現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > スーパーカー世代にも人気!? バイクの"ウイング"とは

ここから本文です

スーパーカー世代にも人気!? バイクの"ウイング"とは

掲載 更新 11
スーパーカー世代にも人気!? バイクの"ウイング"とは

モトGPマシンに採用されているウィングレット(ウイング)と呼ばれるエアロパーツ。近年、多くの市販モデルにも装着されるようになってきた。そのスタイルに魅力を感じる人も多く、カウンタック、特にLP500が好きだったスーパーカーブーム世代には刺さること請け合いだ。

子供時代からの憧れだった“大きなウイング”

北海道の大地を走った──イタリアのSUVで大自然を満喫「ランボルギーニ ウルス」

子供の頃に憧れたマシンはランボルギーニ カウンタック。

「スーパーカーブーム」は生まれ故郷である宮城の片田舎にも到達しており、サーカスが街にやってくる! といった様相で、スーパーカー軍団も地方巡業にやって来たものだった。ハナタレ小僧たちの一番人気はフェラーリではなく、ダントツでランボルギーニ カウンタック。そのスタイリングはもちろん、ランボルギーニという社名もカウンタックという車名も、ハナタレ小僧たちにはスペシャルなものであった。そして、カウンタックのなかでもLP400ではなく、LP500がダントツの人気であった。

その理由は、単純に大きなリアウィングが装着されていたから。当時の「ガンダムブーム」もなにか関連もあったのだろうか? カクカクとしたデザインとともに、あの“大きな羽根”が田舎の少年たちに強烈なインパクトを与えたのだ。

なんのために必要なのか、当時は全く分からなかったのだが、“大きな羽根”の存在は輝き続け、下手くそな絵を描くときもリヤには必ず大きくウィングを描く、という始末。

マシンを路面に張り付かせ、グリップ力の高いタイヤに圧力をかけることによって、より高いグリップ力を発揮させるというパフォーマンスパーツ。後になって、ウィングのもっとも大きな狙いはダウンフォースを稼ぐということを知ったのだった……。

そんなダウンフォーステクノロジーは昨今、バイクにも使われはじめている。

モトGPで威力を発揮するエアロパーツ

実は過去にもレースシーンにおいて、各メーカーが様々なトライをしていた時代があったという。しかし、スピード域が現在と異なったこと、4輪と異なりマシンがバンクしていくので空力のコントロールが難しいということで、あまり一般的にならなかったようである。

しかし、ここにきて空力の解析が進んだのだろう。レースシーンの最高峰、モトGPにおいてすべてのメーカーがフロント(というかサイド)カウルに大きなウイングレット(ウィング)を装着するようになってきたのである。そのパイオニアであるドゥカティは、2015年頃からは毎戦のように異なった形状のウィングレットを装着してきた。ところが、2016年に安全性の理由でそれが装着禁止となってしまう。とはいえ、禁止となっても、かなりグレーな形状でウィングレット的フェアリングを採用し続けている。

いずれにしても、空力、とくにダウンフォースを利用してウィリーを抑えたり、マシンを安定させたりという効果が想像以上だったようで、各メーカーが試行錯誤しながらパフォーマンスパーツとして採用している。

モトGPマシンともなると、最高出力は300psにも迫るともいわれ、最高速は350km/hを超える。加速中にフロントホイールを地面から離れないようにするのは至難の業である。これに威力を発揮していたのが電子制御だが、レギュレーションで全メーカーが共通ECUを使うようになってからは細かい制御が難しくなっている。そんな中、ウィングレットの担う役割がさらに大きくなってきたようだ。

市販モデルでもブームに

この流れは、市販車にも受け継がれるようになってきている。過度な突起物はストリートリーガルとしてNGではあろうが、レギュレーションで縛りをうけていないだけに、市販車用パーツは自由な発想でデザインされている。

