現在位置: carview! > ニュース > ニューモデル > KTMから大型SSのダークホースが出撃!【990 RC R】海外試乗記

ここから本文です

KTMから大型SSのダークホースが出撃!【990 RC R】海外試乗記

掲載 4
KTMから大型SSのダークホースが出撃!【990 RC R】海外試乗記

KTMの公道走行向けRCシリーズは、1190RC8Rが生産終了した後は400ccクラス以下のモデルのみの展開だった。その“壁”を破りデビューしたのが990 RC R。ほぼリッターSS(スーパースポーツ)とも言える排気量だが、その実態は?

意外と懐が深い!

【画像14点】この記事の関連写真を見る

KTMが経営危機に陥っているというニュースは、多くのモーターサイクル愛好家にとって衝撃的であった。個人的には、あのすばらしいDNAを持ったプロダクトが無くなってしまうのか?と不安を感じると同時に、“KTMらしさあふれる”海外試乗会で興奮を味わえなくなるのが寂しすぎる……という思いもあった。

KTMの欧州におけるニューモデルローンチはとにかく刺激的である。試乗の際は「公道での走行マナーには気をつけましょう!」とクギを刺すのが主催者側の通例であるのに、先導ライダー自らがウイリーを楽しみ、参加者たちもそれに続く。また、サーキットでの走行スケジュールも、まるでわんこそばを食べているがごとく次から次への走行の嵐。そんな刺激に満ちた瞬間をまた味わえるということで、開催一週間前の急なお誘いだったが仕事を整理して、990 RC Rの試乗会に参加するためにスペインに飛んだ。

近年はすっかりオンロードブランドとしての地位も確立したKTM。990 RC RにはMotoGP直系のさまざまなテクノロジーが投入されている。オーストリアの国民性か、これまでKTMのマシンは大柄なものが多かったが、990 RC Rは小柄な元MotoGPライダーのダニ・ペドロサがプロモーション映像に出演していることからも想像できるとおり、実車はかなりコンパクト。ライディングポジションも見た目のイメージよりフレンドリーだ。ナンバープレートや保安部品を取り払った姿はMotoGPマシン譲りのレーシーな出でたちであるから、これは意外な驚きだった。そしてその印象は、実際の走りにも当てはまるものだったのである。

試乗会初日はワインディングを中心とした一般道のテスト。990 RC Rは荒れた路面もしなやかにいなし、路面に吸いつくようにコーナーをクリアしていく。フレームは剛性が高いものの、スイングアームに柔軟性を持たせてバランスを取っているという。その恩恵か、流すような走りであっても接地感は豊富で、スタイリングにほれて購入したビギナーでも拒否反応を起こさないであろう。新設計の8.8インチ液晶モニターはきれいにコックピットに収まっていて、視認性がいいだけでなく、表示も非常にシンプル。タッチ操作も可能で、走行性能面以外でも意欲を感じられた。

サーキット向けの電子制御も充実

2日目はサーキットに移動。30分の走行が7セッションあり、5本目にタイムアタック、6本目にレース、そして7本目にウイリー撮影を行うという予定で、KTM流は変わっていないなと一安心。タイムアタック中にクラッシュするライダーがいたためレースは中止になったものの、結局7本も走ることができ、セッションごとにマシンへの理解が進んでいった。これが実にすばらしい時間となった。

130馬力のエンジンはしっかりと速く、しかもストレスのない吹き上がりを持つ。ストリートファイターの990デューク由来ゆえに、1・2速がややローギヤードなため、今回のセビリアサーキットでは3~6速を使用したが、つながりは悪くない。クイックシフターの精度も高く、エンジンブレーキのコントロールも秀逸。トラックモードではトラクションコントロールやウイリーコントロール、エンジンレスポンスなどの設定ができる。また、ABSも4パターンあり、レベルや速度に応じた選択が可能。それぞれ試し、違いをハッキリ感じることができたのも今回の収穫だった。

レベルは高いのに、異様に懐が深いキャラクターは新時代のスーパースポーツマシンを実感させる。さらなるパフォーマンスアップをはかるオプションを幅広くラインアップしているのもうれしい。

KTM開発陣の変わらぬ情熱、そしてマシンの仕上がりを確認した今、ほっとしたというのが正直な気持ちである。限定車のRC8Cから量産化まで長く待った甲斐があったと思わせる秀作だ。

KTM 990 RC R 諸元

エンジン種類:水冷4ストローク並列2気筒DOHC4バルブ
ボア×ストローク:92.5×70.4mm
総排気量:947cm3
最高出力:95.6kW<130ps>
最大トルク:103Nm<10.5kgf・m>
燃料タンク容量:約15.7L
WMTCモード燃費:――
変速機:6段リターン
全長×全幅×全高:――
ホイールベース:1,481mm
シート高:845mm
車両重量:195kg
タイヤサイズ:(F)120/70ZR17 (R)180/55ZR17
カラー:オレンジ、ブラック
国内発売日・価格:未定

report:鈴木大五郎
AMAスーパーバイクなど数々のレースへの参戦経験、そして、国内外さまざまなメーカー・カテゴリーの市販バイクの試乗経験を持つ二輪ジャーナリスト。ライディングスクールの主催者やインストラクターとしても活躍中だ。

