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アストン マーティンDB11 AMR初試乗 V12エンジン搭載 アストンに求めるすべて

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アストン マーティンDB11 AMR初試乗 V12エンジン搭載 アストンに求めるすべて

もくじ

どんなクルマ?
ー 理想に近づいたDB11
どんな感じ?
ー 早起きしてでも味わいたい
ー ベントレーやフェラーリには真似できない
ー 逃れられない2tの車重
ー V12ならではのグランドツアラー
「買い」か?
ー アストンに求めるすべてを備えた
スペック
ー アストン マーティンDB11 AMRのスペック

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どんなクルマ?

理想に近づいたDB11

2016年に発表されたアストン マーティンDB11は、新しい経営陣にとっては、豪華な家具が揃った素晴らしい引越し先を得たようなものだった。といっても、間取りを好み通りに設計することは、難しかったのだろう。全般的には優れた仕上がりで、充分納得できるレベルではあるものの、改善したほうがいい、と感じる箇所は少なからずあった。例えるなら、完璧だったキッチンを取り払い、欲望のままにホームシアターを装備してしまった、とでもいうだろうか。

アストン マーティン社長兼最高経営責任者(CEO)のDr.アンディ・パーマーと、経営陣が就任した時点で、開発の大半が終了していたわけではないにしろ、プロジェクトの大枠での形は決まっていたのだ。その結果、もともとのDB11 V12はすでに販売を終了した一方で、DB11 V8は、メルセデス-AMG製のエンジンを単に搭載した以上の、高い仕上がりを得たクルマになった。


そして、今回登場したAMR仕様は、理想に近づけるため、V8モデルに多岐にわたる新規開発・変更を加えながら、美しい音色を響かせるアストン マーティン製のV12エンジンを搭載したモデル。

V12エンジンは従来型より30psを加算。ソフトウエアの変更によって、最高出力は639psにまで達する。スポーツモードでのエグゾーストノートも、一層魅力的なものになっている。サスペンションブッシュは改良が施され、フロントのアンチロールバーの直径は太くなり、ダンパーのセッティングも見直された。

このクルマの最も重要な変更点が、新しく装備された鍛造ホイール。1輪あたり3.5kgもの軽量化を果たしており、ばね下重量を軽減しているだけでなく、V8モデルよりも車重も軽くなっている。高く評価するべき点といえるだろう。

どんな感じ?

早起きしてでも味わいたい

このAMRがどんなクルマなのか知るために必要なものは、性格で強力な目覚まし時計。この極上のパフォーマンスを、一般道で、ひとびとが活動している時間帯に確かめることは、ほとんど不可能だといえる。むしろ、ストレスが溜まるだけかも知れない。ベストな道を、ベストな時間帯で走る必要がある。

そう、その理想的な時間帯に、理想的な道へ到着するためには、しかるべき時間にベッドを離れる必要があるのだ。そこまでする価値は、間違いなくある。

デイビッド・ブラウンが71年前にアストン マーティンを買収して以来、非常に謎めいたクルマづくりの事実がある。最も強力な加速力やトップスピード、類を見ないほどのゴージャスさなど、世界一を狙ったクルマをアストン マーティンが生み出してこたかったこと。One-77やヴァルキリーを除いて。むしろ、才能のバランスをうまく組み合わせようとしてきた。

その目標通り、他のライバルと比較して素晴らしい完成度を持ったモデルが存在してきたが、中でもAMRはひときわ個性豊かなモデルだといえる。

これまでのアストン マーティンは、 英国の上質とはいえない道路環境でも、充分に納得できる仕上がりを得てきた。しかし、今回のAMRはそれだけではない。0-100km/h加速は、標準のDB11よりも0.1秒短縮しているということだが、それは間違いないはず。

最大トルクは、ZF社製の8速ATの許容量が限界に近いため、強化は許されていない。明確に速くなったというわけではなく、状況を選ばず、シャープさが増した、という表現が正しいだろう。

ベントレーやフェラーリには真似できない

V8エンジンのDB11のエグゾーストノートは、ターボ過給されているにも関わらず、極めて心に響くものだった。しかし、DB11 AMRでスポーツモードを選択すれば、アフターファイヤーのごとく、弾ける破裂音と、雷鳴のような唸りが、極めて自然に発せられる。あえて仕向けられたサウンドだとは思うけれど。

さらに、シャシーに施された変更が、従来になく素晴らしい。DB11は一般道を心から楽しめるクルマだったが、AMRはまったく別の次元を実現しているといっても、過言ではなさそうだ。トラクションの増加はさほど無いものの、荒れた路面における正確性と安定性が飛躍的に向上している。乗り心地が若干悪化している反面、初期のボディコントロール性が向上したことで、相殺したといえるだろう。