モトGPでも、もっとも力を注いでいたドゥカティは空力学においてアドバンテージがあったのかもしれない。市販モデルとして最初に装着したのは、スーパーバイクのレースベース的マシン、パニガーレV4R。続けて、現行型パニガーレV4にも装着されている。

スペイン・バレンシアサーキットにて行われた初代パニガーレV4の発表会の際、圧倒的加速力を持つそのマシンは、超高速域でフロントエンドがフラフラするような症状があった。こういった症状を低減するのにも有効だという。ドゥカティも当初、初期型のパニガーレV4にウィングだけ装着してテストをしたとのことだが、これは逆効果だったという。すべてのカウルをトータルでデザインしないと効果が生まれないとのことでなかなかに難しいとのことだった。

メリットとしてはウィリーが抑えられることに加え、高速域でのフロントの接地感。ターンイン時の安定性。反対にデメリットとしては、高速域での切り返しでハンドリングがやや重くなることだという。

現在、市販モデルでは多くのマシンが採用するウィングレット。アプリリアのRSV4や、BMWのトップガンであるS1000RRをベースとしたM1000RRにも装着されている。国産モデルでも、ホンダ CBR1000RR-RやZX-10RRだけでなく、ミドルクラスのCBR600RRにも採用。また、ネイキッドマシンでもドゥカティ ストリートファイターにウィングレットが装着されている。KTMの場合、1290スーパーデュークRには明らかなウィングレットは装着されていないが、燃料タンクやサイドカウルはダウンフォース効果を考慮して設計していると開発者が語っていた。と、ウィングレットがブームとなっているのだ。

それらのウィングレット、実は低速ともいえる30km/hあたりから効果を発揮するとのこと。しかし、その本来の実力を発揮するのは超高速域。となると、公道におけるメリットはあまりない、ともいえるのであるが……。

とはいえ、そのような究極のパーツに魅力を感じるライダーも少なくないはず。普通の人から見たら、デザインの邪魔をしている「取って付けたような」異物感があるかもしれない。しかし、あのLP500に心を躍らせたスーパーカー世代は、性能以上にその形状にドハマりすること請け合い。今後、どんな形状に進化していくのか、興味は尽きない。