photo:KTM/Emanuel Tschann

文:モーサイ こうへいはやし
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

「凄すぎてちょっと引く」「ベストEクラッチかも」ホンダ CL250 Eクラッチ 試乗インプレッション
「凄すぎてちょっと引く」「ベストEクラッチかも」ホンダ CL250 Eクラッチ 試乗インプレッション
WEBヤングマシン
【新生ノートンモーターサイクルズ】往年の車名復活でスーパーバイクモデルManx RほかManx/Atlas/Atlas GT の4モデルがEICMA2025で公開!
【新生ノートンモーターサイクルズ】往年の車名復活でスーパーバイクモデルManx RほかManx/Atlas/Atlas GT の4モデルがEICMA2025で公開!
モーサイ
【新型試乗】カワサキ KLX230シェルパSは「軽く小さく初心者にも優しい」。レーシング女子・岡崎静夏の軽アドベンチャー&オフロード一気試乗
【新型試乗】カワサキ KLX230シェルパSは「軽く小さく初心者にも優しい」。レーシング女子・岡崎静夏の軽アドベンチャー&オフロード一気試乗
WEBヤングマシン
【トライアンフTIGER SPORT 800TOUR】登場。新型ミドルアドベンチャースポーツツアラー159万5000円で発売!
【トライアンフTIGER SPORT 800TOUR】登場。新型ミドルアドベンチャースポーツツアラー159万5000円で発売!
モーサイ
「ブラックボール!!」「謎のアドベンチャー!?」カワサキ(KAWASAKI)関連で11月に注目を集めたニューストピックは…
「ブラックボール!!」「謎のアドベンチャー!?」カワサキ(KAWASAKI)関連で11月に注目を集めたニューストピックは…
WEBヤングマシン
トヨタ“新型スーパーカー”「GR GT」世界初公開! “新開発”の「V8ハイブリッド」&アルミの“超軽量”ボディ採用! 迫力エアロの「GR GT3」とともに登場へ
トヨタ“新型スーパーカー”「GR GT」世界初公開! “新開発”の「V8ハイブリッド」&アルミの“超軽量”ボディ採用! 迫力エアロの「GR GT3」とともに登場へ
くるまのニュース
新型GR GT登場へ! 気合の入ったパワートレインがスゴい!──GQ新着カー
新型GR GT登場へ! 気合の入ったパワートレインがスゴい!──GQ新着カー
GQ JAPAN
新型GR GT、遂に登場! “トヨタ流スーパーカー”は高い快適性も魅力か
新型GR GT、遂に登場! “トヨタ流スーパーカー”は高い快適性も魅力か
GQ JAPAN
カワサキ最強のスーパーネイキッド【Z1100/Z1100SE】2026年2月日本上陸! 価格158万4000円/176万円
カワサキ最強のスーパーネイキッド【Z1100/Z1100SE】2026年2月日本上陸! 価格158万4000円/176万円
モーサイ
新型GR GTの全貌判明! トヨタのスーパーカーが凄い!──GQ新着カー
新型GR GTの全貌判明! トヨタのスーパーカーが凄い!──GQ新着カー
GQ JAPAN
【最新モデル試乗】溌溂、軽快、スタイリッシュ! クルマ好きを虜にするアルファロメオ・ジュニア、その素晴らしき走り
【最新モデル試乗】溌溂、軽快、スタイリッシュ! クルマ好きを虜にするアルファロメオ・ジュニア、その素晴らしき走り
カー・アンド・ドライバー
「待ってろトレーサー9 GTとGSX-S1000GX」「SC77エンジンの最新作」ホンダが「CB1000GT」を本邦初公開
「待ってろトレーサー9 GTとGSX-S1000GX」「SC77エンジンの最新作」ホンダが「CB1000GT」を本邦初公開
WEBヤングマシン
日本限定は95台! レース直系の走りを堪能できるトライアンフ発「スペシャルバイク」の魅力とは? 精緻な“カーボンパーツ”で軽さとスポーティさを両立
日本限定は95台! レース直系の走りを堪能できるトライアンフ発「スペシャルバイク」の魅力とは? 精緻な“カーボンパーツ”で軽さとスポーティさを両立
VAGUE
トヨタ渾身の新型「GR GT/GT3」世界初公開!“公道を走るレーシングカー”の実力とは
トヨタ渾身の新型「GR GT/GT3」世界初公開!“公道を走るレーシングカー”の実力とは
グーネット
【試乗】新世代スモールランボは920馬力を誰でも操れる! 驚速「テメラリオ」の性能をとことん味わってみた
【試乗】新世代スモールランボは920馬力を誰でも操れる! 驚速「テメラリオ」の性能をとことん味わってみた
WEB CARTOP
乗ってわかる三輪の魅力をバイク女子が本音レビュー! 新型トリシティ125/155、進化のツボ
乗ってわかる三輪の魅力をバイク女子が本音レビュー! 新型トリシティ125/155、進化のツボ
モーサイ
インディアン「スポーツチーフRT」に試乗して、ハーレーとの違いをじっくり考えてみた
インディアン「スポーツチーフRT」に試乗して、ハーレーとの違いをじっくり考えてみた
バイクのニュース
【新型試乗】ロイヤルエンフィールド ハンター350は優しいロードスター! レーシング女子・岡崎静夏インプレッション
【新型試乗】ロイヤルエンフィールド ハンター350は優しいロードスター! レーシング女子・岡崎静夏インプレッション
WEBヤングマシン

みんなのコメント

4件
  • Amelie
    すでにBajajに完全買収されてしまったKTM、定評のあるオフロードコンペモデル以外は、売れ上げは極めて厳しいでしょうね。

    990 RC Rはかっこいいけど、二気筒で130馬力というのは、PanigaleV4やS1000RRと比べて、貧弱すぎるので、どれぐらい価格を抑えることができるか次第でしょう。同じような価格だったら、どう考えてもパニやエッセンを買うでしょうね。
  • kor********
    KTMはやはりV4気筒を売るブランドパワーは無いのか、会社に金がないのか、どっちだろう。今のところアプリリアとドカだけがV4を市販している。ホンダでさえやめてしまった。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村