その結果、スキルが求められるような道路でも、一層の自信を持ってドライブすることができるようになった。クルマのセットアップの高さが、ドライバーをしっかりと支えてくれる。物理的なボディサイズと、やや不満のの残る視界を除いては。

定常円旋回での、オーバーステアにもアンダーステアにも陥らない高速域での振る舞いは、標準のブリジストン・ポテンザを履いた、2tもあるグランドツアラーとしては信じられないもの。さらに、電動パワーステアリングでありながら、ベントレー・コンチネンタルGTやフェラーリGTC4ルッソにも真似ができないレベルの、ステアリングフィールを実現しているのだ。

逃れられない2tの車重

ただし、急旋回が必要な場面では、この眼を見張る流麗なボディさばきは息を潜めてしまう。アストン マーティンの優れたエンジニアをもってしても、物理の法則にシャシーを逆らう方法は見つけられなかったようだ。

標準のスチール製のブレーキディスクは、一般道では疲れ知らずな性能を持っている。しかし、長い直線が続いた後のタイトコーナーなどでは、AMRの加速性能が極めて高いこともあり、制動距離には余裕を持っておきたいことも事実ではある。

低速コーナーでは、直径が太くなったアンチロールバーのお陰というわけではないが、思わずプッシュしたくなるかもしれない。ただ、車重と長いホイールベースが頭をよぎる。2速でスリルを味わうより、4速で堅実にと。

クルマのポテンシャルを発揮できるような道で、スポーツやスポーツプラス・モードを選んでおけば、ダンパーの減衰力が変化し、ボディの動きがかなり抑制してくれる。スタビリティ・コントロールも設定が変化し、万が一の状況にも備えてはくれる。

といっても、この状況は最終的な状況においてのこと。AMRでは叶わないような、より軽量で、スポーティなセットアップを持った、ホイールベースの短いクルマは、他にもあることは知っておきたいところだ。

V12ならではのグランドツアラー

このクルマがグランドツアラー的な性格を目標としたなら、仕上がりは賞賛に値する、素晴らしいレベルだと思う。

確かに、ベントレー・コンチネンタルGTやフェラーリGTC4ルッソの方が、ラゲッジスペースは大きいし、リアシートも広い。フェラーリのリアシートはそうともいえないけれど。また、メルセデス・ベンツの内装の過剰なまでの操作系のデザインは、正直いって、わたし好みではなかったりする。

乗り心地の快適性や、長距離走行の洗練性を鑑みれば、このクルマが目指したのは、まさに最上の長距離クルーザー。ロングドライブのプロセスに対しての質に、審美眼を持ったひとには、このクルマはまさにうってつけだと思う。

わたしは、このAMRはDB11のベストだと感じた。V8エンジンモデルの方が、サーキット走行にはより適しているが、そもそもDB11はサーキット向けのクルマとは違う。

GTC4ルッソでもそうだが、古典的なV12エンジンが、スポーツ走行を楽しめるV8エンジンのパフォーマンスを代用できるということはない。V8エンジンを搭載したDB11をとても気に入っているわたしながら、V12エンジンを搭載したDB11 AMRが、遥かに魅力的に映っているのだ。

「買い」か?

アストンに求めるすべてを備えた

このクルマの真価は、追加された86psの出力と20.2kg-mのトルクを常用することができるかどうかと、5万ポンド(720万円)の価格上昇を、どう捉えるかによりそうだ。わたしは、かなり肯定的に捉えている。

グランドツアラーと呼ばれるクルマは、総じて妥協のうえで成り立っている。それらの妥協は何かを失った上での結果であり、何か他にはない特徴を得ようと開発をしたとしても、中途半端になってしまうことも多く、見合った成果を得るのは難しい。

DB11 AMRは、まさにそれを達成したクルマでありながら、加えて今まで運転してきたような、アストン マーティンらしいクルマでもある。

コーナリング能力は高く、無駄な労力なく、エレガントに疾走してくれる。つまり、アストン マーティンのグランドツアラーとして、求めるべきすべてを備えた魅力に溢れるクルマだと思う。

アストン マーティンDB11 AMRのスペック

■価格 17万4995ポンド(2520万円)
■全長×全幅×全高 4750×1950×1290mm
■最高速度 334km/h
■0-100km/h加速 3.7秒
■燃費 8.7km/ℓ
■CO2排出量 265g/km
■乾燥重量 1870kg
■パワートレイン V型12気筒5204cc
■使用燃料 ガソリン
■最高出力 639ps/6500rpm
■最大トルク 71.2kg-m/1500rpm
■ギアボックス 8速オートマティック

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