日のことだった。

 そして、ALFA社としての起業からちょうど100年目を迎えた2010年6月24日、ある壮大な記念イベントの幕が切って落とされることになった。その名も「ALFA ROMEO 1910-2010」。

 名門アルファ ロメオの栄光と挫折、そして不屈の歴史をそのまま体現した巨大セレモニーであった。

 この壮大なイベントが幕を開けたのは、まさしく創立100年にあたる6月24日。現在ではミラノ市庁舎として使用されている「センピオーネ公園マリーノ宮殿」において開会宣言をおこなったのち、F1イタリアGPでも有名なアルファの聖地「モンツァ・サーキット」にて、開会式典を兼ねた走行イベントを開催。

 また、同じく24日と翌25日には、まだ改装前だった「ムゼオ・アルファ ロメオ」の開館時間が深夜23時まで延長され、アルファ ロメオの至宝たちをじっくり見学することができたという。

 しかし、この100周年イベントのメイン行事となったのは、なんといっても26日と27日の2日間に亘って開催された、巨大なパレードランだった。

 中間発表段階でも既に2300台以上ものアルファ ロメオ車とそのオーナーたちがエントリー申し込みを済ませ、大会当日に至っては実に3000台ものアルファ ロメオたちが集結したという、恐るべき大ミーティングである。

 まずは26日朝。アレーゼの隣町「RHO(ロー)」にある大規模見本市会場「フィエラ・ミラノ・ロー」には、おびただしい数のアルファ ロメオたちが続々と集まってきた。

 その内訳は、一世紀の歴史そのもの。旧くは1920年代のヴィンテージ初期に製作された「RL」に端を発し、第二次大戦前の傑作「6C」や、戦後の「1900」、「ジュリエッタ」、「ジュリア」、「アルフェッタ」、フィアット・グループの傘下入り以後に製作された「164」や「155」。今世紀以後に製作された「156」や「147」。そして当時は最新モデルだった「159/ブレラ」や「MiTo」に「8Cコンペティツィオーネ/スパイダー」。

 さらには2010年に正式発売されたばかりの3代目「ジュリエッタ」など、アルファ ロメオの100年間に製作された、ほぼすべてのモデルの姿を見ることができた。

 これら多彩な参加車両を持ち込んだオーナーたちは、フィエラ・ローで本格的なビュッフェランチとアルファ談義を楽しんだのち、ミラノ市中心部を回るパレードに向けて雪崩の如く大移動。

 夕刻にパレードの巨大な車列は、ドゥオーモやスカラ座と並ぶミラノ市内の歴史的名所として知られるスフォルツェスコ城へと集結することになった。

 ここでは、全参加車両中から選抜された100台の歴史的アルファ ロメオ車による「レビュー」も開催された。この日のイベント目当てのギャラリーに一般のミラノ市民や観光客も交えた、まさしく黒山の観衆のなかで、ミラノのもうひとつの象徴たるアルファ ロメオの100周年が祝賀された。

 そして一夜明けた翌27日の午前中には、今回のイベントのクライマックスを迎えることになった。ミラノ市の周囲をぐるりと1周する「タンジェンツィアーレ(自動車専用環状道路)」において、隊列を組んで走行。世界中から集まったアルファ ロメオ車によって「リング」を形成するという、なんとも壮大なパレードランがおこなわれたのだ。

 事前に噂されたごとく、天下の公道であるはずのタンジェンツィアーレを完全貸切するまでには及ばなかったものの、片側3車線のタンジェンツィアーレの1車線、ないしは2車線をアルファ ロメオたちが埋め尽くして行進するさまは、まさに圧巻の一言。ヘリコプターからの空撮もおこなわれ、この日のTVや新聞を賑わすことになった。

 そしてパレードランの参加車両たちは、これもミラノ近郊の町、ノヴェグロのフィエラ(見本市会場)を会場に、6月19~27日まで開催されていた素晴らしい展覧会「Alfaromeo 100×100」において、再び大集結。4日間にも及んだ壮大な100周年記念イベントは、ここに感動の大団円を迎えるに至ったのである。

■アルファが愛される理由は、高級スポーツカーメーカーから量産車メーカーへの転身が理由!?

 古今東西の自動車ブランドのなかでも、もっともエモーショナルなひとつとして知られるアルファ ロメオは、自動車史上最も偉大なブランドのひとつともいえるだろう。

 わが国では身近な存在として認識されてしまったイメージもあるものの、第二次大戦前まで遡ってみれば、現代のフェラーリにも相当するレーシングカーコンストラクター兼高級スポーツカーメーカーとして、グランプリからスポーツカーレースまで完全制覇。まさに世界の頂点に君臨する存在だった。

 ところが、1954年に名作ジュリエッタが誕生して以降のアルファ ロメオは、量産車メーカーへと転身を果たすことになった。そして、それまでの富裕層限定から一般市民にも愛されるブランドとなってからも、実に60年以上の時が経過したことになる。

 一方、長らくモータースポーツをレゾン・デートルとしてきたアルファ ロメオだが、この100周年記念イベントでは、例えば本社やムゼオから出品される戦前・戦後の珠玉のレーシングマシンに、往年のワークスドライバーが搭乗してデモ走行するような、派手なエキシビションのたぐいは見られなかった。

●アルフィスタによるワールドカップ

 しかし、それに代わって余りあったのが、世界中から結集したアルフィスタたちの熱い想いだろう。これは、アルファ ロメオというブランドの見識ゆえのことかもしれない。

 アルファ ロメオの100年間を地道に支えてきた、市井のファンたちに寄り添う姿勢の表れと思われたのだ。

 また、約3000台分のエントラントのうち、イタリア国内からの参加はわずか2割程度に過ぎず、残りの8割は外国からのエントリーであった。その内訳は近隣のスイス、フランスやドイツはいうにおよばず、イギリスやオランダ、ベルギー、クロアチア、ロシア、あるいはオーストラリアやニュージーランドからの参加者も見られた。

 実は、日本からもMiToやジュリエッタのレンタカーを借りて参加するエントラントが4組ほど確認されたほか、台湾や中国からの参加者も見られた。そして会場ではイタリア語や英語に加え、ドイツ語にフランス語、ポルトガル語、さらには筆者にはどの国の言語かも聞き取れない言葉による大声援がこだまし、世界中のアルフィスタによるワールドカップの様相を呈していたのだ。

 かくのごとく、おそらく世界で最も愛されている自動車ブランドのひとつであるアルファ ロメオ。その記念すべき100年の節目は、素晴らしいヒストリーとエモーショナルなキャラクターに相応しい、エンスージアスト精神に溢れたものとなったのである。

 あの感動の日々から、ちょうど10年。110周年を迎えたアルファ ロメオは、母国イタリアが新型コロナパンデミックの影響を甚大に受けてしまったこともあって、順風満帆とはいえない状況にあると認めざるを得ないだろう。

 しかし、100周年イベントで全世界から集結したアルフィスタたちが見せてくれた、本気の「アルファ愛」をこの目で確認してきた筆者は、これまでの110年間を熱烈に支持してきたファンの想いから乖離してしまうようなことでもない限り、これからもアルファ ロメオは愛されるブランドであり続けると確信したのである。

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