文・鈴木大五郎 写真・本田技研工業、ドゥカティジャパン、ピアッジオ グループ ジャパン 編集・iconic

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

【コラム】レッドブルのローソン起用人事に納得できる理由はあるのか? 希望的観測と角田裕毅への評価
【コラム】レッドブルのローソン起用人事に納得できる理由はあるのか? 希望的観測と角田裕毅への評価
motorsport.com 日本版
トラックハウスMotoGPチーム、石油会社『ガルフ』とパートナーシップ締結を発表
トラックハウスMotoGPチーム、石油会社『ガルフ』とパートナーシップ締結を発表
AUTOSPORT web
「これならアメ車欲しいかも」米国車初のニュル7分切り、『マスタングGTD』の進化にSNS興奮!
「これならアメ車欲しいかも」米国車初のニュル7分切り、『マスタングGTD』の進化にSNS興奮!
レスポンス
マクラーレンCEO、ザク・ブラウンが考えるチーム運営”成功”へのメソッド「我々の首脳陣はお互い気軽に批判し合える関係」
マクラーレンCEO、ザク・ブラウンが考えるチーム運営”成功”へのメソッド「我々の首脳陣はお互い気軽に批判し合える関係」
motorsport.com 日本版
レクサス新「UX」登場で反響は? 全長4.5mの“ちょうどいい”サイズ×ギラギラグリルがイイ「コンパクトSUV」! 販売店でも話題に
レクサス新「UX」登場で反響は? 全長4.5mの“ちょうどいい”サイズ×ギラギラグリルがイイ「コンパクトSUV」! 販売店でも話題に
くるまのニュース
あのマッドマイクも来場!トーヨータイヤが「東京オートサロン2025」出展へ、コンセプトタイヤ展示も
あのマッドマイクも来場!トーヨータイヤが「東京オートサロン2025」出展へ、コンセプトタイヤ展示も
レスポンス
「マイナ免許証」保有希望は半数以上、ホンダアクセスが「パパ・ママのクルマ選び」を調査
「マイナ免許証」保有希望は半数以上、ホンダアクセスが「パパ・ママのクルマ選び」を調査
レスポンス
〈2025春闘〉全トヨタ労連、5年連続でベア要求額は掲げず 一時金は年間5カ月以上
〈2025春闘〉全トヨタ労連、5年連続でベア要求額は掲げず 一時金は年間5カ月以上
日刊自動車新聞
NASCARに反トラスト法訴訟で反旗翻した23XIとFRM、2025年の参戦を保証する判決で”大勝利”
NASCARに反トラスト法訴訟で反旗翻した23XIとFRM、2025年の参戦を保証する判決で”大勝利”
motorsport.com 日本版
11番目のF1チーム、社名から正式にアンドレッティが外され、『キャデラック・フォーミュラ・レーシング』に
11番目のF1チーム、社名から正式にアンドレッティが外され、『キャデラック・フォーミュラ・レーシング』に
AUTOSPORT web
[カーオーディオ・素朴な疑問]パワーアンプ編…マニアックな使い方、「バイアンプ接続」の利点とは?
[カーオーディオ・素朴な疑問]パワーアンプ編…マニアックな使い方、「バイアンプ接続」の利点とは?
レスポンス
ランボルギーニ「レヴエルト」初の氷上走行イベントを内モンゴルで開催!-20度の極限環境で刺激的体験
ランボルギーニ「レヴエルト」初の氷上走行イベントを内モンゴルで開催!-20度の極限環境で刺激的体験
LE VOLANT CARSMEET WEB
曙ブレーキ、筆頭株主が交代 トヨタから事業再生ファンドのジャパン・インダストリアル・ソリューションズに
曙ブレーキ、筆頭株主が交代 トヨタから事業再生ファンドのジャパン・インダストリアル・ソリューションズに
日刊自動車新聞
全長3mで「新車475万円」! めちゃ小さな高級車「アストンマーティン・シグネット」が凄かった! 6速MT×匠“手仕上げ”の「超豪華内外装」採用! 異例すぎた「激レアモデル」なぜ誕生?
全長3mで「新車475万円」! めちゃ小さな高級車「アストンマーティン・シグネット」が凄かった! 6速MT×匠“手仕上げ”の「超豪華内外装」採用! 異例すぎた「激レアモデル」なぜ誕生?
くるまのニュース
アプリリア・レーシング、ロレンツォ・サバドーリとテストライダー契約を2年延長
アプリリア・レーシング、ロレンツォ・サバドーリとテストライダー契約を2年延長
AUTOSPORT web
曙ブレーキが社長交代、日産出身で元三菱自副社長の長岡宏氏が就任 2025年1月1日付
曙ブレーキが社長交代、日産出身で元三菱自副社長の長岡宏氏が就任 2025年1月1日付
日刊自動車新聞
オープンカーで453.91キロを達成! ブガッティ「W16ミストラル ワールドレコードカー」以外の世界最速記録を打ち立てた3台とは?
オープンカーで453.91キロを達成! ブガッティ「W16ミストラル ワールドレコードカー」以外の世界最速記録を打ち立てた3台とは?
Auto Messe Web
細身のスポークで足長感を強調!トムスが60系プリウス用19インチ鍛造アルミホイールを発売
細身のスポークで足長感を強調!トムスが60系プリウス用19インチ鍛造アルミホイールを発売
Webモーターマガジン

みんなのコメント

11件
  • スーパーカーブームはガンダムより前だろ
  • 人気あるのホントなんだろうけど、立ちごけして折れるのはやだなあ。片側折れたまま乗るのとかすごいかっこ悪いし。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村